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水魔法は最弱!?いえ使うのは液体魔法です

S・R

5話 5歳の日常

 母さんの転移で雲の上に行き、ドラゴンに火を吹かれて、ガルのお洋服に小便を引っ掛けてから、約5年の月日が流れた。

 その間、両親に我儘を言いまくり、数え切れないほど困らせる.......ような事を、今の精神年齢では出来ないので、取り敢えず言葉を覚えて、母さんとノワールの指導の元、魔力操作の仕方を覚えた。

 まぁ、あとは父さんから剣術を少々.......今の筋力では、小さい木刀を持ち上げるのが精一杯である。
 だから、剣術は後回しだ。

「まぁ!さすがヒロトちゃんね!才能があるわ!」
「えへへ.......ありがとう母さん!」

 母さんが満面の笑みで、俺の頭を撫でながら褒める。
 その言葉が嬉しくて、抱きつきながらお礼を言う。
 .......言葉遣いが見た目相応なのは見逃してくれ.......精神年齢は20歳を超えているのだから。

『人並み以上には才能はあるが、やはり人という種は弱いな.......5歳児のエルフは、もっとすごい魔法を使うぞ』

 我が主は満足いかないようだ。
 つか、魔法のスペシャリストと一緒にすんじゃねぇよ。
 こちとら、ただの人間だぞ。

『エルフと比べられても困るわ.......あれは完全にバケモンだろ』

 母さんの知り合いにエルフがいるのだ。
 そのエルフの魔法は、母さんとは勝るとも劣らない程の繊細で鮮やか、そして強力な魔法を操ることが出来ていたのだ。
 .......そのエルフと同等.......いや、それ以上の魔法をバンバン放てる母さんは何者なのだろうか?
 見た目は普通の人間なんだけどな。

『まぁ、貴様の母と父は別格だがな・・・しかし、いつかは貴様が超えなければならない存在でもある。精進せよ』
『?分かった』

 魔神にすら知られているとは.......もしかして、めちゃくちゃ有名人?

「どうしたの?ヒロトちゃん」
「.......!何でもないよ!」

 おっと.......一分近くボーッとしてたな。

「ねーねー!どうやったら、母さんみたいな凄い魔法を放てるの?」
「んー.......死ぬ気で努力すれば何とかなるわ!」
「へー!そうなんだ!」

 こらこら.......自分の子供に、そんなアドバイスすんなよ。
 つか、死ぬ気で努力しないと追いつけないのか.......やっぱ、俺の両親って凄い人なのかな。
 聞いてみよ。

「ねーねー、母さんと父さんって凄い人なの?」
「母さんと父さんってはね.......昔、冒険者っていう世界中を冒険して、悪い魔物や盗賊を退治するお仕事をしてたのよ!」
「おぉ!かっこいい!」
「でしょー!」

 あれか?各地を回りながら、治安維持をするお仕事なのかな?.......世界中を冒険するとか、少し憧れるな。

「俺も大きくなったら冒険者になって良い?」
「もちろん!良いわよ!」
「やったー!」

 取り敢えず、子供らしくピョンピョン跳ねながら喜ぶ。
 .......け、決して、無意識のうちに飛び跳ねてしまうほど喜んでいるわけでないかな!本当だぞ!

「よしっ!もっと魔法の練習をするぞ!」
「その意気よ!ヒロトちゃん!」

 気合を入れたあと、俺は魔法の練習を続ける。

 まずは1リットル程の水を生成、そして自分が最もイメージしやすい生き物を形作った。
 ドラゴンだ。
 この世界で初めて見た人間以外の生き物がドラゴンだったので、かなりイメージを固めやすい。

 魔法はイメージ次第で、どんな形や性質にもなるので、あとは相応の魔力操作と魔力量を見に付ければ、大抵のことは出来るようになる.......と母さんが言っていた。
 まぁ、全属性に適性があるから言えることなのだけどな。
 俺には液体を生成して、操作することしか出来ない。

「ふぅ.......」

 一息吐いて、魔法の乱れを正す。
 思い描くは、圧倒的な存在感を放ち、全てを踏み潰してしまいそうな程の巨体を持つ、四足歩行の巨大なドラゴン。
 その巨体の表面には艶のある硬い鱗、そして遠目からでも分かる程の強靭な肉体を持っていた。

 それらのイメージを形にしていく。

「.......!出来た!」
「さすがヒロトちゃん!その歳で凄いわ!」

 と言って、母さんは凄く褒めてくれる。

 初めて成功したぞ!.......まぁ、大きさは30センチくらいしかないんだけどな。

「お?今日もやってるなぁ」
「父さん!初めて成功したよ!」

 俺と母さんの声が聞こえてきたのか、父さんは2階の窓から飛び降りてきた。

「こらっ!窓から飛び降りないの!ヒロトちゃんが真似したらどうするのよ!」
「わ、悪ぃ」

 いつも自由人な父さんでも、母さんには頭が上がらないみたいだな。
 今も頭をひっぱたかれて涙目になってやがる。
 へへっ、ざまぁ。

「ヒロトすげぇな!10年後くらいには俺よりも魔法が扱えてるようになってんじゃねぇか?」

 あ.......露骨に話を逸らしたぞ。
 ほら、母さんも白い目を向けてるぜ?
 まぁ、褒められて悪い気はしないので、天使ちゃんもビックリな満面の笑みを浮かべながら、大声でお礼を言う。

「うん!ありがとう父さん!」
「ズキューン!」

 父さんは自分の胸を抑えながら、地面に倒れ込んで天に召された。
 .......初めて、そんな言葉を声に出す奴を見たぞ。
 ふっ.......それ程、俺の笑顔には破壊力があるという事だな。

『ふんっ.......我の方が可愛らしい笑顔をするぞ』
『お前の場合は邪悪な笑みだろ』
『当たり前であろう!余は魔神なのだ!天使のような胡散臭い笑みなど浮かべぬ』

 天使をそんな扱い.......やっぱり、神さまがいるくらいだし、天使様がいてもおかしくないのかな。

 そんなこんなで、俺は5歳児の日々を送っていたのだった。

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