皇子様にスルーされたら、ヤンデレ騎士?に愛されました

ブラックベリィ

004★名前はコンプレックスです



 綺麗に居ないモノとしてスルーされた私は、誰にも名前を聞かれなかったから、名のる必要は無かった………いや、本気でホッとしますよ。
 だって、出来れば、御大層な音の名前を持つ私は、名のりたく無いっていうのが本音だったりする。

 だって、綾小路 静香(あやのこうじ しずか)なんて………これって、何処の公家?いや、華族?って苗字になんだもの(泣)。
 名前なんかもっとひどいわ、だって、源義経フリークの父が、静御前からとったって言うんだもの(号泣)。

 だから、小学校での宿題で、自分の名前の由来を親に聞いて来てください………という宿題は、思いっきり泣きましたよ(号泣)。
 でも、それを見ていたお祖母ちゃんが………。

 『物静かな大人しい大和撫子になってほしいから
  静香ってつけたって言うんだよ』

  って教えてくれましたよ(爆)。

 由来を換えても静香は、静香でしかなかったのは事実です。
 そして、やさぐれた私は………。

 『あまりに元気な鳴き声だったから
  少し静かになって欲しいってつけたそうです』

  と、自分の名前の由来という宿題に答えましたよ(ふん)。

 ほんとぉぉぉぉぉ~に、地味で影の薄い私には、ぜぇぇぇぇぇ~ったいに、似合わない名前なんですよぉ~………はぁ~(涙)。

 もしもですが、ここで、名前を聞かれたら、私は偽名を名のりますよ。
 本当の名前を名のるなんて御免です。

 いや、ほら…ラノベには、名取りされて隷属させられたりってあったしねぇ………うんうん、偽名で通そう。

 となるとぉ………うぅ~ん………最初の音を残して苗字と名前を………。
 良し、綾瀬(あやせ)、紫音(しおん)って名のってしまおう。

 だって、偽名を名のって、それに反応できなかったら不味いものね………安全第一よ。
 それに、不意に知らない人から問われた時に、名前を言えないのもちょっとねぇ………。

 そんなコトを思っている間も、赤皇子様(仮)のアレクシス様は、合いも変わらぬ俺様口調で説明をしていた。

 「この星は、アーシスと言う
  私達の国は、アルファルーラ帝国と言う
  3大陸の1つリドラ大陸の北側に位置する」

 「皇宮があるのなら、首都というか
  王都? 帝都? ですよね?」

 「そう、ここは、帝都アルファスにある神殿だ」

 「皇宮は近いんですか?」

 「馬車で行く必要がある距離だな」

 「そうですか」

 「貴女達は、一緒の馬車に乗ってもらう
  その馬車の隣りを、私達が馬で伴走する
  安心するがいい」

 泰然と言う赤皇子様(仮)こと、アレクシス様の言葉に、黒髪美少女の里奈さんが小首を傾げて問いかける。
 うん、これだけを切り取って見るなら、スチル的には眼福ですね………ご馳走さまです。
 なんか、乙女ゲームのヒロインと攻略者ってかんじですね。
 悪役令嬢の登場は?なんて思ってしまいますよ。

 しかし、アレクシス様と里奈さんしか会話してませんね。
 緑皇子様(仮)のカルスレイド様ってば、全然口を開きませんね。
 いや、茶髪美少女の絵里さんも話してませんけどね。

 口下手?コミュ障?なんでしょうかね。
 それともただのスボラでしょうか?
 いや皇子様にそれは無いでしょうから、絵里さんが人見知りなだけでしょうね………たぶんきっと。

 なんて考えている私の視線先では、里奈さんが一生懸命にアレクシス様に話しかけています………凄いですね、美少女は。
 
 「えっとぉ~…皇子様なのに、馬車には乗らないんですか?」

 「貴女達は、転移したばかりだからな
  少しでもゆっくりと休んで欲しいからな
  そして、貴女達を守りたいから、私達は馬に乗り伴奏するんだ」

 「「…えっ…?」」

 アレクシス様のお言葉に、美少女2人組みはちょっときょとんとしながら声をハモらせる。
 そんな姿も可愛いですね………うらやましいです。
 でも、皇子様(仮)が、馬にのるって、なんか変ですね。

 まっ………袖すり合うも多生の縁って言葉のような、接近すらない私には関係ないですね。
 皇子様(仮)がどうなろうとね。




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