コンビニが異店しました!~いらっしゃいませ!こちら世界樹中央店でございます!~

出無川 でむこ

第16話 脱げば凄いんですよ?取り合えずシャツを買って、着てください、私の理性が・・・

「一万四百一・・・、一万四百二・・・、一万四百三・・・」

どうも・・・、久しぶりに休暇を貰いましたので筋トレしています。
店長の飯河です。

え?やり過ぎすぎ?
こっちにも色々事情がありましてですね・・・
はい・・・、色々ありまして・・・・

飯河は昨日の出来事を忘れるように筋トレに励む

「相手は一緒に働く従業員・・・、従業員・・・」

しかし、つい意識をしてしまい、腕立て伏せの速度が上がる。
一回行うたびに、地面に大量の水滴が落ちていく。
だが、それも気にせずに何度も何度も続ける
ふと、空を見えあげると外は明るく太陽が昇っていた。


その時には腕立て伏せ回数がが17000回を超えていた。
いつの間にか自分今までの腕立て伏せが最高記録を大きく超えていた。
自分の周りを見ると、汗で地面がぬかるんでいた。
ズボンも服もびしょびしょになっていた。
おかげで昨日沢山飲んでいた、アルコールが全部抜けていたような気がする。
その証拠に体が軽い・・・

「そうですね・・・、飲み物買って行きましょうか・・・」

私は筋トレをやめて、店に向かう
何時もと変わらない自動ドアが私を迎えてくる。
カウンターから、いらっしゃいませと瀬川君の入口挨拶が聞こえる

「いらっしゃっせ・・・・、うぉっ、店長じゃないですか、
というか、びしょ濡れじゃないですか、雨降ってないですよね?」

そう言って、瀬川君は私の汗まみれの姿を驚くように見ていた。
雨も降ってないのに何故そこまで濡れてるのかを不思議しかたなかったらしい
私は親切に教えることにした。

「瀬川君おはようございます、これは筋トレで・・・」

「え?何時から筋トレしてたんですか?」

「昨日からですが?」

「昨日から!!?」

朝から、店内から声が響き渡る
瀬川君が若干引き気味なっていますが、気にしないでおきましょう
私は冷蔵リーチインからスポーツドリンクを手に取る。
そのまま、お会計をしてもらって外に出ることにした。

朝日が眩しい

私はそのまま、朝日を眺めながらスポーツドリンクを飲む。

「やっぱり、スポーツドリンクはエクスエリアスが一番ですね」

冷たいスポーツドリンクが身体中に巡るように染み渡る。
沢山汗を掻いたおかげで、本来の味より物凄く甘く感じる
甘い・・・

そこでミディアさんの顔を思い出す。
私はそのまま一気にドリンクを飲み干した。
せっかく冷えた体が熱がこもる

「汗が気持ち悪いですね・・・」

そう言って、私はシャツを抜脱いだ。
脱ぐと、暑い季節なのに汗のおかげで風にあたると気持が良い
私は風を空で全身で受け止める

「わ、わっ・・・!店長!?」

「おや?」

後ろを振り返るとそこにはファレスさんが立っていた。
何やら、頬を赤くして私をじっと見ていた。
何だろうと思い、よく考えてみたら私は上半身裸だったことを思い出す。
慌てて、服を着ようとすると、ファレスさんが止めるように話しかけるくる

「て、店長・・・凄い体ですね・・・」

そう、ファレスさんが言ってきた。
すると、そのままズイズイと迫ってくる。
それを珍しそうに見てくるのだ。
あまりにもジロジロ見てくるのでなんだか恥ずかしくなってきた・・・

「あ、あの・・・」

「店長さんって、やっぱりギャップが凄いですよね・・・」

ファレスさんの鼻息が荒いのは気のせいでしょうか?
気のせいですよね?

「す、少し触ってみても良いですか!」

「え、あぁ、はい?」

思わずの事でつい返事してしまう
ファレスさんがウキウキしながら、近づいて小さな手で腹筋を触ってくる。
手をひんやりしていた、対する私は何だか熱くなってくる
胸が高鳴る、そんな私は無表情を貫くことにする

「わ・・・すごい堅い・・・」

「は、はい・・」

手が腹筋から、腕へ、腕から手へと触る、
ファレスは後ろに回り込む、すると何かを驚くような声を出す。

「て、店長?この背中の傷はなんでしょうか?」

ファレスが見たのは飯河の無数にある背中の傷だった。
所々に斬られた後や、何か焼けた後などあった。

「こ、これは・・・、この傷はなんですか?」

「あぁ、えっとー、昔色々ありましてですかね?」

「ありましてじゃないです・・・!」

そういうと、ファレスさんは何故か悲しそうな目をしていた。
傷跡・・・、まぁ、昔に色々あったぐらいにしか言えない
この事はファレスさんには"関係ない"なのだから
でも、直接言うのも気が引けるのでこの場を避けよう

「心配してくれてありがとうございます、でもこれは大分昔の事なので大丈夫ですよ。

「で、でも・・・」

ファレスさんは引きそうにもなかった。
このままだと、埒が開かないですね・・・

「分かりました、いずれ話しますから」

「本当ですか?」

「はい、それにこの状態でいるのも寒いので・・・」

「あっあ!、す、すみません!」

そう言って、ファレスは再び顔を赤くして少し後ろに後退した。
私は手元にある、シャツを思いっきり絞る

ビチャビチャァ!!

絞ると凄まじい音を鳴らしながら、シャツに溜まっていた汗が物凄い勢い地面に大量に落ちる。
地面を見れば水たまり出来ていた。

「て、店長!?その大量の汗は何ですか!?」

「昨日の筋トレで汗を掻いたので・・・」

「え、筋トレってその汗の量って・・・、どのぐらいやってたんですか」

「えーっと・・・ざっと、10時間程ですね」

「10時間!?」

ファレスさんも瀬川君と同じ反応しました
何やら、ファレスさんは人外を見るような目をしていますが気にしないでおきましょう
店長の腕には"乾いた"シャツがあった。

「か、乾いてる・・・」

「私はいつもこんな感じですよ?その方が早いからですね。」

店長がシャツを広げるとしわくちゃになって物凄い伸びてた。
そのシャツを着る
力強くしぼったせいでシャツがものすごいよれよれになっているのが分かる

「て、店長新しい服を買ったほうがいいのでは?」

ファレスは新しい提案する、しかし、彼はそう言うのには無頓着な為あまり気にしはしなかった。
それに意外にも汗臭いわけでもなく、無臭な彼は服を着ていれば気にしないタイプであった。

「と、とりあえず!清潔感は大事だと思います!!お客様の為に買いましょうよ!!」

「ふーむ・・・、ファレスさんが言うのなら、買いましょうか・・・」

そう言って、再びコンビニに足を運ぶ飯河だった。
それを見送るように、ファレスは店長の背中を眺めていた。
彼の背中の傷を気にしながら。

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