Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

63 戦地混乱




「残り時間も少ない。ロミー、始めよう」

私達はフィオナの前に立っち、GATEを開いた。

「私はここまでですね。後は皆様よろしくお願いいたします。」

そう言うと、フィオナは疲れ果て、その場に倒れ、レオとリオンが直ぐに受け止めた。

ゴゴゴゴゴゴオォォォォォォォ!!

「水槽の中に空気が入れば、おそらく、水槽ごと破裂いたします故に、お急ぎください」

物凄い揺れで、建物内のそこら中で悲鳴を上げている!!!
人造魔神の鼓動が早くなり、それにあわせ、水槽のヒビが広がる!

『さぁ、一気に、あれをあちら側へ!』



ギィィィィィィィィィ!!
水槽が軋む音、壁に亀裂が入る音、崩れ落ちる音、足場も危うい!






オブザーバーさんが手を挙げると、魔法陣が広がり、光り輝いた。
GATEの先を誘導してくれたのがわかる。

「ここは危険だ!!」

鉄階段が崩れる音が聞こえるけど、そっちに気を取られてる余裕はない!!

ドックン!ドックン!ドックン!
ゴォォォォン!ゴォォォォン!
ピキピキピキピキ!!!

次の瞬間、水槽が破裂した!!!!

あまりの衝撃に目を閉じてしまった!辺り一面水浸しだ。

「水槽が無い!水槽は向こうに送れた!?成功したの!?」

運良く、水槽は私たちの居る層より下の方で割れたみたいで、そこまで被害はなかった。
でも私はガラスの破片が顔や腕をかすめていたようで、血が出ていた。

遠くから夕刻を知らせる鐘の音が聞こえる。

「カウントダウンは!?」
『早く脱出を!ここはもう持たないよ!!!』

オブザーバーさんの声で、見てみると鉄階段が崩れており、今いる通路もオブザーバーさんの魔法で浮いている状態だった!!

「先に脱出しましょう!ジャック!こっちに来て!」

フィオナの元へ走りGATEを通って、一先ず本拠地に移動した!!!
GATEを通り抜けると、鉄階段や通路ば大きな音を立てて崩れ落ちていった。

「エミリオン、私は行く、司祭様を守れ!いいな」
「はっ!この命に代えてもフィオナは私がお守り致します!」

レオは馬に乗り最前線へ向かっていった!!
戦地は不自然なまでに静まり返っていた。

「ねぇ!魔神は!?成功したよね?」

みんな同じ方を見て、固まっている?
みんなの見ている方をみると、少し離れた場所に湖があり、みんなそこを見ていた。
あの巨大水槽はあそこに落ちたってこと?
破裂して、中の液体で赤く染まった?

『アレは、湖に落としたよ。急激に成長しているようだ』

湖の水面が波打っている!!!
数キロ離れたここまで地響きが届いている!!!

ドォン!・・・ドォン!・・ドォン!ドッ!ドッ!ドドドドドドドド!!!!

だんだん揺れが激しくなり、人々の悲鳴が聞こえだした!
大地に大きく亀裂が入り、本拠地のテントなども崩れている!

"gravity circle"〈重力操作〉

丘の上だけ、地震の影響を受けにくくするため、魔法を使った

「あ、ありがとうロミちゃん!助かったわ。あれ?怪我してるじゃない!回復するから動かないで」

レオと戦闘した時の切り傷と、さっきのガラスの破片で戦闘前から既にあちこちボロボロと言う・・・

「ロミー、来てくれないか!フィオナの様子がおかしい」

え?
駆け寄ると、呼吸がとても苦しそうだった

「フィオナ?」
『よくない魔力を感じる』

何?何で?

『おそらく、イレギュラーが君に近づいた時に、フィオナに、よくない物が流れたようだ』

え!私のせい!?どうすればいいの!?

「そんなもん、考えなくても吸い取る他ないだろ」

バニラがフィオナのお腹に飛び乗った

「バニラ、吸収できる?」
「まかせろ」
「リオン、フィオナならバニラがなんとかしてくれるって、安心して」
「あ、あぁ・・・この猫が?」

そうか、リオンはバニラのこと知らないっけ?

「バニラ、今は、人型になってくれないかな、その方が、リオンも安心すると思うし」
『仕方ない』

突然目の前に猫耳の美少年が現れ、みんな驚いているみたいだけど、直ぐにバニラがフィオナの額に手を乗せ、魔力を吸い出し始めた。

すると最前線の方から大きな爆発音が聞こえ、驚き目をやると、先ほどまであった湖が見当たらず、あたりを見回していると、赤い雨が降り始めた!!!

「な、何この雨!?魔神は!?何処!?湖の中に居たんじゃないの!?」

魔神の姿が見えず、みんな不安がっているのが感じ取れ、私はすぐさま、眼を閉じて意識を集中し魔神の居場所を探した。

・・・集中。
すると、ズキン!と眼の奥が疼いた。
頭がグラグラする!!!
計り知れない程の、強大な魔力を感じる!!
吐きそうなくらい頭が持っていかれそうだ・・・
どこ?魔神の姿は???
頭が、ぐるぐるする!

私は片膝をついた。

「ロミー、大丈夫かっ!?アイマスクの隙間から光が?眼が光っているのか?」
「あ、熱い!めが!目が!あぁ」

あまりの痛さにアイマスクを外し両眼を抑え、地面にうずくまった!!

「ロミーさん!?ロミーさんの眼!何で光ってるの?」
「魔神なんかを感知しようとするからだ!お前の眼球が吹き飛ぶぞ!力を使うな!!!」

バニラが走ってきて私の身体にまたがり、眼を抑えた!!!

「観測者!手伝え!」
「ぐぁぁぁ、下、地面の下、に、いる!!!!」
「なに!?」


ゴゴゴゴゴゴオォォォォォォォ

地震が強くなり、前線の冒険者達のいる大地の歪みが広がり、勢いよく大地が盛り上がって、岩が周囲に飛び散った!!!!

「な、なにが起こった!?」

その近くに居た冒険者や騎士団の人達が見当たらない・・・
そのかわりに、大地に巨大な穴がみえた。

「何があった!被害状況を直ぐに確認しろ!」

大穴は数十メートルくらいだろうか、穴の底から微かに炎が見えている。
騎士団長が、せわしなく指示を出し、バタバタと騎士達が走り回り、怪我人が次々とココ、本拠地に運び込まれる

「報告致します!第2、第5部隊と連絡が取れません、崩落に巻き込まれた可能性が高く、湖の方へ移動していた第8、第9部隊とも連絡が途絶えました。その他の隊も負傷者が多数でており、その数は甚大です!!!」
「なんという事だ・・・一度、退かせ体制を整えよ!まだ始まってもいないというのに、このざまとは・・・王国騎士として情けない・・・!!」





「ロミー!」
「ロミーさん!」

みんなが私を呼んでいる!
バニラが私の力を押さえつけてくれているのが分かる・・・
でも眼が破裂しそうなくらいに痛い、痛い、痛い!!!
観測者はずっと、平原に開いた大きな穴を見つめ続けている。
バニラの耳がピクピクっと動き、突然立ち上がった!!

「何だ!?穴の中から、大量のモンスターが来るぞ!!!」
「何だと!?本当か!?皆に伝えろ!モンスターに備えさせるのだ!」

騎士団長の指示は前線の騎士や冒険者達に届く前に、物凄い数のモンスターが穴から這い上がり出てきた。
十分に体制を整えることが出来ないまま戦闘が始まってしまった。



「ロミちゃん!眼から血が!!治療するわ!」
「アカギ達も行くのか!?いいか、皆んな、絶対に最前線には行かないと、約束してくれ」
「あぁ、分かってる!前線を抜けてきたモンスターだけを狙う!」
「無理せずに、危険と判断したらすぐにココへ戻ってくるんだ」
「ネコ、お前はココで怪我人の治療に専念しろ!いいな」
「キャ!指が!アミュレットが熱い!」
「ロミーさんから大量の魔力が流れ込んでる!?痛っ」
「観測者!いい加減、手伝え!聞いてんのか!おい!くそ!輝、ジャック、桜!今すぐアミュレットを外せ!お前達の指が吹っ飛ぶぞ!!!司祭も付けてるはずだ!探して外せ!!」

3人が急いでアミュレットを外し、フィオナの元へ駆け寄り同じ物を探した!





痛い痛い痛い痛い痛い!!
目が破裂する!



『ふふふ、いいねぇ、カオスだねぇ。無双ゲーム観てるみたい。あはっ、あは、あはははは、きゃはははははは』
「やっと会えたね"イレギュラー"君とは話をしたかった」
『この世界の"観測者"私もアンタと話がしたかった』






「観測者!お前、誰と話ししてんだ!!チッ、聞こえてねぇのか!!ロミー、楽にしろ!力を抜け!何も考えるな!深呼吸だ!」

痛い、熱い、楽になんてできない!力なんて抜けない!

「大丈夫!俺がいる!」

バニラの声が遠くに聞こえた・・・






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