初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第32話 三ヶ月の修業が終わりと再会の話

あれから一ヶ月が経って、丁度3ヶ月になった。


俺は疲労で地面に大の字なって倒れ込んだ。
土埃が舞った。
土埃はゆっくり自分の服につくいた。
"空"を見上げる、ここは地下だと分かっているのに、綺麗な空だった。
ここの基地は外と比べて異様に技術が発達していた、これもきっと、ハグレのせいだろう。
ただただ、空を見つめていると、ふとアイリスを思い出す。


「元気にしているだろうか?」


俺は思わず、言葉に出してしまう。
今まで、クレナとファフニーが騒がしかったから、そこまで寂しくなかったけど。
3ヶ月ぶりに会えると思うと、少し楽しみだった。


俺は地面の土を握りしめる。
強くなっただろうか?俺は今度こそ、アイリスを守れるだろうか?
あの時の俺は無力だった、そんな無力な自分を嫌った。


黒杉はあの光景を思い出す、クラスメイトの一人に裏切られ、あの洞窟のアイリスを危険な目に合わせた事。
今の俺はアイリスを守れる存在になれるだろうか?
黒杉は何かを思い出す度に、過去の事を振り返るように思い出した。


一樹や美空、佐野は元気にしてるだろうか?
いつか、再開出来たのなら、アイリスを連れて皆で何処かにいきたいな。


過去を思い出すと、最後に不気味に笑う板野を思い出す。
今なら分かるが、何かがおかしかった。
一樹と美空に危険な目に合わなければいいんだが・・・。


俺は何処か胸騒ぎを感じたが一樹と美空なら大丈夫だろうと信じた。


「待っててくれ、いつか絶対行くから。


俺は考え込むと、俺の上から誰かが覗き込んだ。
雷嘉さんだった、剣を納めてしゃがみ込んだ。
顔が近い、俺は慌てて起き上がった。


「黒杉さん、お疲れ様です。
最後まで、良く付き合ってくれました、三ヶ月間の厳しい訓練よく耐えましたね。
お疲れ様でした。」


そう言って、雷嘉さんは立ち上がって、手を差し出す。
差し出した手を俺は握って立ち上がった。
俺は背を伸ばして言う。


「お、終わったー!」


俺達は脳筋3姉妹の修業を終えたのだった。
クレナとファフニーが帰ってきて、その後に姉妹の二人が来た。
相変わらず、クレナとファフニーは元気にはしゃいでいた。
雷嘉さんでさえ、疲れているというのに。
若い故にだろうか、それに子供の体力は無限大っていうしな。


「ふふーん、メスドラゴンはまだまだ甘いな!」


「だから、あたしはファフニーって名前があるの!!」


どうやら、喧嘩してるそうだ。
俺は二人に声を掛けた。


「おう!お前ら相変わらず仲が良いな!」


「「良くない(です)!」」


やっぱり、息ぴったりじゃないか。
俺は二人が喧嘩しているのをほっとくことにした
勝手に解決してくれるだろう。


俺達はこの森から出る事にした。
扉を開くと、いつもの基地の光景が広ろがる。


「では、お疲れさまでした。」


「じゃあなぁ!楽しかったぜ!」


「ふえぇ」


最後のは挨拶なのか?
俺は疑問に思いつつ3人と別れた。


自分の部屋に向って、しばらく3人で基地を見渡しながら歩いていると、後ろから声が聞こえた。


「ヨウイチ!」


聞き覚えがある優しい声だ。
俺は振り向いた、間違いなかった
そこにはアイリスだ。


「アイリス・・・!」


俺は思わず、名前を呼んでしまった。
アイリスは名前を呼ばれると同時に俺に向って走り出す。


「ヨウイチ・・・、久しぶり。」


「あぁ、久しぶりだな、アイリス。」


互いに名前を呼びあうと、アイリスが抱きしめてくる。
久しぶりに人の体温を感じた。
俺はアイリスの頭を撫でることにした。


すると、コホンと咳払いする声が聞こえた。
前を見ると、疾嘉さんが立っていた。


「イチャイチャするのは構わないけど、部屋に戻ってきてからにしてほしいなの。」


疾嘉はそう言って、近づく。


「お疲れ様なの、ちゃんと生きてたんですね。」


「ちゃんと、生きてたって…」


相変わらず、毒を吐く人だったよ。
俺、そんな嫌われることしたっけなぁ。
すると、アイリスがファフニーに気が付いたようだ。


「この子は誰なんですか?」


なんか、アイリスの顔が怖いけど気にしないで置くことにした。
俺はファフニーの紹介を始めた。


「あぁ、こいつはな、新しく仲間になったドラゴンのファフニーだ。」


「ど、ドラゴンですか・・・」


アイリスはなんか呆れたような顔をしたが、しばらくすると何時もの優しい顔に戻った。
俺はファフニーとの出会いやスキルの話す。
すると、アイリスが料理の話を聞くと目を輝かせる。


「また、料理がうまくなったんですか!!」


うん、いつものアイリスで安心した。
さっきの程の話も全部忘れたそうだ。
すると、疾嘉が軌光石で誰かと連絡を取っているそうだ。
険しい顔している、通話が終わると話はじめる。


「緊急事態なの、3人が戻ってきたなの」


緊急事態とは?
疾嘉はそう伝えた後、走り出した。


「おい、皆行くぞ!」


俺達も疾嘉はさんについて行く。
あの、慌てようには何かがあったようだ。


しばらく走ると、誰かが倒れてる。
そこにはセヌーアさんとどう見ても重症なシルクさんとアクレアさんの姿だった。


「第七課を呼んで!今すぐに!!」


疾嘉はいつもの口調のではなかった。
しばらくすると、第七課の人達が集まり、アクレアさんとシルクさんを治療室に運び込まれた。
すると、疾嘉は何があったのか聞く。


「何があったなの」


セヌーアさんは罰を悪そうな顔で話す。


「ウサさんにやられた。」


その場が凍り付いた。
そう、想像もしたくなかった良くないことが現実に起きてしまったのだった。

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