Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

64 "イレギュラー"の戯



「・・・気を失ったみたいだ、一先ず安心だな」

バニラが、私の上から離れ、フィオナの元へ向かい治療を再開した。

「桜、ロミーの眼を治療してやってくれ」
「分かっ、た・・・って、ロミちゃんはドコ???」

眠っているはずの私の身体が見当たらずみんな立ち上がって探している。

『ロミーの身体、少し借りるよ』
「観測者!?借りるって!?ロミーの身体使って何する気だ!!」
「観測者さん!?」
『"イレギュラー"と対話する』
「おい!待て!?・・・クソっ!どっかに行っちまった・・・」
「ねぇ、ロミちゃん大丈夫よね!?」
「バニラ、ロミーがどこに行ったかわからないのか?」
「ロミーさんは無事!?」
「わからねぇ・・・"イレギュラー"とか言うのと対話するって言ってた」









ーどこかの空の上?ー

足元には雲?空には星がたくさん見える・・・ここ何処??

『やぁ、ロミー、君の身体の中に入らせてもらってるよ』

オブザーバーさん?

『"イレギュラー"と話がしたくてね。少しの間だけ、我慢してもらえるかい?』

"イレギュラー"?

「やっほー、私の事だよー」

目の前に手を振る女性が立っている。
私と同じくらいの髪の長さで、黒髪で白いワンピース、腰に狐の面をぶらさげている???

「久しぶりだね、ロミー」

久しぶり?

『"イレギュラー"君はこの世界をどうするつもりだ?』
「この世界?あぁ、この世界に用は無い」

???

『なら、何のために、この国に人造魔神を作らせた?』
「隣国がキャタルス王国を潰したがってたから、内部から崩壊するようにちょいちょいーっと何人かを誘導したりして、魔神を作らせただけ」
『何故、そのようなことを・・・』
「退屈だったから」

退屈?

「そーだよー!戦争1つない本当につまらない世界でさぁ。今の国王の魂をちっぽけな悪魔にちょーっと味見させてあげたら、前の国王を毒殺させてなんやかんや野心の塊だったおかけで、いい具合に悪魔を育ててくれてさ、もう時期あのクズ国王は食い殺されるよー楽しみだなぁ」

は???

『何故だ』
「小さな火種をあちこちにまいて少しずつ少しずつ、育て、大きな大きな混乱へと成長させていく過程はとても楽しいよ、ロミー」

楽しい?

「うん。とーっても楽しいの」
『ロミー"イレギュラー"のペースにさせるな』

楽しいって、頭おかしいのかこいつ!

「失礼だなぁ!全てはつながっているんだよ、ロミー」
『あの魔神はどうやったら止められる!!』
「えぇー無理でしょー強いやつここには居ないし。あ、でもロミーは強いよ?暴走したら私でも手に負えないかもしれないから、そこそこ良いとこまでは行けるかもねぇ?きゃははははは」

いったいなんなの!?

「あーでもでもぉ、私達、強いじゃーん?だから、あの頃みたいに二人で協力してやったら一瞬かもねぇ?ま、今は一緒になんてやらないけど。ぎゃはははは」

二人で?・・・

『"イレギュラー"、君の狙いはロミーなのか?』
「そうだよ。気がつかなかった???この世界は、ただの遊び場。ロミーと遊ぶためだけの場所。んふふ、」

私と遊びたい?どうして?そうだ!私に、この呪いをつけたのって、アンタ!?

「うん。そーだよー」

は!?そんなにアッサリ認められるなんて・・・

「こっちに連れてくるのに何回か失敗もして、だいぶ時間かかったけど、やっと、アンタをこっちに連れてこられたんだよ?時間は掛かったけど、予定通りだよ。楽しまなきゃ」

お前が!お前が、私達を連れてきたのか!?

「あーあー、怒っちゃってぇ。それも計画通り」

ふざけんな!今すぐ、元の世界にみんなを帰してよ!!!

「くくくくく、やーだよー、まだまだロミーには遊んでもらわないと、用意したクエストを沢山クリアして、私が作ったゲームを楽しんでってもらうよー」

ぶさけんな!!!何がゲームだ!人が沢山死ぬのもゲームとか言う気!?

「そーだよ」
『ロミー、落ち着くんだ!向こうのペースに乗るな!』
「ぎゃはははは、バニラは懐いてる?犬は?ジャックは?"部長"は?仲良くやってる???あはははは」

"部長"???何で、部長がでてくるの!?

『このままではラチがあかない!』
「やだなぁ、"観測者"が私を殺す気?"観測者"は直接、手を下してはいけないはずだよねぇ?ねぇ???きゃはははは」
『クッ・・・』
「私も"観測者"も直接手を出せないのはこの世界のルール。でも抜け穴を探すのは昔から得意でね、直接できなくても、間接的にならどうにでもなる!さーすが、私。キャタルス王国は悪魔に取り憑かれていたことで、いくつもの派閥が対立し、勝手に崩壊する。NPC同士で潰しあってくれるって、楽だわー」

NPC!?この世界の人々はゲームのキャラじゃない!

「この世界がゲームじゃないって誰が決めたの?偶然見つけた世界に私がシナリオを足し、ここまで大きく育てたんだよ。この世界は学習スピードが早く、あっという間に数百年分育ったよ。私はこの世界の創造主といってもいいんじゃないかな?あはははは」

『・・・お前は創造主なんかじゃない!ただの"イレギュラー"だ!!!ロミー、この"イレギュラー"をこの世界から排除する。手伝ってもらえるか』
「今まで、殆ど何もしてこなかったのに、今更何が出来るのかしらー?ふふ」

・・・いったい、どう言うこと???








ー大穴の上空ー

風が吹き荒れ、大穴の中にはマグマがぶくぶくと弾けその中には大きな魔神の顔が見えた

「戻ってきた!?しかも空の上!?」
『あの人造魔神をまずは倒し、"イレギュラー"の企みを全て阻止する』

私の身体は宙に浮いている。
観測者の力の様だ。
あれ程激痛だった眼も今はアイマスク無しでも平気だ。


「オブザーバーさん、何をすればいい?」

私が質問をした瞬間に、オブザーバーさんが魔法を唱え始めた。

『裁きの雷』

一瞬で空が真っ暗になり、大穴の魔神めがけて大きな雷が落ち、ビリビリと稲妻が大地に拡散した。
物凄い衝撃で大地が揺れ、騎士や冒険者達やモンスターが、その場に止まるのに精一杯な様だ。


『これは、時間稼ぎに過ぎない。フィオナの元へ行こう』






そのまま空を飛び本拠地へ移動した

「ロミー!?何故空を飛んでいるんだー?」

「あぁ!ジャック!これーどーやって着地すんのー?わー!わー!わ!ぎゃっ!」

ドスンッ

何故、地に足が着く寸前で身体から出たんですか、オブザーバーさん・・・

「だ、大丈夫か!?ロミー?」
「ロミーちゃん!は、鼻血出てる!!!」

ジャックに身体を起こされ、
鼻血を袖で拭おうとした瞬間、全力で上城さんに止められた。

「これ使って、服はやめよう、ね?」

「すみません、時間が惜しくて、つい。」

上城さんからハンカチを借りて鼻を抑えた。

「そもそも、オブザーバーさんは何で私の身体から突然出たの?マジ、顔面痛いんですけど・・・」

ブツブツ言いながら鼻血が止まるまで待っていると、ジャックに頭をなでられた

「さっきの雷、オブザーバーさんがやったんですよ、私がいない間の状況はどんな感じでした?」

「やはり、そうだったんだね。魔神の動きはまだないが、地震の影響でかなり怪我人も増えている。ロミーは何があった」

「詳細はまた後で話しますが、オブザーバーさんが"イレギュラー"と呼ぶ存在の声が、少し前から私には聞こえていて、そいつのせいで、私はこの呪いを受けた事が分かりました」

「・・・詳しく聞く必要がありそうだね。その為にも早くこの戦いを終わらせないと」

うん、早く終わらせないと!

穴の中から、巨大な手が見える。
いよいよ人造魔神が出てくるのだろうか!?







『バニラ、フィオナの身体に入るよ』

「おい、お前さっきから何やってんだ!今度は司祭かよ」

『フィオナに"Serenade Selene"をやってもらう』

「え!?オブザーバーさんそれ本当?フィオナは休ませた方がいいんじゃないの???」

「観測者様は何と仰られているのだ」

「フィオナにまた『Serenade Selene』をやってもらうって言ってます。魔神の動きを少しでも鈍らせておきたいようです」

皆んな信じられないと言った表情をしている。
私もその一人。
ここまで衰弱しているフィオナにこれ以上無理をさせて本当に大丈夫なんだろうか??




ゴゴゴォォォォォォォォォ
地震!!こんどの揺れもかなり大きい、ココもだいぶ崩れ始めている


「魔神の動きを少しでも遅らせれないかな?マグマを固めたりできれば・・・」

「・・・桜子さんそれ、いいかも、凍らせれないかな!?」

私は団長の元へ行き、動けるもの全員に氷魔法を詠唱させるように頼んだ。
大穴の真上に増幅効果のある魔法陣をだして、そこに吸収させてまとめて撃ち込めば!!

『ロミー、私も手伝おう』

フィオナの身体を使ってオブザーバーさんが、魔法を使った

大地にあいた大きな穴を覆うほどの大きさの魔法陣だ

「なんという規模だ・・・あれこそ神の御業!!!最高司祭様は本当に素晴らしい!!」

皆んなにはフィオナが使った様に見えているみたい。
私も最前線に出るべきか・・・ココからでは届かない。もっと近づかないと。

『フィオナ、もう少しだけ無理をさせるが頑張ってくれるかい?"Serenade Selene"を始めるよ』

「はい、観測者様。」

『私が全力でサポートをするよ。本当に無理をさせてすまない』

フィオナの身体を労ってたはずのオブザーバーがフィオナに更に負担をかけさせるなんて、それ程、魔神は危険ということとだろう。







ー空の上ー

先程の"イレギュラー"の女が我々を見下ろしお腹を抱え笑っている。

「"観測者"のあの焦りようったら、本当に笑えるわーぎゃはははは。あれは司祭を殺しかね無いわー。さぁーロミー、アンタはどこまでやれる???ふふふ」



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