作成中止

はうたゆしか

69 狙われた生き残り


「じゃあ、俺たちは行くぞ」

ブランシェットを旅立つ朝、リタらはミヅキらを見送る。

「はい。みなさん、ありがとうございました!」

「じゃあねリタ。またすぐ会えるって、信じてるわ」

「私もです!みなさんのこと、ずっと応援してますね」

「アレンさん、またいつか」

「ああ。ありがとうな、マギ」

それぞれの思いを抱き、別れる。

「アレーン、これからどこに向かうんだ?」

「オリビアはまだ遠い。ブランシェットの隣の国、スピア王国に入る」

一行は歩いて国境を目指していた。

「━━、みんな伏せろ!」

アレンが唐突にそう言い、全員その場に伏せた。

パァン、パァン、パン、パン!!

「ライフル?!」

「っち、シキ軍か…?」

少し離れた建物の影にいるのは、シキ軍には見えない。

「イェーガのものか」

アレンは目をこらす。

「建物の影に全部で男5人」

サヤカが咄嗟に得た情報を話す。

「いきなり襲ってくるなんて危ねぇな!」

ミヅキはその建物に向かって走り出す。

「あっ、おい待てミヅキ!」

「ミヅキ、あんたねえ!」

ミヅキは振り返ることなく進む。

「…イェーガか」

アレンが静かに呟いた。

「その書物を渡せ」

1人の男が言う。

「渡せるわけないじゃない!」

「ならば」

イェーガの1人は、ふっと姿を消した。

「どこいった?」

「カタートニーの生き残りとお前らが繋がっていること」

「!?」

イェーガの男の言葉に驚く。

「何が言いたい」

アレンが男を睨んで言う。

「想像に任せる」

その言葉で、みんなの脳内に浮かんだのはリタの元へ向かったイェーガ。

「アレン!こっちは任せた!!」

「ああ」

ミヅキはリタらのいるバーへ戻って行く。

「行かせねぇぜっ」

ミヅキをイェーガの1人が追う。

その男にトエムが水を噴射してミヅキを追う足を止めた。

「お前の相手は俺がする!」

「ったく、鬱陶しいなぁ!!」

男はトエムに向けてライフルを打つ。

「あぶねっ」

トエムは数歩下がりかわす。

「…分が悪いな。敵は4人、こっちも4人」

アレンはちらりとシオンを見る。

戦闘能力のないシオンは戦力に入れれない。

サヤカにイェーガの男1人を相手させるのも気が引ける。

「アレンさん、相手の目的はリタにある」

サヤカは構えながら続ける。

「なら、マギさんたちがいるあっちに敵を集めて戦いましょう」

サヤカは敵に聞こえないように囁く。

「…その手しかないか。だが、せっかくの書物を危険に晒す必要はないな」

アレンはそう呟き、シオンに告げる。

「お前は途中で姿をくらませて、俺たちと反対方向に走れ」

「え?」

「国境で落ち合おう」

そう言って、4人はバーへ走り出した。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品