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出無川 でむこ

第13話 一本の線香、白い煙は天への道しるべ

あの後、ガンジンの仲間を探しに店長とファレス、瀬川のチームで探しに行く事になった


襲われた場所からはそこまで距離は無かった。




しかし、ガンジンの仲間は無残な姿で見つかった。


瀬川君は死体に見慣れていない為、その場で口から吐瀉物としゃぶつを吐き出す。




食い散らかされた後や手足が引きちぎられた後がそこらじゅうに散らばって、周りの景色が赤に染まっていた。


ファレスの表情は怒りではなく、どこか悔いたような表情だった。




それは人を救えなかった後悔なのか、それとも・・・






調査結果、10人中8人が死亡


一人は女性で茂みの中でやり過ごしていた、精神は恐怖で不安定になっていた。


もう一人は、男性で死体の中で紛れ込んでいた、どこか上の空だった。




女性の名前はアーガ、男性はミルケと名乗った。


死体は幸いにも馬車は壊れていなかった為、馬車の中に入れてコンビニまで運ぶ




「じゃあ、私が馬車を引きましょう」




「え?店長マジで言ってます?」




どうやら、瀬川君に信用されてないようです・・・


ここは、店長の威厳を保つ為に頑張ることにしましょう。




そういって、沢山の死体と馬車の重さを合わせて1000kgもある馬車を引こうとする。


その瞬間、店長の身体が膨れ上がったように見えた。




馬車はギギギと音を鳴らしながら動き始める。




「「うっそーん・・・・」」




二人は唖然するしかなかった、実質店長は一人で一tトラックを自分の手で引いて事と同じだという事に




「何とか動かせそうですね。」




店長は何時もと変わらない顔で馬車を引いた。


二人は少しでも店長の負担を軽減する為に、後ろから馬車を押すのだが




触るだけで分かる、重い・・・重すぎる・・・。


よく、攻撃力=筋力と思われがちだが、実際は別物である。


攻撃力はあくまでも物理攻撃に与えるダメージで、筋力とはまた別物である。


筋力を上げれば、確かに攻撃力は上がるがそれは微々たるものだった。


その証拠にファレスは筋肉はあまりなく、馬車を押しているだけなのに腕がプルプルと震えていた。


勿論、瀬川の腕もプルプルと震えていた。




その点に関しては、店長との差が天と地の差があるのは明らかだった。


店長は日頃から、身体を鍛えていたのだ。




仕事に行く前に、まずラジオ体操し、筋トレを毎日やっていたのだ


勿論、仕事の為に鍛えているのだ、毎日1時間掛けて筋トレをする、家に帰ると更に1時間筋トレをする。


そして、休みの日にはその二倍の4時間掛けて筋トレをする。




それが日課となった、店長は馬車ぐらいは何ともなかったのだった!


見た目は普通の一般男性にみえるのだが、脱ぐとめちゃくちゃ凄いのだ!!!




二人にその話をすると・・・




「飯河店長、人間やめるんですか?」


「ひ、ひぇー・・・」




失敬な事だ、私はただの一般人でしかないのだ。


その証拠に普通にナイフで刺されたら死ぬし、斬られれば普通に血が流れるのだ。


どんなに鍛えてもだ




道中はファレスと魔人の戦闘の跡があり、ここも血生臭かった。


辺りに魔人の死体が沢山あった。


主に頭部がない死体が多かった。




ファレスが言うには




「魔人は心臓は頑丈で、突いてもすぐには死なないのです。


下手したら、心臓を指しても生きてる魔人もいますので、殺すのなら身体全体に命令している、脳みそがある頭が手っ取り早いのです」




この世界では魔人と人間の人体構造はそこまで差が無いという事が分かる。


違うところがあるとすれば、人間よりも特異体質になりやすい


理由は未だに解明はされていないが、羽が生えてたり身体が丈夫なのが証拠だった。




人間と魔人が対して構造が変わらないのなら、店長の攻撃が通用したのも納得する


これがゴム人間だったり、関節が自由自在に操れる相手なら攻撃が通用しなかった




道中も坂があったが、店長は気にせず馬車を引き続けた。


先に疲れていたのは、二人だった。




「て、店長の体力おかしすぎませんか!?」




「て、店長だからしゃーないっス・・・」




二人はツッコミを入れるが私は気にせず、馬車を引き続けた


これでも疲れている方なんですが・・・、無表情すぎるから良く勘違いされるんですよね・・・




そして、坂を超えるとお店が見えてくる。


二人は息切れをしながら言う。




「「つ、ついたぁ・・・」」




二人は安どするかのように地面に背中合わせになるように座り込む。




「ほら、二人ともせめてコンビニの中の事務室で休憩してくださいね。


お客様が通る時に邪魔になっちゃいますから・・・」




「「こんな血だらけの森に今は来ないと思うんですが」」




二人に突っ込まれました・・・


しかし、二人は立ち上がりコンビニの方へと歩いて行きました。






――――コンビニ店内






「ただいま、戻りました」




「あ、おかえり・・・うええええええ!?」




店番をしていた、一ノ瀬さんがこちらを見て驚いてました。


何だろうと思い、私達は互いに見てみると、制服が血に染まっていました。




そういや、さっきまで死体を漁るな、運ぶなりして結構汚れたんでした・・・。


このままじゃ、お客様の前に出る事できませんね・・・




飯河はそう考えるていると、コンビニに入った途端に汚れは一瞬でなくなる。


そこにいた、ファレスと瀬川も汚れは一瞬で新品になるように綺麗になったのだった。




後ろのミルケとアーガも汚れている、中に入れば綺麗になると思えたが


綺麗にはならなかった。




どうやら、このシステムはコンビニ店員のみに発動するらしい


すると後ろからガンジンが現れる、血まみれの二人を見るなり驚き、そのまま駆け寄る。




「ミルケ!アーガ!!!生きてたのか!!」




ガンジンの声を聞くと、上の空だった青年と恐怖の形相に満ちていた少女が顔を上げてガンジンを目を丸くして、ガンジンの名前を呼ぶ




「「おやっさん!!!」」




「あぁー・・・、無事でよかった・・!本当に良かった!!」




ガンジンはその場で男泣きをする、


そのまま二人をでかい腕で包み込むように抱きしめた


しばらくして、二人から離れる


ガンジンは再び、周りを見渡す




「他の皆はどうした?」




「・・・・」


「皆はもう・・・」




ガンジンは二人の顔を見て、察した。




「そうか・・・、アイツらはもう・・・」




ガンジンの背中が小さく見えた、仲間は失ってしまった思いがひしひしと伝わってくる




「ガンジンさん、仲間の死体なら外にあります。」




「そ、それは本当か!?本当なのか!?」




ガンジンはその話を聞いて、驚くように言う。


何故、そこまで驚いていたというと、本来は魔人はそのまま食いつくしてしまうらしい、特に人の味を覚えた魔人は骨も残さずに


その為、遺品が見つからない、埋葬すらできず、魔人の胃の中で一生過ごすとなる。


埋葬できるだけでも、ガンジンにとって救いであった。




「で、でもよぉ、結構の人数だったんだぜ?どうやって・・・」




「馬車を引いてき来ました」




「え?馬は?」




「何を言ってるのですか?そのまま引いてきたんですよ?」




「「えぇえええええええええ!?」」




その場で近くにいた一ノ瀬と目の前にいるガンジンは店長の"異常"行動にやはり驚いていた。




「やっぱり、驚きますよね・・・」


「ウッス」




何だか私が人外扱いされてるのが納得いきませんね・・・


私も同じ一般人なのに・・・




一ノ瀬さんには再び店内でお留守番してもらい、ガンジンと数人で亡くなった人達の為に埋葬してあげることにした。


ファレスの提案でユグドラシルの近くに埋葬してあげようという話しになり、ユグドラシルの所まで歩いたのだた。




距離はそこまでなく、今まで余裕がなかったのか、こんなにも近くに世界樹のユグドラシルのあることに気づかなかった。


しばらく、歩くと開けた場所に着いた。




そこには世界樹ユグドラシルがそびえ立っていた。


改めてみると、迫力があった。


店長は昔やっていたゲームを思い出すかのように、少しワクワクしていた。




数時間後




亡くなった8人の埋葬が終わった。


ガンジンは手伝ってくれた、店長と数人にお礼を言う




「ありがとよ、イイカワの旦那」




「いえいえ、私達は出来る限りの事をしただけですよ


あ、そうでした・・・そういや、これを持ってきたんでした」




「ん?旦那、何をするつもりなんですかい?」




飯河は墓の前まで歩きだし、ポケットから何か取り出してくる。


手には細い棒状の物を持ち、そのまま墓に刺した。




飯河が取り出したのはコンビニ商品の一つ、"線香"だった。


更に店長はライターを取り出す


ッジッジと音だして、ライターから火が付く、付いた火は橋渡しをするかのように線香にも火を付けた。


線香はジリジリと上から灰色なっていく、その灰は独特的な、何処か懐かしい匂いを発しながら、うねるような白い煙になっていく




ガンジンは不思議な煙に釣られ、手を合わせながら祈る飯河の隣に立った。




「旦那、これはなんだい?」




「これは線香と言う物です、この棒状の線香は亡くなった人の為、そして自分の身と心を清める意味があるんです。


それとガンジンは死んだ後の人の食べ物って想像した事はありますか?」




「いや、ねぇな・・・、と言うか死んだらたべられないんじゃねぇのか?」




「私の元世界の国では、『死後の人間が食べるは匂いだけで、善行を行った死者は良い香りを食べる』と言われているんですよ」




「へぇ、それじゃ仲間は死んでも腹いっぱいくえるんだな」




「そして、仏様と言う神様がいまして、その仏様はあの世までの道を迷わないように案内してくれるんです、その道しるべにしてくれるのがこの線香の煙なんです。」




「そりゃぁ、親切な神様だの事だ。」




ガンジンの表情が徐々に柔らかくなっていく、その瞳は何処か懐かしむかのような目をしていた。




「そして、線香の煙を通じて仏様とお話がする意味があるんです、煙は私達をいる世界と向こうにいる仲間を橋渡しの役目をしてくれます。


ガンジンさんも手を合わせて、仲間との過ごした思いをこの煙を通じて乗せてみてはいかがでしょうか?


とても簡単なことですよ、私と同じように手を合わせ、目を閉じ、伝えたいことを、その思いを乗せるんです。」




飯河が説明し終わると、ガンジンも手を合わせ祈った。


周りの人達も目を瞑り祈る




沈黙が続く




線香の懐かしい匂いは、飯河たちをの思いを包み込む、そんな気がした。




「なぁ、イイカワの旦那・・・」




ガンジンの声が震える




「なんでしょう?」




私は祈り終わり、隣のガンジンさんを見て返事を返した。




「ありがとう、本当にありがとう・・・」




ガンジンの顔は涙いっぱいでくしゃくしゃになっていた。


大粒の涙と鼻水が混じって、地面にポタポタと落ちて行く




「旦那のおかげで、皆に思いを伝えられた、良い思い出や過ごした日々を、そして何よりもちゃんと謝る事もできた」




ガンジンは目を開け、線香を見つめた。


線香の殆ど灰色になってしまった、だが煙は消えていない




煙は真っすぐと天に向かった、まるで思いを乗せるように






しばらくして、他のお墓にもガンジンが線香を立ててあげた。




数時間後、私達はお店に戻る


ガンジンは言った




「旦那、ありがとな!」




先ほどまで、暗かったガンジンの表情は何処か明るくなっていた、吹っ切れる事ができたのだろう。


ガンジンは話し続けた。




「旦那にはお礼をしなきゃいけないな!!」




「いえいえ、そんな・・・お礼なんて・・・」




「それは駄目だ!!ここまでしてくれたんだ!これじゃ俺のプライドが許さねぇ!!」




そう言って、何としてでもお礼をしたく、周りを見渡していた。




「そうだ、お前さん達、見たところ家が無いみたいじゃないか!!」




「えぇ、まぁ・・・、この店で過ごしていますね・・・」




「じゃあ、俺がつくってやるよ!!」




ガンジンはさらっととんでもない事を言い出す。


何人かはその話を聞いて食いつく、特に反応があったのは一ノ瀬だった。


まぁ、年頃の女の子だから仕方ないと思う・・・だけど・・・。




「でも、お金はないですよ?」




「何言ってんだ!!そんなのはいらねぇ!!命を救ってもらって、仲間を埋葬できたんだ!このくらいは安いもんだ!!」




「い、良いのですか?」




「おうよ!このガンジン=フラズヴェルの名において、嘘はつかねぇ!!」




すると、ファレスは何か思い出すかのように大声で話す




「え、まさか!?あのガンジンさんですか!!!?」




「おや、ファレスさん知ってるのですか?」




「知ってるも何も!この方は世界に名を轟かせている大工職人ですよ!?この世界にある、半分以上のお城はこの人の手によって作られてきたと言われてるんですよ!!?」




衝撃の真実だった、まさかの伝説の職人と言われている人に出会えるとは・・・




「だから、失望させねぇからよ!!頼むお礼をさせてくれ!!」


「私達からもお願いします!!」


「俺からもだ!!」




そう言って、ガンジン、アーガ、ミルケが同時に頭を下げる




「わ、わかりました!なのでお客様、頭を上げてください!?」




遠くで見ていた、杏と瀬川、一ノ瀬は




「アハハ、店長が珍しく困惑してるねぇ」


「あんな慌ててる店長見たの初めて見ました・・・」


「普段の日常で相手から頭を下げらる事ないからッス」




かくして、ガンジンは私達に最後までお礼をいって、手を振って別れたのだった。


そして、その三日後にガンジン達が私達のコンビニの隣に作業することになったのだった。

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