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はうたゆしか

68 リタの追うもの


「みんな、聞いて」

次の日の朝、シオンが書物の読解を終えた。

「やっぱり、命のナタストーンの能力は推測が当たったよ」

「寿命のコントロール…」

「そう。あと、そのナタストーンはちゃんと存在する。世界にたったの1つ」

どこにあるかは書かれてない、とシオンが付け足す。

「あと、1つ。これが1番新しくて誰も知らない情報」

シオンが書物を開く。

「命の石、これは世界を滅ぼす兵器になるだろう」

「え?」

シオンが読んだ文にみんな驚く。

「命のナタストーンは何かの兵器を完成させる部品の1つ」

「…だから、シキは探していた?巨大な力を得るために」

「これは大きい手がかりだな…。ありがとうシオン」

シオンは頷いて書物を閉じた。

「この本、ここに置いていこうか」

シオンがリタに本を差し出す。

「え?いいのですか」

「うん。これは、カタートニーが守ってきたものだから」

「いや待てシオン。リタたちは俺らと行くんだぞ?」

「あ、いえ、その」

リタは決まり悪そうにミヅキに笑う。

「私、皆さんと行きたいのは山々です。カタートニーの生き残りとしてやるべき事は、カタートニーの願った平和の思いを受け継ぐことです」

リタは続ける。

「平和のために戦うみなさんと行けば、きっと世界を救える」

みなさんお強いですし、とリタが加える。

「じゃあ、行こうぜ!」

「でも、ごめんなさい」

リタはそう言って頭を下げ、書物を返す。

「私はカタートニーの血を持ちながら、世界中の平和より目先の仲間と故郷のブランシェットのことにしか目がいってないみたいです」

「リタ様……」

「リタ…」

マリネもリタの意志に感激する。

「私はみなさんのような力はないです。目の前の平和を1つ1つ掴みたいんです」

リタはそう言って笑った。

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