コンビニが異店しました!~いらっしゃいませ!こちら世界樹中央店でございます!~

出無川 でむこ

第2話 アルバイトは募集したら、勇者がやってきました。

どうも、店長の飯河です。


手短に説明しますと、死にかけてます。




瀬川君と杏さんがコンビニまで担いで連れて行ってもらいました。


コンビニに着くと、一ノ瀬さんが慌てて駆け寄ってくる。




「ててててててて、てんちょー!?なんですか!その傷は!?」


「いえ、大した傷じゃないです。」


「「「何処が!?」」」」




その場の全員が口を揃えて反応した。


皆さん、大袈裟ですね。


花火大会の時に片付けを全部丸投げされた時に比べたらまだ平気です。




コンビニに入店して、しばらくの事だった、店長の体が暖かい光に包まれた。




「て、、てんちょーが光ってる!?」


「か、覚醒でもするのか?」




お客様と店員が動揺する。


さらに時間が経つと、背中の傷と折れた腕はみるみると治っていく。


それだけではなく、血が染み込んだ部分、敗れた部分の制服が綺麗になって新品になった。




「て、店長!傷が!?」


「流石に私もこの状態で働くのは覚悟してましたが、治ってよかったです。」


「働くつもりだったの!?てか休んで!?」




そう言って、突っ込む杏だったが。


グキュルルルルという音が聞こえた。


その音の方向を見ると、金髪の少女がうつ伏せになって倒れてた。




「お、お腹が空いた・・・ガクッ」




ただ、それだけ言って再び倒れた。




「あ、あの子は誰なんですか?」




一ノ瀬が指を指して質問する。




「一ノ瀬さん、お客様に指を差しちゃいけませんよ」


「この状況で、お客様!?」




む、何か間違ったことでも言いましたかね?


一ノ瀬はひたすら突っ込むのであった。




「この方は、私を助けてくれたんですよ」


「え、そうだったんですね」


「はい、一週間程、飲まず食わずだったらしくて、そのまま倒れました。」


「えぇ!?なんか食べさせないと!?て、てんちょー!」




そう言って、一ノ瀬は私の顔を見るのだった。




「命は救ってもらえましたし、何かあげましょう。


瀬川君はウォークインにお水を取ってきてください、


杏さんは何か適当に揚げ物をお願いします。


一ノ瀬さんはカップの味噌汁とお願いします。


私は適当におにぎりを取ってきます。」




そう言って、店員は素早く動いた。




瀬川君は慌てずに歩いて取りに行く。


良いですね、走るとお客様に当たってしまうので良い配慮です。




杏さんもいつも通りに揚げてますね。


ちゃんと揚げた物はキッチンペーパーでふき取ってますね。


拭き取らないと、袋に入れても油が漏れ出て大惨事になりますからね、満点です。




一ノ瀬さんはもうちょっと心に余裕を持ったほうが良いかもですね。


走るまでは至らないですが、少し急ぎ過ぎですね、これではお客様を不安にさせてしまうでしょう。




飯河はバイト店員の一人一人の行動を見て、観察し、次に活かす。


良いところは褒め、悪い所は注意をする。


注意したら次に何をしたらいいかを一緒に考える。


これを続けてやっていくことによって、一人一人の店員の質を高めていく。




そして飯河は、その功績が認められて、自分の店舗を持つ店長になったのだ。




――――5分後




店長はコーヒーのトレイに食事を持ってきて


少女の目の前に置いた、すると・・・


少女はピクピク動き顔を上げた。




「さぁ、食べてください。貴方の為のお食事です。」




少女は思わず、涙を浮かべた。


久しぶりの食事で感激しているのだった。




「う、うぅ・・・神様ありがとう・・・」


「いえ、私はここの店長です」


「そこ、真面目に言うところ!?」




一ノ瀬はまた突っ込んだ。


だって、私は店長ですし・・・。




「あれ?食べられない?」




少女は包装された、三角おにぎりをそのまま食べようとした。




「これはですね、ここの三角の天辺をつまんで引っ張るんですよ。」




飯河はそう言って、包装された三角おにぎりのつまみの部分を引っ張り、そのまま一周する。


すると、三角の白飯が剥き出しになってでてきた。


向き出した白飯と包装に挟まった海苔を同時に取り出して、白飯を海苔で包んであげて渡した。




少女は目を輝かせて言う。




「た、食べていいの!?」


「えぇ、いいですよ。」




目を輝かせた少女を安心させるように。


営業スマイルをした。


少女はおにぎりを頬張った。


しばらくすると、震える。




「お口に会いませんでしたか?」


「・・い」


「すみません、聞き取れませんでした・・・?」


「うまああい!!」




少女は叫んだ。


思ってた以上に大きい声を出した為、注意をした。




「すみません、大声は他のお客様に迷惑になるので、控えていただけると・・・」


「そこ、今言っちゃう!?」




一ノ瀬さんの突っ込みが鋭くなってきた。




「あ、すみません・・・」


「え、そこ了承しちゃう!?」




少女はシュンとしてしまう。


少し悪いことしてしまった気分だが、仕方ない事だと思い割り切った。




次はファソチキを食べる


これも絶賛だった。




「おいしい・・・!こんな美味しい物を食べたの初めて・・・。」




少女は暖かいお味噌汁を飲んだ、何かを思いついたようにおにぎりとお味噌汁を交互に食べる。




「このスープはなんですか・・・!すごくおにぎりと合うじゃないですか!」


「それはお味噌汁です。」


「オミソシル?」




どうやら、お味噌汁を知らない世界に来てしまったようですね。


これは売上を伸ばすチャンスかもしれません。




そして、最後にお水を勢いよく飲んだ。




「水もおいしいなんて・・・、どうなってるんですか、ここ・・・!?」




少女はあまりも美味しかったのか、震えているようだ。


少女のトレイは綺麗に全部食べて貰えたようです。


飯河はほっとするのであった。




元気になった少女はお礼をした。




「美味しいご飯を恵んでもらってありがとうございます!


自己紹介が遅れました!私はファレス=ロウ=ソレイです!


勇者をやってます!」




そう言って、背中の聖剣を見せるのファレスだった。




「ゆ、勇者だと!?」


「ゆゆゆゆ、勇者!?」


「やべぇ、本当に異世界に来てしまったのか・・・。」




店員とお客様が動揺する。


そして、私は・・・




「あ、ご丁寧にありがとうございます、私は飯河 武と申します。


ここの店舗の店長を務めてます。」


「「「「普通に挨拶をしたーーーー!?」」」」




いやお客様ですし…。


そう思っていると。




「あっはっはは、店長はいつも通りだねぇ!」


「まぁ、店長ですし」


「えぇ!?二人ともそれでいいんですか!?」




流石ですね、二人は長い付き合いだけでもあって、理解してくれる。


すると少女は話を続ける。




「でも、それは昔の話ですけどね!」


「ん?どういう事ですか?」




少女はうつむく、そして語るのだった。




「私よりも強い、勇者が出てきちゃって…、それでお払い箱になっちゃったんですよね、あはは」




そう言って笑い飛ばす勇者。


飯河はただ、黙って最後まで話を聞いた。




「おかげで国から支給されるお金はもらえなくなって。


村からは勇者じゃない、お前は必要ないなんて言われました。」


「そ、そんな・・・!あんまりじゃ・・!」


「一ノ瀬さん」


「て、店長・・・」




何かを言おうとしてる、一ノ瀬さんを止めた。


お客様の話は最後まで聞くべきと判断した。




「そして、仲間は新しい勇者について行ってしまいました!」




それも笑顔で語る、ファレス。




「でも、良いんです!それが最善なら私は受け入れましょう!」




少女は健気だった。




「私よりも早く倒してくれる、勇者がいれば世界が救われます!


なら私はこのまま野垂れ死んじゃって本望かなーなんて!」




周りの皆は下を向く、中には話を聞いて泣いている人もいた。




「でも、救われてしまいました・・・。死にたかったんだけどなぁ・・・」




少女は目に雫が溜まっていく。


そして、その雫は頬に一直線に下に向って落ちて行った。




「ありがとうございました。」




勇者と名乗る少女は出て行こうする。


すると、杏が後ろで包み込むように背中に抱き着いた。


驚いたファレスは思わず声を出してしまった。




「な、なにをするんですか!?」


「いいこ、いいこ、よく頑張ったね」




少女はその言葉を聞いて、びっくりする。




「え、え!?」


「ゆうちゃああああああん!」


「わ、っわ!?」


「う、うう!つらかったんでずねええええ」




一ノ瀬は、ファレスよりも大声で泣いてた。


まぁ、今回は許しましょう。


杏は話す。




「そんな、強がっちゃだめだよ


それに生きていれば、もっといい事あるよ」




お客様は頷く




「で、でも・・・、自分には居場所が・・・」


「あ、店長?ちょっといいですか?」


「どうしたんだい?瀬川くん」




瀬川君は何か話そうとする。




「俺達のお店って、今はすっごい人でがいないじゃないですか」


「ま、まぁそうですね。」


「この子を昼勤に入れたらどうっすか?」




瀬川君はそう言って、杏に目で合図する。


お前ら本当仲がいいな。




「そうだよ!店長!ここで働かせましょうよ!」


「てんちょー!」




皆、私に注目している。


仕方ないですね。




「そうですね、ちょうど働き手が必要でしたのでファレスさんが良ければ出すけど」




「え、っえ!?でも私・・・、戦いに明け暮れたてたので、仕事はできないかもしれませんよ?」




私はファレスさんに近づき目線を合わせる。




「ファレスさん、よく聞いてくださいね。


仕事は最初から出来る人はいないんですよ?


出来るように仕事をするんですよ。」




「で、でも私は不器用だし・・・」




「大丈夫です、2ヶ月間の研修がありますので。


その分、できない所は、全部私たちが丁寧に教えていきます。」




「う、うぅ・・・本当にいいの?」




「えぇ、勿論です。貴方はここに必要な人材として認めらたんです。


なので一緒に頑張りましょう。」




営業スマイルをしながら


私はファレスさんと握手をする。




「あ、う・・・!」




それで何故か、ファレスさんが顔が赤くなっていく風邪でも引いたんでしょうか?




「あーあ、店長は罪深いねぇ」


「本当ですね」


「ウッス」




私が何かしたんでしょうか?




「ファレスさん、私は何かしたんでしょうか?」


「い、いえ、なんでもありません!!」




そういって、背中をピンっと伸ばす


うん、良いスタッフになれそうだ。




そして、ファレスは膝をついて言う




「私、ファレス=ロウ=ソレイは貴方の剣になる事を誓います。


そして、ここの人たちの守護として、守ります。」




そして、私の手を取って誓った。


その姿は幼い少女とは思えないほどの凛とした姿が皆の目に焼き付いたのだった。




「あ、これからよろしくお願いしますね」


「「「「「軽っ!?」」」」」




そういって、周りの皆は笑いあったのだった。




そして、ここで元勇者のファレスがコンビニ店員として仲間になったのだった。

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