Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

51 キャタルスシティ



ーキャタルスシティ リオン邸ー


ポータルの前で私達は、シルバーシティとは全く違う街の雰囲気に驚いていた。
飛空挺なんかも飛んでるし、工業も盛んなようで、遠くの方の工業エリアから煙が上がっている。
近代的と言うのだろうか。


私はマップを開き、確認した。
シルバーシティも大きいと思ってたけど、倍以上の大きさかなぁ


「シルバーシティとは全然雰囲気が違うみたいだね」

「ですねー、お城も、ものすごーく大きいですし」

「遅かったなぁ待ちくたびれたぞぉ、ふぁぁぁ」

ポータルの後ろで昼寝をしていたバニラがでてきた。
バニラが言うには、この街には沢山ポータルがあって、ポータルを使わないと移動は不便なんだとか。

神殿の前の広場の石碑近くにあるポータルから、この街全てのポータルに登録ができ、一つ一つのポータルにわざわざ足を運ばなくても飛べるんだとか。



「ジャックは神殿にいるから、登録した後に神殿に行けばいいと思うぜ」
「わかったー。バニラ案内してくれるー?」

とにかく、神殿前の広場に向かう事にした。
すっかり外は夜だった。

「お腹すいた」
「ぼ、僕の所為で食べ損ねたよね、ごめん」
「え?あぁ気にしないでください、私が自分から望んで、上城さんを助けに行ったんですよ!上城さんが気にする事じゃありません」
「いや、でも、」

そう言えば、朝食も食べずに飛んできたから朝から何も食べてない。

私は顔に違和感を感じて何気なく顔をさわった。
あれ?マスクをしてない!
はずした覚えないんだけど、、

「ど、どうしよう!上城さん!私、あの小屋にマスク忘れてきちゃいました!!さっきから目が乾くなぁって思ってたんですよぉ!!!」

引き返そうとした時、上城さんが、私の腕を掴んだ。

「ごめん、僕が持ってるよ、なんか、返すタイミング逃しちゃって、」

コートのポケットからアイマスクを取り出してシワを伸ばしてから渡してくれた

「あ、なんだー持っててくれたんですか!よかった!」

コレが顔の近くに無いと、夜でも結構目がウズウズしてきちゃうんだよねぇ
上城さんは私の前を少し早く歩き出した。

「持ってたのなら早く言ってくださいよぉ」

「いや、だって、それ着けてると君の表情が読めないから、、、」

街灯の明かりだけだと、ちょっとよくわからないけど、後ろから上城さんの耳が赤くなっているように見えた。

私はマスクを首につけると、上城さんの隣に並んで歩いた。
あーでも、上城さんのポケットに入ってたから、メッチャ上城さんの良い匂いがする!!!
スンスン。

「(こいつら、さっきから、お互いの言ってる事、本当にわかってんのか?二人とも相当、鈍感だよなぁ)ぎゃはははは」

バニラが豪快に笑っている。
何か変なこと言ったかな???


キャタルスシティはシルバーシティより寒い。
こっちの世界では、服を着込むのかな?
それとも、魔法とかで、温度調節するのかなぁ?
キングでは、魔法アイテムを持つことで、見た目は変わらず、雪山でも半袖半ズボンだったり、南の島でもモッコモコの格好したまま武器持って走り回ってたなぁ。
また、寒暖差の対策もしないとなぁ


「おい、ジャックに連絡したのか」

あ、そうだった!
私は急いでジャックにメッセージを送った。

『今、神殿前のポータルを目指してます。』送信っと。

街の中に橋が見えてきた。
橋の上では若者達が騒いでいて、橋の中央の出っ張った部分にホウキを持った人が立っていた。

「イェーーイ!いけいけ!!飛び降りろー!」

周りの若者達が飛び降りろ!!?と煽っている!?
えぇ!?

気がつくと次々とホウキを手にした若者達が橋の手すりによじ登り、笑いながら飛び降りていった。
集団自殺!?
私は驚いて橋に駆け寄り落ちた先を身を乗り出して見た!

ヒューーーン!ヒューーーン!ヒューーーン!

橋の下から飛び降りたはずの若者達がものすごい勢いで、頭の横を飛んでいった!!!

「ロミーさん、あの人達飛んでる!?」

彼等は、魔法で空を飛んでいたのだ。ホウキにまたがる者や器用に立ち乗りする者などもいた!

「い、やっほぉぉぉぉお!」
「イェーーイ!!!」

ホウキの先からは色とりどりの光が虹のように輝いていた。

「わぁ、メッチャ綺麗ですねー!」
「あぁ、驚いたけどこれは凄く綺麗だ」

私達は飛び回る若者達の姿に見とれていた。

橋の上からはとても美しい夜景が広がっている!!
この街は城壁に囲まてれているみたい。
街全体に高低差があって、崖を利用して、建物が建てられている。
シルバーーシティも崖を利用した作りになってたけど規模が全く違う。

橋の上から街を見下ろし、しばらくボッーとしてみた。

若者達の騒ぎ声も許せてしまうほどの美しい夜景にウットリしていると、バニラが私の肩に飛び乗った。

「おい、早く行こうぜ、俺、腹減ってんだよ」

「あ、ごめん!私もお腹空いてるんだった。行こっか!」

ちょっと私もこの橋から飛び降りてみたいけど、今は我慢して、歩き出した。

ピロン♪
『今、神殿での仕事が終わったよ。後どれくらいで来れそう?リオン邸でこれから夕食だってさ』

「あ、ジャックが終わったって!急がなきゃ!」


私達は走って神殿広場に向かった。






ーキャタルスシティの月の神殿前広場ー

ポータルの前にジャック達の姿を見つけ駆け寄った

「す、すみません、お待たせして。ゼェゼェ」

「走ってくることなかったのに、お疲れ様」

ジャックが頭をポンポンとしてくれた。

「へへ、すみません」

私達はポータルに手を触れ、この街のポータル全てを登録た。

貴族地区
城下町、
飛空挺乗り場、
商業地区、
学園前、などなどなど、、、

回りきれないほど沢山のポータルがあるようで、全部把握するのは難しそう。


すぐ近くに停まっていた馬車からリオンが降りてきた。

「ロミー、おいで」

馬車に乗る様に手招きされ私達は馬車に乗ると、フィンとフィオナが待っていた。

私は、仕事を放棄して、上城さんの元へ行った事を直ぐに謝罪した。

「申し訳ありませんでした!!!職務中に無断で持ち場を離れた事をお詫びします」

私が頭を深々と下げると、上城さんも頭を下げた

「身勝手な行動でロミーさんを巻き込んでしまい、司祭様達にもご迷惑おかけして、本当に申し訳ありませんでした!!!」

「お二人とも、頭をお上げください」

「うーん、護衛の最中に、まさか私以外の男の元へ飛んでいき、あまつさえ連れて帰ってくるとは、ロミーも中々やるじゃないか、ちょっと嫉妬してしまうよ」

うっさいやい!
誰がリオンの元になんて行くか!

「構いません、大切なご友人の危機に駆けつける事はそう簡単な事ではありせんもの。ここまで到着が遅れましたが明日、予定通り行いますので、夕食の時に詳しくお話いたします」

リオンはさて置き、フィオナは許してくれたみたい。良かった。



馬車でリオン邸に向かう途中、リオンは上城さんを、じっと見つめていた。

「な、なんでしょうか、」

「いや、君は出発前と比べてこの数日で見違えるほど成長をした様だね」

え、リオンわかるんだ???
何となく瞳の色が黄色っぽいようなオレンジっぽく、一瞬見えた。

「あ、ありがとうございます」
「想いを馳せる者の為に奮闘する男の汗は嫌いでは無い。」

「え?はぁ、ありがとうございま、す?」

リオン何言ってんの?
上城さんが困ってるじゃん。

「でもこれで、君もナイトだ。フィオナ彼にも証を」

リオンが言うとフィオナが私とジャックにくれたのと同じエンブレムを上城さんにも渡した。

「輝、君も親衛隊の一員だ。フィオナの事を任せたよ」

「え!?ぼ、僕がですか!?そんな、二人の足を引っ張ってばかりなのに、いただけないです!」

フィオナが上城さんの左胸にエンブレムを付け、私達と同じように加護を付与してくれた。

「輝様、もっとご自分の事を信じてあげてください。貴方が思っている以上に、貴方は素晴らしい方です。今後ともよろしくお願いいたします」

私達は上城さんに拍手した!!

「おぉ!上城さんおめでとうございます」
「おめでとう、輝、よろしく頼むよ」

照れつつもエンブレムを嬉しそうに眺める上城さんをみてなんだか安心した。
笑顔も大分、増えてきたみたいだし、もう大丈夫そうかな? うん、良かった。


馬車はぐるっと街を回って、富裕層エリアまで行くために、歩いてきた時より時間がかかっている。

「フィオナ、GATE使ってリオンのお家まで転送したら、こんな遠回りしなくてもみんなもすぐに帰れるよね?」

「そうか、ロミーはGATEを使えるんだったね。たしかにGATEで、移動することが出来れば、フィオナの仕事もかなり捗るだろう」

フィオナに聞いたのにリオンが真っ先に答えてちょっと不満な私は、もう一度フィオナに話しかけた

「せっかく、フィオナの為の親衛隊なんだし、私を遠慮なく使って。と言うか、お仕事ください。馬車移動が退屈すぎるし。」

「ふふふ、そうですね、それはとても嬉しい言葉です」

「そうであろう、そうであろう。ここはロミーの言葉に甘えて、我々だけでも先に屋敷に戻ろう」

リオンには言ってない!!!
でもまぁリオンの家だし、先にリオンとフィオナを送ろうかな。


「じゃーそこに立って。リオンから送るので」

私は杖を取り出し、リオン、フィオナジャックの順番にリオン邸のポータル前に送った。
次に上城さんを送るためもう一度、魔法を使おうとした時、私の頭はクラクラとめまいを感じて、ソファに腰掛けた。

「ロミさん!!だ、大丈夫!?」

上城さんが慌てて駆け寄った。

視界に見える、アイコンが点滅していて、確認すると状態異常が出ていると言っている。
ウインドウを開き確認すると『貧血』と出ていた。

思い当たる節がある。。。

傷を癒す魔法は流れた血までは戻せない為血を流し過ぎたと言うわけなのです。
そこで、一気に魔法を使った為、限界が来たと言うわけだ。

「過剰出血による貧血なんで、栄養あるもの沢山食べてしっかり寝れば大丈夫だと思います。。。」
「本当だ!ご、ごめんね、、、」
「もう!謝らなくていいですってば!今日の事で謝るの禁止です!」
「!?、、、うん、わかった。」









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