初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第39.5話 私は勇者になってしまったようです・・・(下)の話

私は北門に向う
門は既に突破されており、魔物達の進行が進んでいた。
既にクラスメイトの何人かが既に応戦しはしていたが、魔物の数が多いため何体か仕留めそこなっていた。


「た、助けてくれぇ!!」


私はすぐさまに聖剣を取り出して、今にも魔物に襲われそうになっている町の人を助ける。
魔物はそんな強くなく一振りで消滅して消えた。


「ゆ、勇者様!?」


「大丈夫ですか?立ち上がれますか?」


私は尻餅をついた男性を手を引くように立ち上がらせる。
男はお礼を言って南へと非難をする。


(しかし、今まで以上に魔物の量が多いな・・・)


私は門を眺めると何千体という規模の魔物がこちらに"綺麗"な隊列で行進そしていた。
そう、違和感を感じる、魔物にしては不気味なぐらいに隊列を組んでいたのだ。


「まさか、レイド級のモンスターが近づいているのか?」


いや、それともそれ以上の魔物が?
私は不気味に感じつつ門の方へ援護しに行ったのだった。
すると御剣に気づいたのか生徒の一人が大きな声で叫んだ。


「御剣さんがきたぞぉおおお!!」


「ダニィ!?」
「これで勝つる!」
「キャーミツルギサーン!」


相変わらずのコールだ・・・!
恥ずかしいからやめてほしいんだけど、私は言う勇気がないんだ、だって怖いし・・・。
私は魔物を一掃する。


「黒桜花流・秘儀『闇桜』!」


私は聖剣を構えた、聖剣は薄暗く光る。
そのまま、私は魔物の群れに舞うように回転しながら魔物達を斬りつける。
斬りつけられた魔物の血が飛び散りる中、血は桜の形になりに妖しく光りながらひらひら落ちていく。


無駄のない洗練されたミハエルさんのなせる剣技だ、幸いにも私は覚えが良かったため何とか習得できた。
普通の人なら"5ヶ月"掛かる技らしい。


私は舞う、ひたすら切り伏せ、血を浴び続けた。
しかし、血は聖剣よって浄化され消えていく。


何体か町に取り逃したので一旦、門の方へ戻ることにした。
戻ると、晴渡さんと山崎くんががいた。
しかし、よく見てみると他にも誰かがいるみたいだ、私は気になったので近づいた。


「晴渡さん達、来てくれたのか!所でそちらの人は?」


「この人はたまたま店でばったり会って、戦えるらしいので付き合ってもらっているの」


黒服でマスクつけてる男に美少女3人か・・・。
いわゆる、ハーレムっていうやつかな?
しかし、男の人はチャラけている感じではなく、むしろどことなく"彼"を連想させるような感じがした。
取り合えず、一般人じゃないかを確認してみた。


「大丈夫ですか?一般人なら危ないとおもうのだが」


「大丈夫だ、戦える」


すると、クラスメイトの叫び声が聞こえる。


「御剣さん危ない!!」


私は振り向くとそこには飛び掛かる魔物の姿があった。
このぐらいなら間に合う、私は聖剣を手に掛けた。
だが、既に魔物は"死んでいた"
魔物の頭部に風穴があいていたのだ。
私はあまりの出来事に振り向いた。


「な、なんだ!?」


そこに黒服のとこはこの世界に相応しくない武器を持っていた。
それは"銃"だった、なぜこの世界に銃が!?しかも、かっこいい・・・!
私は若干感動していると美空さんが驚いた声で言う。


「銃!?なぜこの世界に!?」


「それは後だ!魔物を止めるぞ!!」


男の合図と同時に、二人の少女は動き出す。
もう一人の少女は姿は短剣に代わる。
銀髪の少女は炎の大剣で蹂躙し、水色の少女は口から吐く蒼い炎で魔物を焼き尽くした。
強いなおい!?というか私はいらなくないか!?


すると男は、何処から丸い物を取り出す、男はピンを抜いて魔物に向けて投げた。
その瞬間、投げた場所から凄まじい爆発が魔物達の数を減らしていく。
男が投げたのは"手榴弾"だった。


(なんでもありかよぉ・・・!)


やっぱりこの人はやばい人だった・・・。
男は私達に向っていう。


「それより、町にいる魔物を何とかしてくれ、こっちは何とかする。」


「わ、分かったわ!」


晴渡さん達は町にあふれた魔物達を始末しに行く。
だけど、私は・・・。
何となくだけど、この人について行きたかった。
何故なんだろうか?何処か懐かしい感じがする、どうしても他人だと思えなかった。


「僕も手伝わせてくれ!足手まといにはならないようにする!」


「勝手にしろ」


男は門に向って歩いていく。
その歩く背中は、どことなく黒杉くんに似ていたのだった。


道中、私達は魔物を群れを切り伏せていく、この黒服のナイフ捌きは達人物だった。
魔力はそこまで無いが、技量でカバーしている感じがした。


(そういや、この人の名前聞いていなかったなぁ・・・)


私は気になったので聞くことにした。
男は私が質問するという。


「名乗るほどでもないさ、」


男はそう言った、それもそうだよなぁ、教えてくれる感じじゃなかったし・・・。
私は魔物を切り伏せながら言う。


「そうか、じゃあまた今度教えてもらうことにするよ」


男は拳銃を使って魔物に風穴を開ける。


「まぁ、いずれな」


すると大量の魔物がまた襲って来る。
流石に多いなぁ、此処は範囲魔法で応戦するかな
私はスキルを唱え魔物に向けて放つ。


「ジャッジメント!!!」


魔物は一掃されたが、それなりに強力な魔法なので魔力がゴリゴリと減っていくのが分かる。
うー・・流石に魔力が少なくなるときついなぁ。
すると、男は私の肩を叩きなんか丸い物を渡してくる。


「魔力がなくなったらこれを食っとけ」


「これはなんだ?」


「魔力回復の薬だ」


何か変な物は言っていないかを調べようとしたけど、不思議と黒服の男の言うことは信用できた。
私は丸薬をかじると、一瞬で魔力が回復しきった、
な、なんでもありだなぁー・・・!?


「すごいなこれ!魔力が完全に回復したぞ!?」


「ほら、手を動かせ」


私達は互いに武器を振り突けた、多分1時間経ったぐらいで違和感を感じる。
男もその違和感に感じたのか私に向けて話す。


「御剣、何か気づかないか?」


「あぁ、僕もおかしいと思う」


「「さっきよりも魔物が増えている」」


しかも、強くなっているじゃないですかー!やだー!!
男は厳しい顔をする。
すると、どこからか少女の声が聞こえた上を見上げるとそこにはドラゴンがいた。
修業で一度戦ったことあるけど、何度死にかけた事か・・・。
私は修業してた時を苦い思い出を思い出しながら剣を構えた。
だが男は言う。


「まて、味方だ。安心してくれ」


「そ、そうか。」


私は戸惑いながら、男の事を信じた。
ドラゴンは強大な魔力に気づいてここに来たらしい。
指を差す方向を見ると、そこには禍々しい魔力が充満していた、私の中の防衛本能が察知した、この先は危ないと。
その事を伝えたドラゴンは再び町へと飛び去った、大丈夫かな・・・ドラゴンの状態で行ったら混乱するじゃないかとおもんだけど、突っ込まないようにした。
いざ、向かおうとすると魔物達が群れがまた進行してきたのだ。


「やはり、倒すしかないか・・・」


「なら、手伝いますよ」


あれだけの数だ、あの技を放つしかないな・・・・。
私は聖剣にありったけの魔力を込めて、擬宿させ、そして開放させた。


「放て!!『ラスト・カリバーン』!!」


魔物群れは光に飲まれて一瞬で消滅した。
あぁ!私の魔力が、魔力がぁ!
私の速攻で魔力が空っぽになってしまった。
すると、男は丸薬を取り出して、私に渡した。
魔力切れきつかった為、すぐにかみ砕いた。
空っぽだった、魔力が再び全回復する、この丸薬やっぱりすごいな・・・。
ふと、男をみる。


(このやりとり、懐かしいなぁ・・・)


御剣は4ヶ月前の事を思い出す、黒杉くんが私が無理して魔力切れになった時に回復薬を渡してくれたんだっけか。
やっぱり似ているなぁー・・・、気遣いも行動も。
私は無意識に黒服の男を黒杉くんを重ね合わせて見ていた。


「すまない、助かる」


「あぁ、これならあのまま真っすぐ行けそうだ。」


「そうか、役に立てて良かったです。」


私達は魔物を一掃した道を歩いていると、凄まじい殺気を感じた。
その殺意は私の心臓を貫くようだった、私はあまりにも出来事で吐き気が襲って来る。


「・・・!!?何ですかこの殺気は!?」


男は彼の事知っているようだ。
どうやら、目の前にいる"化け物"は彼の仲間らしい。
急に組織やらリーダーやらの話が出てきて私は混乱した。
よし、考えるをやめよう、シンプルに考えよう、その答えを導いた結果


「つまり、そいつを倒せば魔物が止まるんだな?」


「おそらくな」


私達は武器を構えた。
ここで止めなければ、町やクラスメイトが危険な目に合ってしまう。
そうだ、私は二度と後悔はしないと誓ったんだ、ここで殺意に負けている場合でないんだ。


「僕は二度と後悔しない為に、そして二度とクラスメイトを失わせない為にここでお前を倒す」


男は何処か思いつめるように言う。


「・・・あぁ、そうだな。」



私達は死闘を繰り広げた。
化け物の殺意になんとか、対抗しながら戦い続けた。
しかし、化け物の一撃が凄まじい為、黒服に化け物の攻撃が当たってしまう。
黒服の身体から血が噴き出し倒れた。
化け物は黒服に止めをさそうとした。


(駄目だこのままじゃ間に合わない・・・!)


嫌だ・・・!また守れずに、後悔するなんて嫌だ!!
お願いだ、動いてくれ!誰でもいい!助けてくれ・・・!!
お願いだから・・・・。


「やめろぉ!!」


私は叫んだ、叶うはずもない願いを叫んだ。


「じゃあ、新人、さらばだ・・・」


彼が刀を振り上げた瞬間だった。
動きが止まった、何故だ?
男は刀をそのまま落とした、よく見てみると腕から血が噴き出していた。


(え、なんで?)


私はあまりの出来事に困惑する。
というかさっきから混乱しかしていなかった。
すると数秒後、何かが化け物の太ももに目掛けて当たる。
次は太ももから、血が噴き出していた。
すると、男は何やら何処か見つめていた、見つめていた先をみるとそこには遠く離れた山があったのだ。
一瞬だが、光ったような気がする。
その瞬間、次は化け物の脇腹に命中した。


(え?まさか・・・、あそこから攻撃してるの!?)


明らかに、10キロ以上離れいるのに的確に狙撃しているのだ。
どうやら、仲間は一人だけじゃないそうだ。
組織というのは人外ばっかりだそうだ。


「ヨウイチ・・・・!!」


すると少女の声が聞こえた。
ヨウイチ?何処か聞いたころあるような・・・。
私は振り向くとそこには、先ほど同行していた、少女だった。
どうやら、アイリスさんという名前らしい。


少女は足のポーチから丸薬を取り出しそのまま口に含んだ。
そして、男のマスクとフードが取られる。
そこには、衝撃的な光景が写っていた。


そう、見た事ある顔だった。


見間違える筈がない・・・、あの日の崖から落ちたクラスメイトの事。


少女の言葉を思い出す、ヨウイチという名前。


私が愛した彼。



黒杉 楊一の姿がそこにあった。




私は涙がこぼれそうだったが、アイリスという少女がそのまま黒杉くんに、キスをしたのだ。
ちょ、ま!待って!私にはまだ早い!
私はあまりの出来事に目を逸らしてしまった。


(でも、彼が生きてた・・・!黒杉くんは生きてたんだ・・・!)


例え叶わない恋だとしても、彼が生きているなら、それでよかった。
本当に良かった、やばい泣きそうだ。


だけど私は堪えた、まだ戦いは終わったわけじゃない。
すると、声が聞こえた。


「どう・・・?うまかった?」


「それ、今の現状で聞くことなのか?」


うん、私の前でイチャつくんじゃねぇ。
くそぉー・・・!私も黒杉くんに・・・!
想像してみたけど、やっぱり私には無理そうだったから諦めることにした。
そして、私は一旦落ち着いて、黒杉くんに話しかけた。


「黒杉・・・!黒杉じゃないか!?」


「ばれちゃったかぁ・・・」


バレちゃったかぁじゃないよ!
どんだけ心配してたと思ったの!!
私は丸薬を渡されて、そのままかじった。


「まぁ、内緒で頼む」


「何故だ?」


なぜ内緒にしたがるんだろうか?
何かまずい事でもあるのだろうか?


「変に伝えれば、皆に危険な目に会ってしまうからだ。」


「なっ!?それはどういう事だ。」


「それを言ったら、お前は言うだろ?」


いやまぁ!そうだけどさ!
クラスメイトに危険を伝えなければ、対策とか考えられないじゃないか・・・。


「すまないな、だが誰に言わないでくれ、言えば後悔するぞ」


後悔・・・、痛い所をつくなぁ。
彼がそう言うなら、今は信じるしかなかった。
でも、彼にはいずれ戻って事情は説明してもらわなければならないな。


「分かった、でもいつか戻ってきてくれ。」


「あぁ、約束はする。」


私はその言葉を聞いて、安心をした。
根拠はないけど、次は必ず戻ってきてくれる気がした。
すると化け物が話しかける。


「もういいか?俺は結構、短気なんだ」


待ってくれたんだ・・・、どうやらあのような姿になっても自我は保っているようだ。
男との声との同時に再び死闘を繰り広げた。
互いの剣撃が鈍い音たてて、激しい戦いが続いた。


そして、黒杉くんのナイフが化け物を切り裂いた。
化け物は苦しみだし、逃げられたが結果的には勝てたようだ。


私は黒杉くんがあまりにも強すぎることに驚いた。
彼は"村人"なんだから、村人に覚えられないスキルが沢山使っていた、彼に何があったんだろうか?
私は黒杉くんに聞いた。



「黒杉君・・・君はいったい・・・その力は一体・・・。」


「それより、町に戻れよ、皆が心配してるだろ」


どうやら、話してくれないようだ、それもそうか・・・関わりなんてあまりないからなぁ。
やはり、もうちょっと絡んでおけばよかったなぁって後悔するのであった。


「だが・・・」


私はここで言うことをやめた。
きっと、彼を困らせてしまうからだ。
それに彼には彼なりの気遣いがあるんだろう、私は遠くから見てたから分かる。


「わかった、どうせ君は止めても行かないだろう」


「よくわかってるじゃないか!委員長!」


「茶化さないでくれ」


だけど、彼の笑顔を見てほっとした。
あぁ、やっぱり黒杉くんだ・・・。
ふと、視線を感じた、視線の先を見るとアイリスという少女が私を見つめていた。
なんでだろう?


「じゃあ、誰にも・・」


「分かってるよ、言わなければいいんだろ?」


すると、彼は手を差し出した。
私はその変わらない優しい手を握って握手をして別れた。
別れる際に少女は私に近づいて耳元で囁く。


「うん?どうしたんだい?」


「ヨウイチは・・・渡さない、貴方はライバル」


私はその言葉を聞いてびっくりした。
すると少女は言う。


「女の子なんでしょ・・・?、魅力的になるなら、もうちょっと化粧をするがよろし」


そう言って、彼女は黒杉くんの元へ戻っていた。


「はは、参ったなぁ・・・。」


私は苦笑いしながら、町へ帰ったのだった。
道中、考えた。


「化粧か・・・、してみようかな・・・」


異世界に来たのなら、少しぐらい・・・可愛くなってもいいよね?


「それに・・・」


それに、黒杉くんにまた会えたんだ、次は魅力的な"女性"になりたいんだ。
私に強力な恋敵が現れたんだ、負けてはいられない。


「よし!"私"頑張るぞー!!」


私は町に戻るついでにトレーニングで町まで走ったのだ。


この事がきっかけで、町に謎の美少女が現れる噂が流れたのは、また別の話だった。


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次回!第一章 最終回!『作者、死す』
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よりよい作品にする為に、オラに元気を分けてくれぇ!!!

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