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はうたゆしか

67 さよならブランシェット


「で、この本が収穫ってこと」

シオンは、元王宮から帰ってきたミヅキらに問う。

「おう!」

「王宮はまだ綺麗でしたか?」

リタがミヅキたちに笑って聞く。

「お、おうよ!綺麗!ピカピカだったぜ」

「キズ1つないビューティな王室だったよ」

ミヅキとトエムが挙動不審になって応えたがリタはそうですか、と笑った。

その時、ちょうどアレンとマギもバーへ帰ってきた。

「お。大丈夫だったか」

「この通り!傷ひとつないぜ、アレン隊長」

トエムがドヤ顔でアレンを見つめた。

「ばーか、俺がしてる心配はお前らがシキ軍の追っ手をこのバーに連れてくることだよ」

「あ、そうだアレン。王宮で変なやつに会ったんだ」

ミヅキが思い出したようにアレンに言う。

「なんかよ、着物きた怪しーいやつでさ。あ!目にナタストーンが埋められてた」

「本当か?何のナタストーンだった?」

アレンはサヤカに聞いた。

「黒だったけど、見たことない石だった。なんか、分身したり消えたり何の力かわからなかったわ」

「シオン」

サヤカの話を聞いて、アレンはシオンを見る。

「うん。たぶん色と力からして、“影”のナタストーンだと思う」

シオンはそう答えた。

「影のナタストーンを、目に埋めた男…」

「イェーガだとしても、なんで元王宮に」

トエムが言う。

「わからないことだらけね…」

一行は謎が深まるばかりで頭を抱えた。

「命のナタストーンの情報はとりあえず取れた。まだシオンが読解中だが」

アレンが話を切り出す。

「今日中には終わるよ」

「ということは、ブランシェットに用はないな」

「それもそうだな、早く王都に行かなきゃだよな」

ミヅキも賛同する。

「シオンの読解が終わったらここを出て行こう」

「そうね、ここはシキ軍も多いし」

サヤカが頷く。

「みなさん、もうブランシェットを出てるのですか?」

リタが聞いた。

「そのつもりだ。あ、リタも来る?」

ミヅキがリタに笑って聞く。

「こーらミヅキ。リタはカタートニーの生き残りよ?」

サヤカがミヅキに注意した。

「いいだろ、来たそうだったから。それに現王の娘が何言ってんだよ」

「いや待てミヅキ、俺らはサヤ姉が姫さまだなんて認めてないから違うぞ」

トエムがそう言い、話がややこしくなった。

そこから3人の軽口のたたき合いがいつものごとく始まる。  

リタやマリネはその光景を見て笑う。

「ま、明日まで考えといてよっ」

ミヅキはリタにそう告げた。

「ごめんなさい、マリネさん。ミヅキが変なこと言って」

「いいえ、大丈夫ですよ」

マリネはそう笑う。

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