初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第39話 昨晩はお楽しみでしたね、そんな俺はアクセル全開にさせた。の話

(朝だ・・・)


俺は目を開けると雀の鳴き声だろうか、チュンチュンと聞こえていた。
上半身を起し目を擦る、上半身側の布団が落ちる
隣を見ると、小さい手で俺の手を握って、裸で寝ているアイリスがいた。


やっちまったー・・・・・
俺は背徳感を感じた、いやまぁ、先に仕掛けてきたのはあっちだけどさ!!
アイリスの頭を撫でると、甘えるように頬ずりをした、目をゆっくり開けてこっちを見つめる。


「昨晩はお楽しみでしたね」


アイリスはニヤニヤしたながら言ってくる。
完全に主導権がアイリスだったから、余裕そうな顔をしていやがる・・・畜生・・・。
俺は少しため息と敗北を感じて、服を着替え始めた。


「起きる?」


「あぁ、起きて基地に戻るよ。」


分かったと言って、アイリスも着替え始める。
朝の陽ざしに当たって、銀の髪が光り幻想的だった。
思わず、見惚れてしまった。
視線の気づいたのかアイリスはクスリと笑って小悪魔みたく言ってくる。


「もう一戦する?」


「しません・・・!」


これ以上は俺の身体が持たない!
残念そうな顔をして、再び手を動かした。
オイオイ・・・あんだけやってまだ足りないのかよ・・・と思いながら、ドアから出る。
ドアを開けると、床で伸びている、クレナとファレスの二人がいた。


「おーい、起きろー・・・」


俺は二人の頬を叩く、すると瞼を開けて起き上がる。


「うあ・・・」


「主人…敵襲!!!」


ファフニーは覚醒して一気に起き上がってキョロキョロと周りを見渡した。


「敵襲なんてなかったぞ?」


侵入した奴ならいるが・・・。
俺はアイリスの目を合わせようとすると逸らされた、こいつにげやがった!
ファフニーは「主人が言うなら・・」気のせいだったかと思ってご飯を食べに下に降りて行った。
しかし、クレナは俺の事をジト目で見つめてきた。


「ど、どうしたんだ、クレナ」


「ヨウイチから変な匂いがする。」


俺はその一言で思わず自分の身体を嗅いでしまった。
何も匂いがしないが・・・


「気のせいじゃないか?」


「なんか、香水の匂いする・・・!」


っく・・・!変に敏感だな!
俺はここでややこしくしたくはないから逃れようとするが逃がしてくれないようだ。
クレナの後ろでニヤニヤするな、アイリス!!
というか、何勝ち誇った顔をしてるんだ、何とかしてくれ!!
しかし、アイリスはその状況を楽しんでいるかように眺めていた。
覚えておけよ・・・今度仕返ししてやるからな・・・。


「なんか、あったの?」


俺に詰め寄ってくる。


「あぁ、ここの宿屋の石鹸がなくなったから、錬成して自分で作ったんだ、多分そのせいじゃないか?」


俺は若干、早口になりながら説明する。
というかなんで俺はさらに罪悪感を感じなければならないんだ!?
すると、クレナは「あ、そうなんだ」と言って納得してくれた。
この場を何とか納めることに成功した。


俺達は宿の食堂に向って降りた。
降りると食堂にサンクがいた。
すると、サンクは俺に気づくと挨拶をした。


「おはようございます、昨日はお楽しみでしたね。」


すごい、笑顔で言ってきた。
俺はものすごい冷や汗を掻く。


「おい!サンク・・!」


「ヨウイチ?」


俺はクレナの方を向く、クレナは一気に疑うような目で見てくる。


「防音魔法掛けるの大変だったんですよ?」


「バカ!ここで言う事じゃないだろ!?」


「ふーん・・・」


クレナの視線が痛い、これ以上は隠し事ができなかったので話すことにした。
クレナの目がさらに冷たくなっていくのがわかる。


「おばちゃーん、おかわりー」


「あいお、じゃんじゃん食いなぁー」


後ろでファフニーはのんきに食事をとっていた。
お前は平和そうで羨ましいわ・・・


「状況はわかったわ、えぇ、よくわかった」


「はい・・・」


すると、いつも通りのクレナに戻った。


「まぁ、ヨウイチとアイリスがいつか関係を持つのは分かってたし、良いんだけどね」


「クレナ・・・」


予想外に大人しかった。
逆にそれが不気味に思えるが・・・。


「まぁ、私は武器ですから?いいんですけどね?」


すると、クレナは耳元で囁く。


「後で、覚えておいてね?」


そう言って、笑顔に言ったのだ。
怖い・・・!クレナの笑顔が怖い・・・!


「ヨウイチ・・・どうしたの?」


アイリスは首を傾げて、聞いてくる。
大体、アイリスが招いたことだろう・・・!
俺はクレナに謝ったのだが、笑顔で「気にしてない」って言われただけだった。
肩が重い・・・。


俺達は宿に出て、車で基地に向うことにした。
今回はクレナが助手席に座り、アイリスが後ろに移動した。
どうやら、助手席だと酔いやすいから後退してもらったらしい。


あと変わったことがあるとするなら・・・。


「あのー、クレナさん、もうちょっと離れてくれませんかねぇ?」


「・・・。」


クレナは前より、べったりするようになった。
それを後ろの席で見ていた、サンクは茶化すように


「モテモテですね、黒杉さん」


「うっさいわ!誰のせいだと思ってんだ!!」


というか、運転しずらいかそろそろ放してくれ・・・
俺はそう伝えると、クレナは


「アイリスは良いのに私はダメなの・・・?」


そんな上目遣いで言うなよ!
俺はため息をして言う。


「せめて、運転以外の時にしてくれ・・・、事故になって死んだら何もできなくるぞ」


それを聞いて、安心したかのように腕から離れた。
当人のアイリスはと言うと、相変わらずグロテスクだった。
俺は今回は止まらずに走ることにしたというかアクセル少し上げた、良い薬になるだろう。


「ちょ、ヨウイチ・・・もうちょっと・・・」


アイリスは口を抑えた。
ヒャッハー!!なんかテンション上がってきたぜ!
俺はアクセルを全開で走り続けるのだった。


「ひゃっほお!主人!もっとやれー!たのしいー!!」


そんな中、ファフニーだけテンションを上げて楽しんでいた。
アイリスの悲鳴が森に響いたのだった。

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