コンビニが異店しました!~いらっしゃいませ!こちら世界樹中央店でございます!~

出無川 でむこ

第12話 もう少しで納品が来ますから、お迎えに来ました。

「野郎どもぉおおおお!掛かれぇえええ!!」




「「「うおおおおおおおお!!!」」」




魔物は二人に怒りの咆哮を叫ぶ。




どうも、店長の飯河です


どうやら、正当防衛した筈なんですが、相手がめちゃくちゃ怒っています。


取り合えず、私はファレスさんを背負って逃げます。




飯河は"鍛えられた"自慢の足腰でファレスをおんぶして走り出す。


店長の背中にはファレスの血でべったりと付いた。


血は暖かい、しかし、ファレス自身は凄く冷たかった。




飯河は分かっていた、従業員仲間のファレスが危険な状態だという事。


元の世界なら、携帯電話一本で救急車が呼べるのに、そんな電波も何もない異世界には不便でしかなかった。


するとファレスは後ろで妙な事を聞いてくる。




「わ、私、重くないですか?」




この状況で聞きます?


正直に言うと、そこまで重くは無かった、何故なら・・・




「重くはないですね、夜勤の納品で台車10台を一人で片付けているよりかは全然楽ですね。


特にお酒が入ったオリコンとかすごく重いんですよね・・・」




「あ、はい・・・」




ファレスは何言ってるんだろうという顔をしていた。


オリコンとは折り畳み式コンテナと言う略である。


これは配達時にそのオリコン中に色んな納品が入っているのだ、ガムやお菓子、勿論の化粧品やエナジードリンクなど、そういう小物を纏めて入れてあるのだ。


しかも、納品を取り出した後にコンパクトに折り畳めるのが強みの商品である。




ちなみに、オリコンはお店用と配達業者用と別れている物もあるので、間違えないように気を付けないと駄目ですよ。




とファレスさんに説明をしますが、悲しいことに伝わってくれませんでした・・・。


私は説明が下手なのかもしれませんね、次からは分かりやすく説明できるように練習しておかなければなりませんね。




すると、後ろから爆発音が聞こえる。


どうやら、魔物が魔法で攻撃していく




「まちやがれ!この野郎!!!」




そう言って、手からメラメラと炎が浮かび上がる。


手の炎はやがて圧縮されるように丸い玉のようになる。


そのまま、飯河に向けて投げつけるように放つ。




「て、店長!あ、危ない!!」




ファレスは動けるほうの片腕で魔力を込め、聖剣の平部分でバットのように跳ね返す。


あのまま、斬ってしまえば爆発してしまうことは勇者の経験上分かっていたのだった。




跳ね返った弾はそのまま魔人の方へと流れる


魔人は慌てて、大きく避ける




「こ、このやろう!あぶねぇじゃねぇか!!!」




この人は何を言っているんだ・・・


先に攻撃してきたのは相手だというのに




「はぁ・・・」




思わず、ため息をしてしまう。


ちなみに10分程全力で走っていますが、まだまだ走れます。




実は店長の飯河は仕事以外でもプライベートで体を鍛えていた。


店長は仕事で疲れてはならないと思い、コンビニから家まで毎日全力で疾走で走っていた!




その距離は10km!


往復で20km!




更にそれだけでは満足はしなかった!!


休みの日にはその2倍の40km!!




それを日課にしていた、おかげで!"普通"の人よりかは体力が異常なまでにあったのだった。


そう、全てはコンビニ営業の為であった。




24時間営業を続けている限り、従業員が急な病気や個人的な問題を背負う為に店長は体を鍛え続けたのだ!


その結果、店長の最長勤務時間は10日間寝ずに働き続けたのだった。




従業員の一人は言った。




「ごめんさい、店長・・・、次からは休まないので寝てください!お願いしますから!!本当に!」




従業員が懇願し謝る程だという事だった


しかし、それが当たり前になってしまった、店長は何故謝れらたんだろうしか思わなかったのこと・・・。




その事をしらない、ファレスはさっきから全力疾走の店長に対して心配をしていた。




「て、店長・・・さっきから全力疾走ですけど、疲れませんか?」




「いえ?このぐらいは平気ですよ?」




そう、店長は至って普通で、涼しい顔をしていた。


それどころか、後ろの爆発音が聞こえているのに"ランニング"を楽しんでいたのだ。




ある意味、自分以上に"狂気"的な人だとファレスは思い始める。




ファレスは少し考えこむと、魔人が回り込んでくる。


そのまま、飯河に殴りかかってくる。




「店長!!目の前に!!!」




ファレスは叫んだ、このままだと店長に攻撃が食らってしまう。


すると、店長は小さく呼吸をする。


そのまま、腕を突き出し、手の平を拳を受け止めるような体勢になる。


魔人はその腕に目掛けて鋭いパンチを放つ


店長は攻撃を受け止めると同時に一瞬だけ動きを止め手のほんの少しだけ、腕を引きながら軌道を逸らすように押し返す。


その瞬間、魔物は横にズサァと音を鳴らしながら地面に倒れる




ファレスはその一瞬の出来事で驚く、何が起きたのか分からなかったのだった。


ファレスから見たら、店長がパンチを受け止めたら敵が勝手に倒れたようにしか見えなかったのだ。




「今のなんですか!?」




「今のとは?」




店長はポカンとした顔で、私何かしましたっけ?との感じだった。




「今!受け止めただけで、魔人が倒れましたよね!?」




「あぁ、えぇーっと、元の世界の武術を真似しただけです」




「ぶ、武術!?今の武術なんですか!?」




店長は単純に魔人の力と体重の勢いを利用してをそのまま返しただけだという・・・。


店長がいた世界はそんな物騒な武術があると思うと身震いをする。


何よりもファレス自身も一回受けた事あるのだから




「でも、人間限定だけしか効果がないので、狼とかは対応できませんけど」




「つまり、人型なら何でもいいと・・・」




「いえ、そういうわけではないですよ・・・?」




どうやら、大き過ぎる相手もで効果が無いと説明された。




「くそぉ!!人間相手に何手こずってやがる!!!」




後ろから魔法が飛びかう中で器用に避ける、当たりそうになればファレスが剣で跳ね返す。


前から魔人達が突っ込んくれば、店長は不思議な武術で対応する。


あれ、この人・・・1LVですよね?


そう、店長は全て自分の持てる知識と技量でカバーをしていた。




肩をぶつかれば吹き飛び


手首を掴まれたら、捻るだけで魔人も捻るように体が転がった。




しかし、店長も人間に変わりなかった。


少しずつ傷が目立ってくる。




腕からは血が滲む、太ももからは鋭い爪で引き裂かれる、無数の傷が目立ってくる。


口からは血を吐き出す、鼻の穴から血が流れるように出てくる。




そう、店長は勇者でも何でもなく、ただの一般人には変わりなかった。


そんな店長を見て再び心配する、ファレスだった。




「店長!このまま、店長の身が持ちませんよ!ここは私が!」




ファレスは離れようとすると、おんぶしている足をよりしっかりガッチリと腕の力を込める。




「て、店長!?」




店長は振り向かずに、道を真っすぐ見つめる。


すると、後ろから店長の顔を覗き込むと・・・




不敵な笑みを浮かべていた。




その顔を見て、少し怖かったがその顔がかっこよく見えてしまった。


目の光は失っていない、まだこの状況を諦めていなかった




私はその背中をぎゅっと抱きしめた


店長の身体を触ってみると、すごく堅かった、


逞しくて、すごい鍛えられているのが分かる、




(男の人って、皆こんな感じなのかな・・・?)




なんだか、こんな状況なのにドキドキしてきた・・・!


そう思うと、なんだか・・なんだか・・・




(何だか、私、変態みたいじゃない・・・!!)




そんな、私は落ち着こうとして、深呼吸をすると店長が話しかけてくる




「ファレスさん」




「ひゃ、ひゃい!?」




思わず、変な声が出てしまった。


しかし、店長はそんなことを気にせずに話し続ける。




「大丈夫です、絶対に守りますから」




私はその言葉に驚いたのだった。




守る




それは勇者の私には程遠くて、無縁な言葉だと思っていた。


私はいつだって、守る側だったから




だけど彼は違った・・・




その言葉を聞いたとたんに、胸の中にある黒い物が徐々に消えていくのが分かる。




(あぁ、そっか・・・、そうだったんだ。)




私は誰かにそう言ってほしかったんだ・・・。


仲間だからではなく、従業員だからではなく、




このファレス自身に言ってほしかったんだと




民は皆、勇者が守ってくれるのが当たり前だと思っている、私は暗示するようにそれが普通だと思ってた。


胸が熱くなる、その熱さに耐えようとすればするほど、更に燃え上がった。




私はいつの間にか、目から涙をながしていた。


泣いている自分を見られたくなくって、店長の背中にうずくまる。




すると、店長は大きく叫んだ




「ミディアさん!!!!出番ですよ!!!」




その言葉を聞いた、私と魔人は思わず反応してしまう。


そして、彼女が現れたのだ。




真紅の髪の毛、輝く黄色の眼




「その言葉を待っていたぞ、というか、イイカワ店長大丈夫ですか?」




「平気で・・・ゴフッ」




「ほら、言わんこっちゃない・・・」




そう言って、店長は吐血するが、いつも通りに立っていた。


この人の精神と肉体が強靭過ぎないですか?




すると、ミディアはナゲットを何処からともなく取り出してくる。




これはミディアのスキルの古代魔法『次元収納』


異次元からどこからともなく物を出し入れできる便利スキルらしい。


次元に入れている間は時が止まった状態なので、ナゲットを暖かい状態で保存できるのだ。




そのスキルで店のフライヤーケースの中にある揚げ物を販売期限を無限に伸ばしてほしい・・・そうすれば廃棄がなくなるんだけど・・、本人曰くできないと言われ、私は肩をがっくりさせる




「おぉ?まさか!元魔王様が俺達に相手してくれるのか!?」


「おいおい、アイツ死んだぜ」


「いや、孕み袋にしたほうが良いに決まってんだろ!!」




そんな、ゲスの会話を聞く私達


ファレスに限っては相手を睨んでいた。




「さいってー・・・」




再び腕が上がらない状態でも尚、戦おうと聖剣握る。


すると、ミディアはファレスに肩にポンっとおいて言う。




「大丈夫だ、後は任せて」




そう言って、ミディアはちょっと茶目っ気のあるウィンクをして、魔人達を睨んだ。


魔人達の汚い笑い声が更に大きくなっていくのが分かる。




「オイオイおい!本当に俺達の"遊び相手"になってくれるそうだぜ!?」




「マジかよ!そりゃあ夜までワンワンと鳴いても貰わなきゃいけないな!!」




「「「「ギャハハハハハハ」」」」




すると、ミディアは憐れむような顔をして言う。




「まったく・・・、まさかここまで落ちぶれるとはな・・・・」




「んだと?」




ミディアの安い挑発に乗る魔人


ミディアの言葉は止まらない




「だから、大分落ちぶれたなっていってんのよ、そんな粗末なポークピッツしかない大きさのモノで私を鳴かせるって?あらまぁ、お可愛い事で・・・一度、豚と交尾してみたらいかがかしら?その方がお似合いですよ?」




魔人達は徐々に殺意が、ミディアに向ける


しかし、ミディアに涼しい顔をした




「この女!!調子にのりやがって!!」




魔人は一斉に、ミディアに魔法を向けて放つ!


凄まじい轟音と火の匂いが鼻にツーンと入る


黒い煙があがる


そこには・・・




「もう、終わり?」




無傷の姿のミディアがいた




「ば、馬鹿な!!!たしか、ミディアはスカラーの旦那に魔力を全部うばわれたんじゃ!!?」




「えぇ、そうよ?全てを失ったわよ?」




魔人達は困惑するしかなかった、だって全てを失った元魔王が、なぜ無傷なのかを


そして、しびれを切らしたのか手に持っているナゲットを口の中に入れた。


モキュモキュと音を立てる




「さて、次は私の番ね・・・」




その瞬間、ドンッと音が鳴り、紅い魔力をすさまじい勢いで放出させた。


魔人は恐怖で気絶するものがいた。




「ひ、ひぃ・・・!」




「さっきまでの威勢どうしたの?」




魔人は恐怖した、魔王が復活した、何故何故なんだと


相手は絶望と言う選択肢しかなかった。


そして、ミディアは言う。




「魔法っていうのはこうやって使うのよ、"爆炎の王プロミネンス"」






「た、たすけ・・・」






魔人が命乞いをする前にミディアは指を鳴らした。


その瞬間、魔人達が一斉攻撃した時よりも、さらに大きな爆発音が起こる


爆発はドーム状に広がり、魔人達を燃やし尽くした。


何かを叫ばれる前にッジと音がして灰になる。




そして、魔人の姿が無く、目の前にあったのは


ぽっかり穴が開いた、クレーターだった。




「さ、店長!!お待たせ!!お店に戻りましょ!!」




「は、はい・・・」




ミディアはスッキリした顔で重症のファレスと飯河を担ぐように


コンビニまで連れて行ってくれた。




その後、何故か皆に怒られました・・・、私は頑張ったんですが・・・・


私とファレスの傷はコンビニに入った瞬間に一瞬で回復をした。




そして、その後ファレスさんは前よりも私にくっつくようになりました。




「店長―!」




「何でしょうか?」




「何でもないです」




「えぇー・・・?」




そう言って、なぜか私の背中をつつくようになりました・・・


何故か、その時だけ私は身の危険を感じたのですか、気のせいですよね?




そして、今日もお仕事が始まるのであった。、

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