Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

60 消えた記憶




桜子さんが冗談を言ってるとは思えないけど、私が知らない事を知っていているという事は、本当に私の記憶が無い???


「ジャックはね、自分の事を覚えて居ない事を物凄くショックそうにしていたわ」
「・・・全然そんな風には見えなかったけど、」
「ヤキモチ焼いて怒っているのは何度か見た事あるけどな。キャタルスシティへ出発当日の輝とジャックのギクシャクした感じは、笑ったよー。ロミー、ここ、シワになってる」

白バラが笑いながら私の眉間に指をさしたので、自分の指でシワになった部分をグリグリ押してみた。

「アレね、あの日は色々タイミングが悪すぎたんだよ。はは・・・」
「ロミーさんは輝さんとジャックさんのどっちが好きなんですか??」

ネコッチがキラキラした瞳で言うと、みんなの瞳まで輝きだした。

「うーん、上城さんはただの上司だし、ジャックは・・・今はよくわからないや・・・二人共、良い友人って感じかなぁ」

アレ?4人とも詰まらなさそうな表情?なんで?

「まぁロミちゃんが鈍感なのはいつもの事だから、わかってたけど。」
「なんで、ジャックは話してくれなかったのかな・・・言ってくれれば、」
「突然連絡が取れなくなったら嫌われたんだと思うじゃない?再会して、自分の事を覚えていなかったら、複雑だと思うわー。探り探り、初対面のふりをジャックも続けたんだと思うけど・・・」
「なぜ、ロミーさんの記憶が無いんでしょうか?」
「たしかに簡単に人間の記憶は忘れられるものじゃ無いからね」
「私、記憶喪失?って言って良いのかな?」
「そうね、原因は分からないけど、自覚のない記憶喪失と言えるんじゃ無いかしら」
「はぁぁぁ、ジャックが優しかった直後に冷たくなるのって、私の記憶が原因だったのかぁぁぁぁぁぁあ!!」

でも自覚のない記憶喪失って何!?

ピロン♪
上城さんからだ!

『ナターシャが交代しに来てくれて、休憩に今から行くんだけど、ロミーさんお昼は?』
「あ、もうそんな時間??上城さんがお昼食べに行くって、もう14時なんだね」

3時間くらいみんなと話してたみたい。
みんなもお腹空いていたようで、マリアさんの手料理を食べに行く事にした。

私がGATEを開くと、みんな驚いている。

「え?ロミちゃんGATEマスターしたの!?凄いじゃない!」

みんなを先に行かせて、私もGATEに入った。

「わぁ!宿屋の中に直接、繋がった!!なんとかドアみたいですね!!」

私がGATEを閉じると、真後ろのドアが開いた。

「あ、ロミーさん達もここでお昼?」

上城さんの声がして振り返ると、目の前にジャックが居た。

お互い気まずくて、何も言わずに私は道を開けると、ジャックはそのまま、席に着いた。
ネコッチ達もそれを見て、ちょっと苦笑いをしている・・・

「上城さん、一人で護衛させちゃって、すみませんでした」
「全然大丈夫だよ。それよりそっちは大丈夫だった?ジャック、何も教えてくれないんだ・・・」
「まだ解決してないんです・・・」

上城さんが私の肩をポンポンっとして、ジャックの隣に座った。

ネコッチと白バラさんとカナナンはカウンターに座って話をしている。

「ネコッチ達には私がお願いして、離れてもらったから、4人で話しましょ。」

え・・・私は上城さんの正面に座った
気まずい時間が流れる・・・
料理が出てくるまで、特に会話が続かず、ちょっと辛い。

「ロミちゃんの記憶について話しても良いかしら?」

・・・

「ロミちゃんは、ある時を境に一部の記憶が欠落していると私は考えているわ」

・・・うん。そうみたい。

「だから、ジャック、わざとあなたの事を忘れたわけじゃ無いと思うの」
「やっぱり、覚えていないのは、記憶喪失なのか・・・」

下を向き頭をくしゃくしゃっと掻きむしっている。

「えーと自分でも、記憶喪失って言う実感が無いんで、よくわからないんですけど、桜子さんの話を聞く限り、記憶喪失が当てはまるのかと思います・・・」
「ロミーさんの記憶喪失って具体的に何を忘れてしまっているのかな?」
「・・・うーん、自分ではわからないんです。」
「そうね、こればっかりは、自覚が無いから仕方ないと思うのよね。まず、ジャックの事をすっぽり忘れているのは間違い無くて、もし他にも忘れていることがあるとすれば、思い出話をしていけば、会話が噛み合わなくてわかるんじゃないかな?と思って」
「そうだね、今は会話の中で何を忘れてしまっているのか、判断するしかないね・・・」

ジャックが私を見つめ、しばらく黙った。
・・・無言で見つめられるのって結構辛い。

「私、知らない間にジャックを傷つけてたみたいで、ごめんなさい」
「いや、私が勝手に君に期待して、大人気ない態度を何度かしてしまったね、すまないロミー・・・私を許してくれるかい?」

わぁぁあ!!?
困り顔で言われて許さないわけない!

「許します許します!全然許します!だから私も許してください!!!」
「はは、君には本当に困らされるよ・・・」

ジャックは私の居る方とは反対に顔を向け、表情を見せてくれない。
まだ怒ってるのかな???

「やだー、ジャックぅ〜照れちゃってぇ」

照れてるの?許してくれたかな?
ジャックが笑ってる!良かった、大丈夫そう!
私は一気に疲れが出て、机に顔を突っ伏すと、桜子さんが頭をなでてくれた。

「ジャックとロミーさん2人で話をする?僕等席を外そうか?僕等が居ると話辛い事をあるかもしれないし・・・」
「わ、私はよくわからないから、ジャックにお任せします」

ジャックについての記憶が無いから、何を話して良いのかわからないし。

「2人きりなるチャンスはいつでもあるから、大丈夫だよ。ありがとう。でもまぁそれより、今2人きりになったら、間違いなくロミーさんを抱きしめて離さないと思うからね(ニコニコ)」
「きゃー、ジャックって本当に大胆よねぇ、ふふふ」
「ジャックのそういう所、尊敬します」
「・・・わぁぁぁぁ(赤面)」

私は顔を隠しまた机に突っ伏した。








食事が終わり、外の洗い場の横のお手洗いからでてくると、ベンチに腰掛けタバコを吸うジャックの後ろ姿が見えた

「タバコ、まだ持ってたんですか?」
「いや、電子タバコのカートリッジはもう無いんだけどね、口にくわえるだけでも違うんだよ」
「口寂しいってやつですか?」
「あぁ、そうだね」
「・・・こうやって、ジャックを見てると、前にもタバコ吸ってる姿を何となく見たような気がします・・・」

何となく懐かしいような気がするんだけど、はっきりとは思い出せない・・・
首を傾げ、思い出そうと上の方を見ていると、突然、視界に何かが覆い被さって驚いた

「わぁ・・・」
「すまない、少しだけ、少しだけこのままで居させてほしい・・・」

ジャックに力強く抱きしめられていた。

「でへへぇ」
「・・・ぷっ、ちょっ、ロミー!その笑い方、雰囲気台無しじゃないか」
「だって、照れるんですもん!でへへぇ」
「ぷははははっ」
「良かったぁジャックが笑ってくれたぁぁぁあ」

ジャックが笑ってくれた事が嬉しくてそのままジャックの胸に顔を埋めて抱きついた。












「キャー!見ました?ジャックさんとロミーさん、抱き合ってますよ!素敵!」
「あの二人ならもう大丈夫そうねぇ。でも、上城君、モタモタしてらんないわよー。ロミちゃんジャックに取られるわよ」
「いや、俺はそんなんじゃ・・・」
「ネコッチとアカギの進展も気になるとこだけど、輝、アカギにネコッチとどーなってるのか聞いてきてくれないか」
「もー!白バラさん!私の事はいいですから!!!」





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