Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

59 始まりの村



大学の時から"キング"のオフ会はいっぱいあって、何回か参加したけど、ギルドメンバーだけが集まるギルドオフ会は、半年に一度のペースで開催されてて、どこかのお店を貸し切りしたり、みんなとオールでゲームをするオフ会などに参加していた。

最後にオフ会に参加したのは、一年以上前かな?
社会人になって学生時代とは違って毎日クタクタで、仕事もゴタゴタしてたし(主にオババのせい)休みの日に遠出してまで夜更かししても、また帰ってきて次の日には仕事だし、面倒だなーって事で、参加しなくなったんだったなぁ

あー懐かしい・・・

でも、ジャックも同じギルメンだったわけだし、オフ会で会っていてもおかしくないよね。
でも、ジャックのあの感じだと、私が覚えてないだけかな?
ジャックが、オフ会で私とペアを組んだって言ってたけど・・・
確かにオフ会で誰かとペアを組んでバトルをした記憶はあるんだけど、誰とだったのかは思い出せない・・・

最近、なんとなーく思ってたけど、忘れてしまっている事が多いような気がするんだよねぇ・・・

観測者がふわふわと私の方に近づいてくる。
ニコニコしながら私の眉間に指をさし、

『険しい顔してるね、ココ、しわが寄っているよ』

・・・

『イレギュラーな存在が君と君に関わる人達に近づいて来ているようだね。中違いするのを狙っている可能性もある。気をつけた方がいい』

"イレギュラーな存在"?あの声の事かな?
私意外にも?攻撃?精神攻撃?
あぁ、また頭の中ぐるぐるしてきた。

『あの人の狙いはソレだよ。君達の心を壊そうとしているんだよ』

「私達の心を壊そうとしている???なんで?どうして?だって私はあの声の主を知らな・・・知ってる?覚えてないだけ?これも忘れてる?私は他に何を忘れてる??忘れている事すら忘れてる????」

呼吸が乱れてるのが自分でもわかる。
ダメだ。考えるな。落ち着け、落ち着け、私。

はぁ、はぁ、はぁ、スーーーー、ハーーーー・・・わっ!?

誰かが、突然私を抱きしめた。

「そう、ゆっくり深呼吸してごらん。ゆっくり吸って・・・ゆっくりはいて・・・」

あ、ジャックだ、ジャックが来てくれたんだ。
ちょっとホッとする。
ジャックの言う通りにゆっくりと深呼吸をした







何分経ったかな、ずっとジャックが私の肩を揉んでくれている

「ロミー、過呼吸持ってる?初めてかい?」
「あー、これを過呼吸って言うんですか・・・それっぽい事は最近ちょこちょこありました」
「過呼吸になった時は、楽しい事を考えながら、ゆっくり吸って、ゆっくりはく。これが一番だからね」
「ありがとうございます。落ち着きました」

お礼を言うと、ジャックすぐに私から離れていった。

「ジャック、待ってください!」

私は左手を伸ばし、ジャックの腕をつかもうとして、振り払われた。

「え・・・」
「すまない・・・今はちょっと、」

なんで???
頭なでてくれたり、抱きしめたり、優しくしてくれたり、肩揉んでくれたりするのに、急に冷たくなるのはなに?

「ローミーちゃーーーん♡」
「あ、桜子さん」
「なによ、その素っ気ない返事は、せっかく私が来てあげたのにぃぃ!!!」
「あ、いや、ごめん、」

あ、私、今、なんか、泣きそうな気がする。

「ロミちゃん?」
「GATEなんか使って、どこに行く気だロミー」

とっさにGATEを開いて、ジャックに腕を掴まれる前に私はみんなから逃げた。












ー始まりの村ー



危うく叫びそうなくらい心臓がぎゅーーってなったわぁ。
とっさに逃げてきたのは初めてこの世界に来た場所。
流石にこの村にはもう誰もいないかな???
遺体が一つもない・・・私が出発した時には数え切れない程の遺体があったけど・・・
村の中を誰かいないか探し回った。

前に来た時は気がつかなかったけど村は森に囲まれていて森の周りは崖になっていた。
一本道を降りていった先にはあのバニラと出会った祭壇があるから、あそこを通らない限りここからはでられないわけね。
みんな下山したのかな・・・

幸一くんとマリカさんは元気かな・・・
あれから、12日かぁ・・・まだ12日なのか、もう12日なのか・・・
精神的負担が大きすぎて一年くらい経ってるんじゃないかと思う。

森を抜けると見晴らしのいい場所に出た。


ピロン♪
『ロミちゃん、何があったの!?大丈夫?ジャックも心配してるわよ。』

大きな岩にドサっと寝転がり天を仰いだ。

ピロン♪
『私のせいなら謝るよ。だから戻っておいで』

スマホをその辺に置いて、先程ジャックに振り払われた左手を空に伸ばし眺めた。

ジャックがよくわからない。
優しくしてくれると思ったら、急に怒り出したり、避けたりするし、怒らせるような事しちゃったのかな・・・

こんな事してる場合じゃないんだけどなぁ。
ダメだ、心が追いつけない・・・

「はぁーーーー、人間関係ってほんとメンドーだー」

ピロン♪
『ジャックからなんとなーく、話は聞いたよ。ロミちゃん、今どこ?私がそっちに行くから場所だけでも教えて?』

ジャックから何を聞いたのだろうか・・・
肝心な時にいつも話してくれないのにな。

桜子さんへは『始まりの村』と、だけ送信をした。

このままずーっと、ぼーっとしてたい。

あぁゲームしてたいなぁ。
人間関係とか無いし。
何も考えずにモンスター狩って、狩って、狩りまくる。
それだけで楽しいのに。

こっち来てから、喋る回数増えた気がする。
喋らなければ余計なこと考えずにいれることがどれだけ幸せな事だろうか・・・


森の中から声が聞こえ、私は起き上がった

「こっちに反応あります、あ!桜さん!ロミーさん居ましたよ!!!」
「ネコッチ待って、どこどこ!?あ!ホント!ローミーちゃーーーん♡」

え?森の中から、桜子さん、ネコッチ、白バラさん、カナナンが歩いて出てきた。

「みんな、どうして???」
「ジャックが提案してくれたのよー。『まだ時間はあるから、こっちの事は任せて時間まで女子だけで、話をしておいで』ってねー。気が効くわよねー、あの紳士」

ジャックが・・・

「観測者?って人の事もなんとなーく聞いたわ。人造魔神のことも。」
「そっか・・・はぁぁぁ」
「ロミーさん、女子会ですよ!ちゃんとした女子会は初めてなんです!私!お話しましょう!」
「私もあまり女子会と言うものはした事がない。教えてくれないか?どんなものか」
「ネコッチと白バラも女子会した事ないの?恋バナよ!恋バナしましょっ!」
「女子会といえば、恋バナのオトモにスイーツよねぇ!」


桜子さんとカナナンがお菓子を広げ、恋愛についての話が始まった。








「ネコッチ、アカギとはどうなったんだ?私も最近の動向が気になっていたんだ」
「え、白バラさん、私の話はいいですから」
「えぇー私も知りたいなー。上城君の様子を二人で見に行ってたんでしょー?私達に相談もなしに」
「アレは、アカギさんに回復魔法を使えるからって頼まれて、一緒に輝さんの様子を見に行っただけです」
「あーあの時ねぇ二人共いい感じだったけどなぁ」
「もー!ロミーさんこそ、輝さんとどうなんですか!?ジャックさんとだって物凄く仲良いですよね???」
「えぇー、上城さんはただの上司だよ。」
「でたー鈍感ロミちゃーん」
「なんで?」
「輝もロミーも相当鈍感だと思うが」
「私も輝さんもロミーさんも鈍感だと思います」

は?なんでみんなして!!!

「上城君とロミーちゃんはピュアだもの。この二人に関してはそれでいいの。見ていてキュンキュンさせてもらってるわ。」

何故キュンキュンするの!?

「それで、ロミちゃん、ジャックと何があったの?」

・・・・・・・・・うーん。

「ジャックさん、ロミーさんに対して物凄く紳士ですよね」
「あぁ、あれはプリンセスを守るナイトに相応しい男だと思う」

・・・・・・んん?

「ロミちゃんとジャックって、この世界に来る前から知り合いだよね?なのに、初対面のフリをお互いにしてるから、私ずっと不思議だったの」

え?え????

「私とジャックはギルドが同じだったからゲーム内では何度か一緒に遊んでるけど、会うのは初めてなはずなんだけど・・・確かに突然ジャックが、オフ会の話をした時、なんか変だなーって思ったんだけど・・・」
「ジャックは確かに、ロミちゃんとオフ会であって話もしたって言ってたの。それも一度や二度じゃないって。プライベートで何度か二人でも会ってるって言ってたわ。」

嘘だ、二人で何度か会った???

「わ、私、知らない・・・」
「ロミちゃんから、ジャックの話を何度か聞いていたけど、ある時から急にジャックの話をしなくなって、二人に何かあって、忘れたがってるんだと思って、それ以上は触れなかったの」
「私がジャックの話を???」








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