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はうたゆしか

43 俺も行く


ブランシェット王国は大きい国。

元王都とあり、首都・ラブラードはかなり栄えている。

リタとリタの仲間は首都の端の方でバーを経営して生きているらしい。

「…誰も、いない…」

薄暗く、カウンターが5,6席、4人がけのテーブル席が2つだけのごく普通のバー。

「…泥棒でも入ったんか」

バーのワイン瓶は割れまくり、ひっくり返っている椅子もある。

「お母さまーっ!誰かーっ!」

「リタ、ここには何人で住んでるの?」

サヤカが聞く。

「私と母のマリネ、召使いだったサヨとレオ。あと、兵隊のマギ・オル・シイ」

兵隊の名前を聞いて、アレンが少し反応する。

顔見知りでもいたのだろうか。

「……リタ様ですか!!!」

バーに入ってきたのは、召使い2人と兵隊2人だった。

「サヨ!!一体、何があったのですか!お母さまとマギさんは?!」

「すいません、リタ様。シキ軍が突然やって来て…催眠ガスで眠っている間におそらく連れ去られたかと…っ」

「マギも一緒なの?」

「おそらく。マギは催眠ガスを吸っていませんでした。バーが荒らされているのは、マギが対抗したからでしょう」

唇を噛みながら、悔しそうに言う。

「それは、いつの話だ?」

「3日前です。なんども軍基地へ行ってるのですが、追い返されるばかりで」

「私が行ってきます。あの方らが欲しているのは私と命のナタストーンです」

リタがドアに手をかけると、ミヅキがその手を掴む。

「俺も行く」

「ミヅキさん……」

「待て待て、お前だけにカッコつけさせねぇぞ」

トエムもリタの所へ行く。

「護衛の仕事はまだ継続中でっせ、リタ様。それに、骨折野郎は頼りないからな」

「護衛さん…」

「“侵入”は透視ができる私の専門分野。バカ2人にリタは任せられないわ」

サヤカが笑いながら言う。

「サヤカさんまで…」

「ったく、お前らとの旅は寄り道ばっかだな。いまさらどこに寄り道しようが変わりはしねえ」

アレンもドアの方へ歩く。

シオンがみんなを見る。

「シオン。命のナタストーンについて調べられそうなことを調べておいてくれ」

「うん、わかった…」

「俺たちもついていこう」

兵隊のオルとシイもつづく。

「行ってきます」

シキ軍基地へ向けて出発した。

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