皇子様にスルーされたら、ヤンデレ騎士?に愛されました

ブラックベリィ

005★どうやら、常識が違うようです



 うぅ~ん………しっかし、モロにテンプレな感じよねぇ………。
 これじゃ~彼女達は、皇子様達(仮)にタラされてしまうの決定よねぇ………。
 でもって、これってば、まさに乙女ゲームのイベントよね。

 シチュエーションとしても、テンプレ………たぶんだけど。
 だって私、RPGは好きだからよく遊んでいたけど、乙女ゲームってやったコトないんだよねぇ………。
 でも、宣伝はちょくちょく出ていたから見ていたけど。

 それだって、キャラ紹介とか声優が誰それだとか、イベントがどんなのとか………んぅ~…設定が少々ぐらいかな?
 スチルは綺麗だから、データーとしてとっておいたりはしたけどね。
 私にとって大事なのは、声優様だから………。

 でも、乙女ゲームには手を出して無かったんだよね。
 課金するお金なんて無いモン。
 イベント代が限界だったんだもん。
 いや、小物とかちょくちょく買っていたセイもあるけどね。

 容姿の綺麗なお姉ちゃんには、お母さんもお小遣いポンポンあげていたけど、私にはせいぜいが月に五千円だったしね。
 まぁ、何か頼まれて、お駄賃が貰える月は、プラス三千円ぐらいにはなったけどねぇ………ああ、暗いわ。
 現実逃避して、そっちで暗くなるなんて、私ってバカよね………はぁ~(哀)。

 じゃなくって、こういう攻略イベントにモブは関係無いから、私の出番は無いわよねぇ………。
 だって、モブは背景と一緒ですからね。

 だから、馬車に乗せられる可能性は無いわね。
 馬車の空間というか、座席に余裕があっても、私の居場所というか、席は無いでしょうしねぇ………スルーされて認識されていないんだから。

 じゃあ、そうなると、私は、どうなるのかしら?
 完全に、存在を忘れられているけど?
 もしかして、本気であの人達には見えていないとか?
 いや、その可能性もあるわね………ラノベであったわ、魂というか精神だけ異世界っていうの。

 もし本当にそうだったら、このまま神殿の出入り口まで一緒に行って、そっと逃げてしまうのも手よねぇ………。
 逃げるのにも、ちょっとの勇気はいるけど、このままスルーされ続けるのもねぇ…流石に、ちょっと不味い気がするもの………。

 いやなに、何の関心も無い人間がいなくなっても、誰も気にしないわよ……うん…大丈夫よ。
 今の私は、彼らにとって、ある種の透明人間状態だもの。
 居ない者なんですから、私をどうこうするコトは無いはずだし………希望観測だけどね。

 と、いうことで、逃げる為にも少しでも多く、こっちの世界の情報は欲しいから、ここは耳を澄ませて会話を黙って聞くしかないわね。

 そんな決心をしていた私の耳に入ったのは………赤皇子(仮)のアレクシス様の苦言?

 「姫君、異世界の衣装とわかっているのだが………
  こちらでは、女性は足を見せたりしないものだ
  皇宮に着いたら着替えてもらうから、そのつもりでいてくれ」

 アレクシス様の苦言?の入った命令口調に、疑問という風味を乗せて里奈さんが当然のように言い返していた。
 凄いですねぇ………俺様の皇子様(仮)にガッツリと言い返してますよ。

 「えっ? 普通に、ミニスカートですけど?
  下にはスパッツもはいていますよ

  これは、足を見せているには
  当たらないと思うんですが?」

 流石は、ちやほやされ慣れている美少女。
 強気な発言が、とぉ~っても似合っているわね。
 モブの私には、あの皇子様達(仮)に、何をされるかわからないから怖くて出来ない発言だわ。

 でも…生足を見せていないのに、注意されるって………私でも、たかが素足じゃないって思うわよ、怖いから言わないけど。
 ああそう言えば、ラノベの悪役令嬢モノや聖女モノでも、足は見せないっていう設定は良くあったわね。 
 それと同じように、ここもなんか面倒くさい風俗の世界なのね……。
 
 それとも、あの皇子様達(仮)が、そういう性癖(気に言った女性の素肌は、自分以外に見せたくない)の人達なのかしら………ひくわぁ~………。
 もしそうだったら、まず間違いなくヤンデレ決定だわ。

 それとも、女性の地位も人権もないがしろにされているような世界なのかな?
 だったら、嫌だなぁ~でも、日本みたいな自由は無い感じかヒシヒシとするわね。
 美少女でそういう扱いなら、デブス…いやいや、モブのぽっちゃり子の立場なんて無いも同然じゃないの………どうしよう(涙)。

 って、あれ? それじゃ私は?
 ストレッチジーパンをはいているけど………。
 私はどうなるのかなぁ?
 これって、もしかしなくても、男装扱いになるのかなぁ~………それって、もっと責められるかな?

 …まっ…でも大丈夫かな?
 どうせ、皇子様達(仮)の目には、私の存在は入っていないから……。
 スルーって感じかな?
 でも、今の発言から推測するに、この姿で逃げるのは、まず間違いなく不味いってわかったわ。

 あの皇子様の言う常識が正しいなら………。
 この世界の女性は、足首まで隠すようなスカートかドレスを着ているってことは、私の服装は目立ちまくりだもの。

 あれ?確か、ラノベで足を見せないとかってあったわね。
 緩いのはヒザを隠していればOKで、基本は足首までのドレス(ワンピース)かスカートだったわね。

 ここは、皇宮まで行って着替えをゲットするべきよね………。
 出来ると良いなぁ~………まぁ、それも連れて行ってもらえたらだけど………。
 デブス…いやいや、モブのぽっちゃり子が生きるのは、何処の世界でも厳しいわね………いや、本気でそう思うわよ。

 なんて考えていたら、今度は緑皇子(仮)のカルスレイド様が話し始める。

 「姫の髪は美しい……でも…この世界では…
  未婚の女性の髪形は決まっているのです
  そして、必ずつける髪飾りがあるのです」

 えっ………素足に文句つけた後は、髪にまで文句言うの?
 こっちって、どういう世界よ………マジで男尊女卑ってヤツ?
 なんてコトを、私も内心では思ったけどね。
 当然、存在をスルーされたんで、口になんてしませんよなんて思う中、美少女達が声を上げる。

 「「えっえぇー…どうして?
   おしゃれが出来ないじゃないですか?」」

 2人の美少女は、声を揃えて抗議を含んだ声を上げていますよ、凄いです。
 私も、その堂々としたセリフには驚きましたけどね。
 でもまぁ、流石はちやほやされるのが当然の美少女達ですって感じですね。

 異世界に自分達を召喚した、俺様系の皇子様達(仮)の発言に、堂々と文句を口にしてますよ。
 本当に、怖いもの無しですよね………そういう意味では、ちょっとうらやましいです。


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