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12 サヤカの正体
「私のラストネームは“ガリョウテンセイ”」
サヤカは静かにそう告げた。
「ガリョウテンセイ……シキ…」
ミヅキはガリョウテンセイで思いつく名を呟く。
「シキは、私の実の父」
                                 *
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                                 *
ガリョウテンセイ・サヤカはシキが世界の王位について14年後に生まれた。
兄が3人いて、サヤカは末っ子であり長女であった。
母、ガリョウテンセイ・サリカはサヤカが生まれてすぐ亡くなった。
それでもサヤカは3人の兄や召使いに可愛がられ、それなりに幸せな日々を送っていた。
「サイキお兄さま!遊ぼう!!」
サイキは、ガリョウテンセイ家の長男。
サヤカとは6歳ほどはなれている。
1番優しく、1番サヤカを甘やかす、サヤカの大好きな存在だった。
「ごめんなあ、サヤカ。今日はお父様のお出掛けについて行かなくてはいけないんだ」
「えーっ、またぁ?」
サヤカはぶーっと頬を膨らませる。
サイキは苦笑しながらも、爽やかな笑顔でサヤカの頭をなでる。
「また明日な」
その幸せな日々は続く、そう信じて生きていた。
幼いサヤカは父・シキが異国と争い王位の座を手に入れ、今もなおその武力と支配力で民を陥れていることなど知るよしもない。
残酷に国ひとつ焼き払ったり、自分の反逆者を殺している父の姿など、知らない。
それに加担している3人の兄の姿も…。
それでも、サヤカが父の闇に気づくのはそう遅くなかった。
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