水魔法は最弱!?いえ使うのは液体魔法です
7話 はじめてのおつかい! その1
「あらまぁ.......お野菜が無いわ」
床でゴロゴロしている時、そんな呟きが母さんから聞こえてきた。
今日の晩ご飯はシチュー、俺の大好物な食べ物である。
母さんが野菜が無いと言っていたので、何の野菜が無いのか確認しに行く。
「何がないのー?」
中に入っていたものは.......肉だけであった。
野菜が全く入ってないじゃないか.......結構、人参とかジャガイモは好きなんだぞ。
「この前、街に行ったとき野菜を買い忘れたのね。うっかりしてたわ!」
そう言って、母さんは少し舌を出しながらアタマをコテンと叩き、「えへへっ」と可愛らしい笑みを浮かべた。
父さんが母さんをガン見して、ほんのり頬を赤く染めている。
キモイぞ、父さん。
「んー.......あ、そうだ!俺がお野菜買いに行ってあげる!」
「あら、ほんとー?ありがとうヒロトちゃん!」
俺はされるがままに頭を撫でられ、野菜を買うためのお金を貰う。
「それじゃあ、行ってくるね!」
「はーい!行ってらっしゃい!」
玄関前まで、父さんと母さんに見送ってもらい振り向くと、何故か二人は涙を流しながら大きく手を振っていた。
そして、はじめてのおつかいをする事となったのだ。
「うぅ.......前まで、あんなに小さかったのによォ.......おつかいまで出来るようになりながった」
「えぇ.......あの子も成長しているのね.......ぐすっ」
こうして、ヒロトの知らないところで、ガルとリーナが感動で涙を流すのだった。
◇
俺は魔力で身体能力を強化しながら、山を駆け下りている。
野菜が無いから野菜を買いに向かっているのだが、家から街まで結構な距離があるのだ。
山奥に住んでいるから仕方ない。
俺は目をよく凝らしながら、街までの最短距離を走る。
転生して強化されたのか、それとも父さんの素振りをいつも見ている影響なのかは分からないが、前世よりも目が良くなっている気がする。
しかも、大気中に漂う魔素を視認できるようになったのだ。
『くくく.......前世も合わせたら26歳で初めてのおつかいか.......面白すぎて笑いが止まらぬぞ。我が使徒よ』
『ひとつ言っておく。前世ではおつかいくらいした事あるからな?今世では初めてなだけだ』
『.......そ、そうだな.......ぷっ』
そんなに面白いのだろうか?腹を抱えて大笑いしているのが目に浮かぶぞ。
「ん?.......なんかいるな」
俺は人間ではない気配を感じ取り、すぐに茂みへ隠れる。
ノワールから教わったお陰で、探知魔法を覚えることが出来た。
奇襲などを防ぐために、この魔法必須だと言われ、最初に教えてもらった。
探知魔法や身体能力など、属性の適性が必要ない魔法は、誰でも覚えることが出来るのだ。
『ただの雑魚だ。なぜ隠れるのだ?』
木の影から現れたのは、全身緑色の醜悪な見た目をしている魔物だ。
名前はゴブリン。
ノワールの言う通り雑魚だ。
『俺は小心者だから慎重に動くの。つか、俺は魔物と戦ったことないんだよ』
『ふんっ、臆病者め。魔神の使徒らしく邪悪な笑みを浮かべながら、敵を蹂躙せんか』
『このキュートな顔では邪悪な笑みなんて出来ませーん』
『.......どこがキュートなのだ?』
『.......そんな真面目な声で言わないでよ』
傷ついた.......とても傷ついたよ。今ので俺のライフは残り1しかないぜ。
「さて.......殺りますか」
俺は10歳になってから、父さんと狩りに行き始めた。
もちろん、いきなり魔物と戦うのは危険だから、ウサギなどの小動物を中心に狩りをしていたのだ。
だから、生き物の命を奪うことに抵抗はない。
人間以外ならだけどな。
「すぅ.......はぁ」
俺は深呼吸をして覚悟を決めた後、拳サイズの水を生成し、槍のように先端を尖らせる。
そして、ゴブリンの頭へ狙いを定めた瞬間、発射した。
水で作られた槍は、一直線にゴブリンへ向かっていき、頭部を貫く。
「よしっ!」
俺は嬉しさのあまり、小さく声を上げながらガッツポーズした。
『0点だな』
『は?今のは完璧だったろ!』
『ダメなところを全て上げていたらキリがない程ダメダメだな』
『.......は、初めてだからしょうがないじゃんか!』
『男が言い訳するなどカッコ悪い。恥ずかしくないのか?それに実戦ではそんな言い訳通用しないぞ』
『うぐっ.......た、確かに.......でも、もう少しオブラートに包んで欲しいぜ』
『まずはゴブリンへ魔法を放つ時にしていた深呼吸だ。もし、近くに耳の良い魔物がいたら、呼吸の音で位置がバレていたぞ。それに、深呼吸するのと同時に目を瞑るなど論外だ。あと魔法の発動に時間が掛かりすぎている。水を生成してから形を整えるのではなく、生成と同時にイメージ通りの形にするのが常識だ。最後はゴブリンを倒した後だな。戦闘直後にガッツポーズとか頭おかしいんのではないか?他に敵がいたらどうする。目の前の相手を倒しても気を抜くな。.......すぐに改善した方がいい事は、これくらいだな』
『お、おう』
普段のちゃらんぽらんな態度はどこに行ったのか、神様らしく信者のためになる話をしてくださった。
普段の様子からは想像ができない。
たまには、神様らしいことも言えるじゃないか。
床でゴロゴロしている時、そんな呟きが母さんから聞こえてきた。
今日の晩ご飯はシチュー、俺の大好物な食べ物である。
母さんが野菜が無いと言っていたので、何の野菜が無いのか確認しに行く。
「何がないのー?」
中に入っていたものは.......肉だけであった。
野菜が全く入ってないじゃないか.......結構、人参とかジャガイモは好きなんだぞ。
「この前、街に行ったとき野菜を買い忘れたのね。うっかりしてたわ!」
そう言って、母さんは少し舌を出しながらアタマをコテンと叩き、「えへへっ」と可愛らしい笑みを浮かべた。
父さんが母さんをガン見して、ほんのり頬を赤く染めている。
キモイぞ、父さん。
「んー.......あ、そうだ!俺がお野菜買いに行ってあげる!」
「あら、ほんとー?ありがとうヒロトちゃん!」
俺はされるがままに頭を撫でられ、野菜を買うためのお金を貰う。
「それじゃあ、行ってくるね!」
「はーい!行ってらっしゃい!」
玄関前まで、父さんと母さんに見送ってもらい振り向くと、何故か二人は涙を流しながら大きく手を振っていた。
そして、はじめてのおつかいをする事となったのだ。
「うぅ.......前まで、あんなに小さかったのによォ.......おつかいまで出来るようになりながった」
「えぇ.......あの子も成長しているのね.......ぐすっ」
こうして、ヒロトの知らないところで、ガルとリーナが感動で涙を流すのだった。
◇
俺は魔力で身体能力を強化しながら、山を駆け下りている。
野菜が無いから野菜を買いに向かっているのだが、家から街まで結構な距離があるのだ。
山奥に住んでいるから仕方ない。
俺は目をよく凝らしながら、街までの最短距離を走る。
転生して強化されたのか、それとも父さんの素振りをいつも見ている影響なのかは分からないが、前世よりも目が良くなっている気がする。
しかも、大気中に漂う魔素を視認できるようになったのだ。
『くくく.......前世も合わせたら26歳で初めてのおつかいか.......面白すぎて笑いが止まらぬぞ。我が使徒よ』
『ひとつ言っておく。前世ではおつかいくらいした事あるからな?今世では初めてなだけだ』
『.......そ、そうだな.......ぷっ』
そんなに面白いのだろうか?腹を抱えて大笑いしているのが目に浮かぶぞ。
「ん?.......なんかいるな」
俺は人間ではない気配を感じ取り、すぐに茂みへ隠れる。
ノワールから教わったお陰で、探知魔法を覚えることが出来た。
奇襲などを防ぐために、この魔法必須だと言われ、最初に教えてもらった。
探知魔法や身体能力など、属性の適性が必要ない魔法は、誰でも覚えることが出来るのだ。
『ただの雑魚だ。なぜ隠れるのだ?』
木の影から現れたのは、全身緑色の醜悪な見た目をしている魔物だ。
名前はゴブリン。
ノワールの言う通り雑魚だ。
『俺は小心者だから慎重に動くの。つか、俺は魔物と戦ったことないんだよ』
『ふんっ、臆病者め。魔神の使徒らしく邪悪な笑みを浮かべながら、敵を蹂躙せんか』
『このキュートな顔では邪悪な笑みなんて出来ませーん』
『.......どこがキュートなのだ?』
『.......そんな真面目な声で言わないでよ』
傷ついた.......とても傷ついたよ。今ので俺のライフは残り1しかないぜ。
「さて.......殺りますか」
俺は10歳になってから、父さんと狩りに行き始めた。
もちろん、いきなり魔物と戦うのは危険だから、ウサギなどの小動物を中心に狩りをしていたのだ。
だから、生き物の命を奪うことに抵抗はない。
人間以外ならだけどな。
「すぅ.......はぁ」
俺は深呼吸をして覚悟を決めた後、拳サイズの水を生成し、槍のように先端を尖らせる。
そして、ゴブリンの頭へ狙いを定めた瞬間、発射した。
水で作られた槍は、一直線にゴブリンへ向かっていき、頭部を貫く。
「よしっ!」
俺は嬉しさのあまり、小さく声を上げながらガッツポーズした。
『0点だな』
『は?今のは完璧だったろ!』
『ダメなところを全て上げていたらキリがない程ダメダメだな』
『.......は、初めてだからしょうがないじゃんか!』
『男が言い訳するなどカッコ悪い。恥ずかしくないのか?それに実戦ではそんな言い訳通用しないぞ』
『うぐっ.......た、確かに.......でも、もう少しオブラートに包んで欲しいぜ』
『まずはゴブリンへ魔法を放つ時にしていた深呼吸だ。もし、近くに耳の良い魔物がいたら、呼吸の音で位置がバレていたぞ。それに、深呼吸するのと同時に目を瞑るなど論外だ。あと魔法の発動に時間が掛かりすぎている。水を生成してから形を整えるのではなく、生成と同時にイメージ通りの形にするのが常識だ。最後はゴブリンを倒した後だな。戦闘直後にガッツポーズとか頭おかしいんのではないか?他に敵がいたらどうする。目の前の相手を倒しても気を抜くな。.......すぐに改善した方がいい事は、これくらいだな』
『お、おう』
普段のちゃらんぽらんな態度はどこに行ったのか、神様らしく信者のためになる話をしてくださった。
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