Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

65 "イレギュラー"のきまぐれ



ジャックと上城さんと前線を抜けてきたモンスターを狩りながら前へ進む途中、アカギ達に会った

「ここよりも前に行くのか!?」

話している間も無数のモンスターが襲いかかっている。

「あぁ、あの魔神の頭上に見える魔法陣を使って魔力を増幅させ、魔神に撃ち込むんだ!"blizzard bullet"」

ジャックが放った弾丸は、一撃でその周辺にいるモンスターが凍り付いて、砕け散った。

「やはり、炎に耐性のあるモンスターが多いな。水や氷属性をまとって戦うんだ」

"Freezing give"
私は皆んなの武器に氷魔法を付与した。

一週間くらい会わなかっただけで、皆んな見違えるように強くなってる!!!

毎日、頑張ってたんだっ!!

「皆んな凄く強くなったね!!!」

「だろ!俺達、毎日毎日、蟹ばっかり狩ってたから、堅いモンスターなら任せろ!」

ソルトがドヤ顔で自慢していて、すぐ後ろにモンスターが迫っているのに気付いてない!
皆んなが声を揃え、油断するソルトの名前を呼んだ時、

"Ice statue"

上城さんが、ソルトの背後の敵を一瞬で凍らせ冷やっとした空気が辺りを包んだ。

「輝!今の技!凄いじゃないか!お前が一番、頑張ってたからな」

アカギと赤い月に肩を組まれ、上城さんの顔は照れながらもとても嬉しそう

「これは私もウカウカしてたらあっという間に輝に抜かされそうだ」

「と、とんでもない!ジャックには敵いませんから。」

みんなして、上城さんを囲んで、それぞれの成長を喜んでいる。
なんかちょっと、男の友情を感じる瞬間!!


「さぁ、ロミーさん、ジャック、もっと近くへ行きましょう、皆んなも気をつけて!」





アカギ達とわかれ、私達はまた進みはじめた。
魔神に近づけば近づく程、モンスターの数も強さも増していく。

フィオナ達のいる本拠地を見てみると、地震の影響で崩れ、岩がむき出しになり、崖のようになっていた。
魔法で影響が出ないようにしていたけど、もちそうになく、移動を始めているみたい。

「あの丘も崩れそうだし、拠点を移すみたいですね」

「その方が良いだろう、あそこまで崩れてるし」


走りながら話をしていると突然、叫び声が聞こえた

「逃げろーー!!!」

頭上に、大きなマグマの塊が見え、私はとっさに杖を振った。




「し、死ぬかと思ったぜぇ・・・」

腰を抜かしたソルトがヘラヘラと笑っている
とっさに私はGATEを開き、大穴の反対側へみんなと移動した。

「ロミー、ありがとう!!!マグマなんて、流石に防ぎきれなかった」

確かに、私でもあんな大きなマグマの塊を防ぎきれる自信が無かった為、悔しいけど、こうしてGATEを使用したと言うわけ・・・

「地形の凹凸を利用して、あの窪みに取り敢えず、身を隠そう。幸い、此方側はまだモンスターは居ない」

ジャックの指示で私達は一度、身を隠した

「こんなに穴の近くに移動して大丈夫なんでしょうか?」

穴の反対側は、マグマの塊がゴロゴロ転がっており火の海だ。

「今、向こう側に戻っても二次災害に巻き込まれるだろう。だがあれのお陰で、モンスターの数も減った。少し、ここで様子を見よう」

「うん。ジャックの言う通りだと思う。私はあの魔法陣に魔力を注ぐ。魔神を抑える為にフィオナも頑張っているはずだから、少しでも早くしないと」





無限に溢れ続けつつ私の魔力なら、同時に何種類かの魔法を出しても効果は持続するはず、でも、高度な技術を要する為、集中しないと・・・・・

まず私は穴の反対側怪我人達に広範囲で回復魔法を・・・
効率の良い場所に魔法陣をいくつか展開して・・・

"healing shower"〈癒しの雨〉

数カ所に癒しの雨を降らせて、これで、少しは、よくなると良いけど。
後は、このまま癒しの雨を降らせ続けて、上空の魔法陣へ魔力を注ぐだけ。
魔力を濁らせないように、集中、集中・・・


「モンスターがこちらにも来た!皆んな、ロミーの邪魔をさせるな!」



動ける魔法使い達が、魔力を注ぐ中、穴の中から今もモンスターがうじゃうじゃ這い上がって来ていて、不気味なうめき声も聞こえて来る。





魔力を注いでいると、また頭の中に声が聞こえて来た。

『増幅魔法で魔力をかき集めて強力な一撃か・・・良いアイデアだねぇロミー、くすくす』

またアンタか。今は邪魔しないでもらいたいんですけど。

『まぁまぁ私はロミーと遊びたいんだよ。こうやってちゃんと二人で話をするのもひっさしぶりなんだからぁ』

久しぶり?やはり知り合いなのか・・・

『手伝ってあげようか?』

は?バカにしてるの!?
自分で魔神作らせておいて、手伝うって何!?







一瞬で上空に集められた魔力は数十倍の大きさになっていた。

「いったいどこからあんな量の魔力が集められたのだ!?あれはお前がやったのか?」

声がして振り返るとレオリオン率いる第1騎士団だいた。

「レオ、来てくれたの!?」

「お前達が、移動したのが見えたから、援護にきてやった」

「ありがとう!レオ!」

「し、職務を遂行しているだけだ」

でたーツンデレー♪




「お、おい!魔神が穴から出て来るぞ!!!」

今度こそ魔神が出てくる!?
上空に集められたあの魔力を使って、魔法を撃ち込めば、かなりのダメージを与えられる!!!

「極大魔法を使います!皆んな、離れて!!!」



さらに意識を一点に集中させ、杖を魔神へ杖を向けた。

「なんて凄い魔力なんだ!!普通あんなの扱えないぞ」

「あいつはいったい何者なんだ!!!」

「魔法陣が光りだしたぞ!!!」






『ロミー、注目されてるねぇ。もー少し手伝ってあげるよ』

なっ!?

私の身体は宙に浮き、魔法陣の真上で止まった。

『これで、魔法を使えば、アンタは神として崇められるかもね』

やめてよ!ふざけないで!

『あーぁ、観測者が物凄い顔してこっちにくるよ』

オブザーバーさんが物凄いスピードで私目掛け飛んできている!

「ちょ、ちょ、止まって!わっ!」

そのまま私の身体の中に入ったオブザーバーさんは、ものすごく怒っている!

「オブザーバーさん!何するの!!」

「ロミー、"イレギュラー"の言葉に耳を傾けるな!」

『さぁ、魔神に極大魔法を!!!』

空が暗くなり、雷が鳴りだした。








ー地上ー

「ロミーさんにいったい何がおこってるんだ!?」

「ロミーメチャメチャ光ってないか!?」

「誰か、様子を見に行った方がよくない???」

「私が行こう」

ジャックが"fry"を使用し、勢いよく飛び出して行った

「ジャックー!よろしくお願いしまーす!!」









『きゃははは』

「オブザーバーさん!やめてください!」

オブザーバーさんが、私の身体に無理やり入り、"イレギュラー"に攻撃をしようとしている。

「ロミー、止めてくれるな!!」

『ロミーの体を使って、私を傷つけられるとでも思ってんの!?ぎゃははは』

「姿を表せ!!"イレギュラー"!!!」

何もない場所に魔法を放ち、威嚇した

「ロミー!!」

「ジャック!?何でここに!?」

『ジャック・・・』

「いきなり飛んでいくから、君が心配だったんだ、いったい何をしているだ」

突然、オブザーバーさんが、私の身体からでて、辺りを見渡した。

「"イレギュラー"は居なくなったみたいだ・・・それより、魔神が出てくる前に、撃ち込むんだ!」

・・・やろうとしたら、オブザーバーさんが邪魔しにきたんじゃ・・・

「ジャック、とりあえず、少し離れてください、一気に行きますよ!」



今度こそ、今度こそ!!!
魔神へ極大魔法を!!!
魔神が穴から顔を出していた。

呼吸を整えて杖をもう一度魔神に狙いを定め、集中した。
この膨大な魔力を無駄なく全て魔神にぶつけるために。

"白き息吹で白銀の世界へと誘え!absolute zero"〈絶対零度〉

静寂が広がった後、鋭く落ちる無数の雷鳴にかき消されながらも魔神に直撃した極大魔法は、大穴の周囲までも凍りついていた。
穴の中のマグマは完全に凍っていて、中の魔神もそのまま凍っていた。









騎士団の偵察部隊が、魔神の周りを取り囲んでいる

 人造魔神の心臓はほぼ停止状態の様だけど、死んだわけではなく、冬眠状態に近いようだ。

「この氷は・・・全く溶けないようです。しばらくはこのままでも、問題ないかと思われます」

報告を受け、団長が指示を出し始めた

「被害状況の確認を急げ。怪我人は引き続きこちらに動ける者は皆、手伝いを!そと技師長、結界の準備を!必要な物を直ぐに集めさせろ」



オブザーバーさん、今度は団長の身体に入ったみたい。
みんなに声が聞こえないのは不便だったから、良いんだけど・・・



「ロミー、お前達はテントで休んでいろ」

「レオ、でも怪我人の治療手伝うよ」

「それは、我々騎士団に任せて、お前達はゆっくり休め」

メッチャ上から目線だけど、優しさを感じるよリオンの兄ちゃん。

「じゃー、お言葉に甘えさせてもらって、休ませてもらいます。」



皆んなで、少し離れたテントに移動した



「しかし、あのエミリオンさんの兄も中々クセのある男だな。ツンデレが激しそうな男だと思う」

「あぁ、白バラさんもそう思います?あいつメッチャ、ツンデレですよー」

「ロミー様ぁ!」

手を振るフィンが遠くに見え、私も手を振った

「フィオナ様はこちらのテントでお休みになられておられます」

中に入ると、フィオナグッタリしていた

「大丈夫フィオナ?」

「はい。少し疲れただけですので・・・」

目の下のクマが目立つ。
身体への負担が相当大きかったようだ

「オブザーバーさんフィオナの身体に無理させるから、心配したよ」

「いえ、観測者様の為ならこの身がどうなろうとも、問題ありませんわ」

・・・信仰心が強過ぎると言うのか何なのか・・・

「ゆっくり休んで」

「はい。皆様も今のうちにゆっくり身体を休めてくださいね」



安心したら、その場で、倒れ込むように眠ってしまった。


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