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はうたゆしか

53 隊長とは


「アレン、お前を7番隊隊長に任命する」

アレンは10歳で7番軍隊の隊長を命ぜられた。

3年間で戦場に出て、たくさんの敵を倒してきた。

「あまり気負うな?俺もお前の隊に配属されたからな。ま、実質しばらくは俺が隊長だ」

マサムが笑う。

何回か、父・フウレンの隊で戦いに出たが想像以上に嫌なものだった。

仲間の兵士がどんどん倒れ、敵もどんどん倒れていく。

「隊長っていいものじゃないね、マサム」

「でもお前は今この瞬間からその隊長だ」

アレンはあまり納得いかなかったがマサムもいることだし、と深く考えるのをやめた。

それからの初陣はすぐだった。

「初陣おめでとう…って言いたいが俺的に争いはめでたいことじゃねえ」

マサムは笑う。

「この7番隊は1番隊と共にオリビアの門前で暴れる反逆者を止めに行く」

「1番隊と…」

1番隊の隊長はセイレン。

「お前の隊長としての目標は?」

「目標?国に反逆者を入れないこと?」

アレンはそう答える。

「少し足りないざんねーん。犠牲になる兵士を最小限にして国に入れない」

マサムがそう言った。

その戦いでは、実質隊長を務めたマサムの指揮で犠牲になった兵士はほかの隊より少なかった。

アレンは1年間、7番隊の隊長としてマサムの指揮を学んだ。

マサムの戦い方はシキにあまり良く思われていなかったらしいが、実績はある。

「明日から俺は本当にお前の部下になる」

「へ?」

「明日からもし出動命令が出たら、7番隊の指揮はお前がとるってこーと」

「そこで!」

マサムがアレンの頭に手を置く。

「改めて隊長になるお前に忘れて欲しくないことがある。まぁこれはお前の父上や叔父はとうに忘れたことかもしれない」

上にいればいるほど、下は見えないからなとマサムが笑う。

「兵士は使い捨てのコマじゃない。仲間だ。命に上下関係はない」

「アレン、お前が守るのは王族と仲間の兵士ということを絶対忘れるな」

アレンはマサムの目を見て頷いた。

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