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51 アレンの過去
「アレンさん……!」
「今俺にその名は関係ない。口にするな」
パギィィん!!
アレンの心の乱れが結界に響き、結界が割れる。
「愚かなやつだ……」
セイレンは念力の力でアレンの目を閉ざし、動きを止めた。
「お前らはこいつの仲間か」
セイレンが1番近くにいるミヅキに聞く。
「ああ!俺らはアレンの仲間だ!お前っ、なんかよくわかんねぇがアレンが俺らに聞かせたくないことなら言うな!!」
「わかってないなお前は…。こいつはお前らを利用しているだけだ」
                                 *
傭兵一族“ルチャルド”。
代々王族に仕え、王族交代と共にルチャルドの頭も交代する。
ルチャルド・アレンは、ルチャルド一族本家に7代目頭となる長男として生まれた。
「お前も10になる頃には戦場で小隊の隊長として出てもらう」
「…………」
生まれてからずっと、修行に励む兵士の姿を見てきた。
「父上、どうして戦うの?」
「王を守る。それが、俺たちルチャルドの名に代々受け継がれてきた誇りだ」
「死んじゃったとしても…?」
「王を守り死ぬのは俺らにとっての名誉だ。死んだ兵士を褒めて弔ってやれるような隊長になれ」
アレンが4歳になる頃から、戦うための教育は始まっていた。
「アレン、いいか?構えってのはな」
アレンの教育係についたのは、ルチャルドの分家の男、マサムだった。
アレンと20歳ほど離れていたマサムは、父フウレンとは違うことばかり言う人だった。
「いいかぁ、アレン。軍隊長ってのは1番強くなきゃいけねえんだ」
「なんで?」
「兵士を守る、仲間を守るために決まっとるだろうが。兵士を死なせちゃならん」
「父上は、戦場での死は名誉って言ってた」
そう口にする幼いアレンには、名誉は何かなんて知らないだろう。
「あははははっ、やっぱ俺はフウレンさんとは気が合わんみてぇだ」
マサムは大声で笑った。
「俺にとっての一流の頭ってのは、仲間思いで、強い心をもったやつだ」
マサムの考えひとつひとつが、アレンの隊長としてのあり方に影響していった。
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