コンビニが異店しました!~いらっしゃいませ!こちら世界樹中央店でございます!~

出無川 でむこ

第9話 母性は納品されますか?

清々しい朝ですね。




どうも飯河です。


魔王ミディアさんがコンビニ店員になりました。




どうやら、改めて魔王ミディアさんと勇者ファレスさんが何か異変を感じたようです。




「あれ?職業が変わってる・・・」




「あ、私も変わってるわね」




【ファレス=ロウ=ソレイ】


職業:コンビニエンストア勇者




【ミディア=オクレア】


職業:コンビニエンストア魔王




どうやら、職業が変わったそうです。




「初めて見る、職業ですねー」




「こ、こんびにえんすとあ?一体どんな力が・・・」




二人はスキルを調べていると。


誰かが起きてきたようですね。




出てきたのは、一ノ瀬だった。




「店長!おはようございます!」




「一ノ瀬さん、おはようございます」




一ノ瀬さんは朝だと元気ですね。


きっと体力があまりに余っているのでしょう、今度は朝勤務を頼むことにしましょう。




挨拶した後に、ミディアの存在に気づいた。


不思議そうな顔をして、一ノ瀬は飯河に質問をした。




「店長、あの子は誰でしょうか?」




「あぁ、あの方は新人店員の魔王のミディア=オクレアさんです。」




「ま、魔王おおおおおお!?」




そう言って、その場で倒れて気絶してしまった。


飯河はまだ眠かったのかな?と思い一ノ瀬を背負って、裏に運んだのだった。




運ぶ途中で、瀬川君と杏さんが出てきた。




「あ、杏さん、瀬川君おはようございます。」




「ウッス」




「あ、てんちょーおはよー。一ノ瀬ちゃんどうしたの?」




私は事情を話した。瀬川くんと杏さんは別に驚くことはなく


なんだ、そういう事だったんだ。という感じで二人は私服でカウンターに向ったのだった。


一ノ瀬さんを横にさせて、そのまま私もカウンターに戻るのだった。




カウンターに戻ると杏さんが泣きながらミディアさんに抱き着いていました。


何があったんでしょう?




「つらかったんだねぇー、うんうん」




「私を子供扱いするではない!!」




顔を赤くしてミディアさんは杏さんを突き放そうするが、まんざらでもないようです。


すると、徐々に声がふにゃふにゃになっていくのが分かる。


恐るべし、母性。


勿論、勇者は魔王の姿を見て唖然していた。




「魔王が・・・、堕ちた・・・」




「お、堕ちてない!!!」




必死に弁解するも、はたから見たらそのようにしか見えなかった。


すると、杏は両手を広げて迎え入れるように言う。




「ファレスちゃんもおいでー」




「・・・ッ!!」




魔王を見ると幸せそうに杏にうずくまっていた。


へへへと声を漏らしながら、うずくまっていた。


そんな幸せそうな顔を見て、若干羨ましそうに見ているファレスだが我慢している。


そんなファレスを見た杏は。




「しょうがないなぁ」




そう言って、ファレスに近づいて包み込むようにハグした。


すると、ファレスは涙目になって杏にハグを返した。




「お母さん・・・」




そう小さくつぶやいたのだった。




「良い絵ですね」




そう言って、瀬川君は携帯を取り出してカシャカシャと連射している音が漏れ出ていた。




「こら、やめなさい」




「ウッス」




だけど、返事と行動が一致していない。


私はため息をした。


瀬川君が写真を納めたい気持ちはわかります。


たしかに良い絵だ・・・うん。




私はコンビニ、作業をしようと振り返ると、そこには台車の上に納品があったのだった。




「あれ?納品が」




私の言葉に気づいたのか、瀬川君と杏さんが反応した。




「本当だ!なんでだろう!」




「ウッス、店長は心辺りはないでしょうか?」




(心当たりですか・・・、あるとすれば昨日の夜勤の時に納品を頼む為の電子タブレットをいじっただけぐらいですね。


しかし、異世界に来たのなら届かないと思うんですか・・・。)




そう思っていると、飯河は納品を確認した。


首にぶら下げた電子タブレットを比較しながら。




「あ、これ私のせいですね。」




「「店長の仕業なのかーい!!」」




二人は店長に思わずツッコミを入れてしまった。


飯河は何故ツッコミを入れられたのか疑問に思ったが気にしないで置いた。




「なんで、納品が来たんですか?」




「実はですね・・・」




昨日の夜勤の作業の一環でこのタブレットを癖で納品を頼んだら。


まさか、届いてしまったという事を説明をする。




「なら、食料には問題はなさそうだね」




これで餓死する事はなくなった。


ふとタブレットを見てみると。




画面端に何か掛かれていた。




"残り4700万ゼニー 売り上げの8%は世界樹のユグドラシルまでにお願いします。"




そう書かれた。


疑問に思い、私はタブレットを見ると




"ポテチチップス 塩味 1個 80ゼニー 販売時150ゼニー"




私は理解した、このまま売り上げないと納品できないという事に。


私は皆さんを呼ぶことにした。




「皆さん、食料は問題にはならなさそうですが、あくまでもその場凌ぎにしかならないかもしれません。」




「え?どういうことですか?」




私はタブレットに書いてあることを説明する。


瀬川君と杏さんは理解しているようだけど、魔王さんと勇者さんは理解していないそうです。




「つまり、この納品を続ける為にはここで売り上げを伸ばさなければなりません。」




そう言って、私達のコンビニ営業を再開することになったのだった。

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