Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

26 生還者






ポータルを使い、無事にダンジョンからの脱出を果たした私は、だいぶ、ヘロヘロだった。
精神的に疲れたきっていた。

外は大きなテントいくつか張られており、沢山の人達が居た。

ガバッ!!!
と覆いかぶさるようにジャックさんが、嬉しさのあまり私に抱きついてきた。

「あわわわ」

5秒ほど強く抱きしめられた後で、私の顔をじっと見つめたジャックさんは、ホッとしたのか、少し目が潤んでいるジャックさんの顔を見て私も無事に帰れたんだと実感し、緊張の糸が切れ、その場に座り込んでしまった。

「だ、大丈夫かい?ロミー」

なんかいいな、呼び捨てされるとか、ちょっとニヤニヤしてしまう。

「はい、ちょっと安心したら膝の力が、がが、わぁっ!!」

突然ジャックさんに抱きかかえられた!!!!!!!!!!!
しかも、おお、お、お姫様抱っこぉぉぉぉぉおおお!!!

外にいた救援隊の人がみんな大きなテントで休んでいると案内してくれたて、お姫様抱っこされたまま、テントへ向かった。

「じゃじゃじゃじゃ、ジャックさん!?」
「くすくす」

テントに入ると当然、みんなの注目を浴びた。

「お、おかえり!ロミーさん、ど、どうしたの!?」
「やぁ、みんな、ただいま」
「ジャ、ジャ、ジャックさん、も、もう大丈夫なんでぇぇぇぇええ」

アイマスクしてて良かったような良くないような!!!
恥ずかしすぎるわぁぁぁぁぁぁあ!

「ジャック!!ロミーは私が看病するんで、早く離してください!!」
「ベッドまで私が連れて行くよ」
「はわ、わ、はわわわわ」

顔を両手で覆って恥ずかしさを一生懸命堪えた・・・

「アレ?ロミー、こういうの初めてだったかい?」
「は、はひ(噛んだ)」

そっとベッドに降ろされ、私は枕に顔埋めた。
ナターシャがジャックさんを威嚇していてジャックさんはそれをニコニコしながら見ている。

なんなんこれ。

「ロミちゃん!よかったーみんな無事に帰還できて!!!」
「さくらこしゃぁぁぁぁん!!!!」

脱出できて、みんなの顔を見たら、涙がだたきて、私達は泣きながら無事を喜んだ。


しばらくして、司祭様がお付きの神官を数名引き連れてやってきた。

「皆さま、ご無事で何よりです。亡くなられたヨーコ様は残念でしたね・・・最後までお任せください」
「海の見えるお花の綺麗な場所にお墓を建ててあげたいんです」
「かしこまりました。ロミー様のお願いとあれば、最高の場所をご用意致します」
「ありがとうございます!」
「第5層まで行き無事に生還された皆さまは、これは名誉あることです。勲章をハンター協会がくださるでしょう」

司祭様が話し終えると、何だかんだ嫌そうな顔した神官の一人が話し出した。

「明日、正午に神殿で授与式を執り行うので、皆、遅れずに来るように。さぁ最高司祭様このような場所にむさ苦しい場所に長居は無用です!帰りましょう」
「ロミー様、ごゆっくりとお休みくださいね」

嫌味な神官に強引に帰らされた司祭様ちょっとかわいそー。

「朝になったら、キースさん達が朝食を持ってきてくれるって!街に帰るのも疲れてるだろうからって」

「ナイス!俺もうクタクタだぁ秒で寝れるわ」
「アカギの言う通り、本当に直ぐにでも寝れるわぁ」
「グゥゥウ」
「ソルトに関しては早速寝てるしねっ」

あははは。

少しだけみんなの顔に笑みが戻った。
みんなも疲れているため、大きなテントにひとまとめだけど、そんなのよりも早く寝たい。

「ロミー!私を隣のベッドで寝るように命令してください!」
「はぁ?」
「なぜジャックがロミーの隣なんですか!しかもベッドの隙間は数十センチ!ハレンチです!」
「露出の多い君にハレンチ言われたくないよ」
「ナターシャそこのベッド使えばいいじゃん」
「奴隷が使用するベッドは無い!!」

私達が寝る場所で揉めているとテント内の入り口に立っていた護衛の一人が、声を荒げた。


「何だぁこいつ」
「あ、アカギさん、護衛の人にその様な言い方失礼ですよ」
「ネコッチは下がってろ」
「ナターシャは私達の仲間よ!差別は許さないわ!」

「なっ、奴隷を皆様と同じ扱いをするわけにわ・・・」

ガタガタガタ

「はい。ロミちゃんとナターシャのベッドくっつけたよ。これで一緒に寝れるわね」
「ありがとー桜子さん。私もう足が棒だぁ。」

あれ?ベッドの数が合わない?一つ足りない???

「ナターシャが奴隷だとわかった瞬間にベッド一つ撤去していたな、失礼にもほどがある!」

え!?撤去したの!?

「ぐぐ、このテントに奴隷が泊まるのは許さない!そこの奴隷!でろ!」

みんなが、反論をしてくれている中、護衛の人がナターシャを無理やり外にひきづり出そうとした時、上城さんが護衛の人の腕に手を伸ばし投げとばそうとしているのがわかって、私は、すぐさま割って入った。

「すいませーん、失礼しまぁす」
「なっ、ロミーさん!?」
「この人をぶっ飛ばしたい気持ちはわかるんですがぁ、多分ややこしくなるんでぇ、ここは私がナターシャと外で寝ます」

「そ、そんなロミー・・・」
「ナターシャがこのテントにいなければぁ、文句ないんですよね!ね?ねぇ?」
「ロミちゃん目が笑ってなぁい」
「あ、あぁ」
「なら私も外でロミーちゃんとナターシャと同じテントで寝るわー」
「ならば、私ももそうするよ」
「おーれも」
「私もー」

すでに寝ているソルト以外のみんなが次々にテントの外へ出て行った。

みんなも同じ気持ちで居てくれているのがとても心強い。

「わ、私の為に!?だめ!ダメです!皆さん戻って!わ、私がわがまま言ったから!ごめんなさい、ごめんなさい!!!」
「ナターシャをいじめる奴は許さないよ!心配しないで、私と一緒に寝よ」

外に出ると銃を構える兵達が居た。
は!?何この武装した連中!!

「おい、そこ奴隷、こっちへ来い。お前を連行する」
「は?ナターシャが何したのさ!」
「奴隷が随分と好き勝手言ってるようだな」
「お前らに関係ないだろ!」
「冒険者風情が生意気だ!」

今にも兵士たちが撃って来そうな状況で、みんなも疲れ切った身体なのに、武器を構え、今にも一戦始まりそうなピリついた空気になった。
モンスターじゃない、殺すわけにもいかないし、怪我をさせてもきっと、捕まるんじゃないか・・・ど、どうする!?


「そこまでだ!武器を収めろ!!!」

色々と考えていると、突然男が割って入ってきた。

「シルバーズ様!!!ですがっ!!」
「言ったはずだ、"私の後にでてくる者達、全員、命の恩人だから、分け隔てなくもてなせ"と」
「も、申し訳ありませんっ」
「下がれ!私の命令に従えぬのなら辞めてもらって構わない」
「いえ、滅相もございません!失礼いたしました」

兵士達が走り去って行った。

「すまなかったね、騒ぎになってしまって。疲れているのに。」
「あ、いえ、危うくあいつらをぶっ飛ばすところでした」
「はははっ、君は実に面白い人だ。皆さん安心して、テントで休んでくれたまえ。」


この人は一番最初に帰還した冒険者のエミリオン・シルバーズさんだった。
装備を外しとても立派な格好をしていて、一瞬、さっきの冒険者ってわからなかった。

みんなテントの中に戻りナターシャの分のベッドも元に戻された。

「シルバーズ様は貴族なのですか!?」
「シルバーズ様ステキです」
「鎧で顔がよく見えなかったからわからなかったわ」
「貴族様って凄いんですね!!」
「くすくす、華のように麗しいレディ達、私の事はエミリオンと呼んでくれて構わないよ」

女性達がイケメンの金持ちに群がっている。
何や感やでもう4時か・・・
うっすら外は明るくなって来ている・・・

「私寝る。おやすみなさい。」

ナターシャは頭の上でもじもじしながら立っていた。

「あ、ごめん、隣のベッドで寝ていいよ」
「!!はい!ベッドくっつけていいですか!!!」
「ふふ、いいよ。一緒に寝よーね。ナターシャ」
「ちょっ!子供扱いしないでください!あ、頭なでないでぇ!!」

嬉しいくせに!

「シルバーズさんがが貴族とは驚きだよ」
「女性達を独り占めしてる・・・」

ナターシャは隣で嬉しそうに私を見ながらニコニコしている。
私もその笑顔を見ながら眠りについた。

















「みんな?あれ?眠り過ぎちゃったかな?」

ブゥォォォォォォォォン!!!

「なっ!ケンタウロス!?何故ここに!?嘘だ!」

「キャャャャャャャャャ!!!」

「この声!?ヨーコさん!」



ドンっ!グチャ!ドサっ!


すぐ後ろに何かが落ちる音がして、恐る恐る振り返った。

「た、、す、け、、て」

バラバラになったヨーコさんの生首が助けを求めてこちらをみていた。






「はっ!?はぁはぁはぁ」
「ロミー大丈夫ですか、だいぶうなされていましたよ」

夢か・・・夢だよね・・・私は頭を抱え丸まった。

「怖い夢を見たんですね・・・」

そっと私を抱きしめてくれるナターシャに私は寄りかかって、ダンジョン内での事を思い出し泣いてしまった。

テントの中には私とナターシャだけで、みんなはもう外にでているようだ。

「お昼過ぎてますよ。食事はどうされますか?」

ん?なんて?

「皆様がロミーは一番疲れているから起こさないようにと。皆さん授与式に行かれました。」

はぁ!?マジかぁ・・・

「バニラは?」
「外にいます。犬と。」

ん??????犬????
ワンワン!と元気な鳴き声がしで、外にでてみた。

外に出るとバニラの周りを犬がクルクルと駆け回っている。
バニラが微妙な顔をしていた。

ワンワン♪

ワンワン♡

ワンワン!

ワンワン!!!

「っるせぇぇぇぇぇ!!!」

うざくなりキレたバニラに猫パンチをくらい犬は悲しげにその場に座り込んだ。

クゥーーーンン・・・

なんかちょっと可哀想。

犬が私の方へ近寄って来たので、あごの下あたりを撫でてあげた。

「昨晩はありがとうございました」
「しゃべった!?」
「あれ?もしかして、君、昨日の狼みたいなモンスター????全然違うよね???」

「ロミー、お前、また変な想像しただろ」
「え?あーーーーーー・・・」

やべぇ・・・思い当たる節が・・・
亡くなったご主人様の元を離れず側にずっと寄り添う姿が、健気にご主人様の帰りを待つ犬みたい。とか思ったわ・・・
ごめんなさい。
それで、犬の姿になったのかぁ。

「天使のようなあの御方に抱きしめていただきながら、幸せの中、あぁ私はこのまま死ぬのか。と思いましたが、こうして新たな命を頂いたので、感謝しています。バニラ兄さんには色々教えて頂きました。第2の人生あなた方に、いえ天使様に命をお預けしたく存じます」

「天使、天使様・・・あ!桜子さんの事か!わぁー桜子さんこれ聞いたら喜ぶぞーーー」
「さくらこ様と仰るのですね!」
「だから、ロミーの力でお前は助かったんだって言ってるだろう」

「わかっております!ですからこうしてロミー様にお礼を・・・ですが、あの天使様のことが忘れられないのです・・・」

「うーん、忠誠心強そうだけど、桜子さんはこぉ、もっと、寡黙な感じで、少し不器用でイケメンで(←これは譲れない)背が高くて、細マッチョで、いざという時に守ってくれて、ちょっと影のある感じのそんなカッコいいのがタイプなんだよなぁ」
「おい、バカ!何また勝手に変な想像してんだぁ!!!!!」

変な妄想にニヤニヤしたいると、犬が目の前でボフッと煙に包まれた!!!

「このバカ」
「誰ですかこの人!!」
「うっわーーー☆美青年その2現る!!!桜子さんのタイプの美男子!!ヒャッホーイ☆」
「はぁぁぁぁぁぁぁあ。どーすんだよこれ」

バニラは頭を抑え、大きなため息をついた。

「こ、これが俺?」
「まぁ、名前は天使様に付けてもらいなよ。君も今日から私達の仲間ってことで!ね?」

ダメ?いいよね!


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