俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第42話 講義


 また一週間も空けてしまいすいません。
 これ以上投稿ペースを落とさないようにしなければ!





 「お、拓磨」

 朝早くに学校へと赴くと、丁度拓磨とはちあった。
 拓磨も俺に気づいて、片手を上げながら近づいてくる。

 「と……イブか。奇遇だな」
 「おいおい拓磨、2人っきりの時はイブ扱いする必要は無いぞ。俺とお前の仲だし」
 「言い方に悪意を感じるのだが」
 「気のせいだ気のせい。それより、教室行こうぜ」
 「……そういうことにしておこう」

 わざわざ配慮してくれた拓磨にそう言う。もうバレてしまったのだし、こいつの前では別に隠す必要は無い。
 
 「ところで、他の3人は?」
 「後から来るだろう。俺は早めに行動しておきたいタイプだからな」
 「あぁ、そう言えばルサイアに居た頃も、お前が最初に来てたな」
 「その時は、大抵お前が先に居る」

 俺はグレイさんと朝稽古していたからだ。用がなきゃもう少し遅いだろう。
 
 校舎へと入り、下駄箱などはないため、そのまま教室へと移動する。

 「にしても、中々良い場所だよな」
 「この学校のことか?」
 「ファンタジー感があるだろ?」
 「俺にはわからん」

 このやたらと天井の高い廊下に、でかい窓。差し込む光がまさにファンタジー。
 そう思うのは俺だけ?

 俺だけのようで、拓磨は微笑と共に前を歩く。前を歩かれると、言動のわりにサラサラとした茶髪が、忌々しい程に目に入ってきて嫌だ。
 天パに対する嫌味か? 嫌味なのか?

 「どうした?」
 「なんでもない。気にすんな」

 振り返った拓磨に首を振る。
 何故かイブの姿であっても、サラサラというよりはふんわりと、どちらかと言うと天パに近い髪質なのだ。
 うーん、実は割と気に入っているということなのだろうか……。

 樹もサラッサラだし、正直羨ましい。俺がストレートになれるのは、風呂上がりの時ぐらいのものだ。
 そして最近は魔法で汚れをとっているので、風呂に入る時がない。そもそも風呂がない。

 教室までの道のり、拓磨は俺の視線から何を考えているのか悟ったのか、終始呆れたような顔をしていた。

 ◆◇◆


 「魔法を使うにあたって属性というのは重要な項目です。使用する属性によって似たような魔法でも効果が異なり、消費魔力も変動します」

 前で話す教師の言葉。丁度基礎的な部分をやっているのは、俺が新しく入ってきたからか、それとも偶然か。

 現在は魔法知識という教科の時間。教室の好きな席に座っていいというのは新鮮で、俺はホワイトボードを前にして一番左側に座っていた。縦軸としては中央辺りだ。

 ちなみに窓際最後方は既に座られていたため、残念だが断念した。

 そして授業だが、魔法知識と言っても、2カ国の図書館を読み尽くしている俺にとって、今更習うことなどあるはずもなく、むしろ教師より俺の方が教えられるのではないかとさえ思う。
 
 「属性には基礎概念と呼ばれるものが存在しており、基本的には、各属性の魔法は、1つはその基礎概念に沿った効果を伴っています。例えば、火属性は火であり、どの魔法も燃焼や温度の上昇、爆発等の効果が含まれます」

 ホワイトボードに書き込まれていく文字。俺は別に覚える必要も無いが、あからさまな態度をとるわけにも行かず、取り敢えず配布されたノートらしきものにペンで文字を記入していく。

 教師の書く速度よりも俺の方が速いが、そこにない文字を書き写すことは出来ない。どうしても教師の書く速度と同等になってしまう。
 [神速筆]だったか。頭に『神』とか『超』とかつければいいと言う安直な感じがするが、効果は絶大だ。数万文字をたった数分で、頑張れば数十秒で書き写せる。

 手の動きが高速化されているのだが、これ、書くこと以外に転用できないだろうか。

 「これは特殊3属性においても同じです。回復属性は回復を、重力属性は重力への干渉を、時空属性は時間と空間への干渉を基礎概念としていて、その枠組みから大きく外れることはありません」

 この辺りは魔法を使っていれば感覚で分かるため、知識としても覚えやすいものだ。各属性の基礎概念なんてものは、魔法に触れれば自然と分かるし、属性の名前通りのもののため、大して難しくもない。
 小学校高学年辺りであれば教わらなくとも分かるだろう、多分。

 そもそも魔法知識なんてものは、魔法を研究したり、新しい魔法を作りでもしない限りは、必要ないものだ。専門知識が必要になるのはその筋の人だけであるし。
 店に売っている道具は使い方さえ分かればよく、原理なんてものをわざわざ調べようとはあまり思わないだろう。そういうことだ。

 まぁ他の奴らは熱心に勉強しているし、そんなことは言わないが。俺もきっと何も知らない状態だったら、魔法であるし、頑張って勉強しようとしたのだろうか。

 「────イブさん、授業に集中しなさい」
 「え?」

 すると、ペラペラと教科書通りの内容を語っていた教師が、突然俺のことを呼んだ。
 困惑する俺と、しかし周りのものは『またか』とでも言いたげな表情をしている。

 俺はしっかりノートを取っていたというのに、どういうことだ? いやほんと、そんなこと言われるような筋合いはないと思うけれど。

 「いや、俺はちゃんと集中していましたが……」
 「本当ですか? では、テストをします」

 ノートを見てもらえばすぐにわかるのですがそれは。多分この教師はあれだな、意地が悪いんだな。
 この感じ……わざとか。授業を聞いてる聞いてないに関わらず、俺を呼び、テストするつもりだった。

 そう考えれば、教師の意図も読みやすくなってきた。ようは、転入生に対する教師からの洗礼、のようなものではないか。

 きっと拓磨達勇者も受けたんだろう。この教師、頭固そうだし、怖そうだし。

 さて、それでテストか。授業内容は一語一句間違えず完璧に把握しているが……。

 「何故人によって使用出来る属性に差が出るのか答えなさい」

 いや授業に出てないじゃんそんなの!!

 俺は真顔の教師を睨む。あれか、これは最早嫌がらせか? 敢えて答えられない問題を聞くという嫌がらせなのか?
 周りも苦笑い気味だし、やっぱりわざとなのか。
 いや、もちろん俺には当てはまらないが。

 「それは、各属性に魔力を適応させることが出来るか出来ないかの差で、適応させることが出来ればその属性の魔法を使用することか可能になり、出来なければ不可能であるからです」
 
 魔法に関しての問題で、2カ国分の知識を頭に詰め込んだ俺にわからないことは無い。
 もちろん、その中には無いような知識も、含まれていることはあるだろう。だが俺は魔法に関して技術的にも優れている。それに加えて自分で言うのもなんだが、俺は高い考察能力を持っているし、答えをカンニングできるようなスキルも持っている。

 わからない方がおかしい。

 俺がなんの躊躇いもなく答えると、教師は真顔を一転、若干眉間に皺を寄せる。

 「……では、先程説明した基礎概念がありますが、基礎概念に則った効果を一つも持たない既存の魔法を、例として一つ上げてください」
 
 おう、授業に出ていない部分の問題の次は、授業の発展か。

 『いや分かんねー』とか『ほとんどの魔法が基礎概念に則ってるじゃん』とか、そういう声が聞こえてくるから、他のやつも授業でやっていない部分なんだろう。

 だが俺の溜飲を下げるために、答えさせてもらおう。

 さて、基礎概念については結構曖昧なところがあるから、一つ一つ定義を確認していくか。

 火属性は燃焼、温度の上昇、そして爆発。これらを司っている。
 水は、温度の低下、凍結を司り、風は気流や気体への干渉、雷というエネルギーの生成や、速度の上昇を司っている。
 
 そんなこんなでやっていくと、オリジナル魔法でもない限り、既存の魔法は全て基礎概念に則っているし、それに加えて特殊な魔法は閲覧制限がかかっていたりするため、知っている者が少なかったりする。
 あとは、どれが基礎概念に当てはまり、どれが当てはまらないのか、分かりにくいというのもあるな。

 オリジナル魔法ならいくらでも作れるが、今回は既存の魔法と聞かれているし、と俺は脳内で魔法をピックアップする。

 「そうですね……回復魔法に分類される『過剰回復オーバーヒール』でしょうか。回復魔法の基礎概念は『回復を司る』ことですが、『過剰回復オーバーヒール』は負の回復を司っています。言わば、ダメージでしょうか。これは基礎概念に則っていない魔法と言えますよね?」
 「……その通りです」

 周りの生徒が『何その魔法?』と首を傾げている中、さすがは魔法科目の教師ということか、その魔法を知っていたらしく、驚いたような、しかし悔しそうな表情を浮かべた。

 『過剰回復オーバーヒール』は既存の魔法ではあるものの、一般に公開されていない、"準禁忌指定"とされている魔法だ。

 その魔法の効果は、本来は傷を治すことを目的とした回復魔法で、相手に致死性のダメージを与えるということ。
 わかりやすく説明するなら、HPが100あったとして、そこに更に100の数値を回復で加えてやると、上限を超えた分はダメージとなって、結果HPが100減り、0になるという技。

 別に攻撃性の高い魔法は他にもいくらでもあるが、これは魔物相手ではなく人を対象にしていることや、攻撃であるとわかりにくいこと、人を助ける治癒師がそういうことを行うのは倫理的に反しているとして、準禁忌ということになっている。

 もちろん秘匿された魔法であるため、知りえているものはほとんど居ない。そんな魔法を持ってきたのだから、教師もビックリするだろう。

 「……どうやらちゃんと授業を聞いていたようですね。私の間違いでした」

 若干口調が固いのは、悔しさを押し殺すためだろうか。授業を聞いていても分からないような問題だったことに関しては、触れないらしい。

 

 結局そのまま授業は終わったが、後に聞くと、やはりあの教師は転入生などに難しい問題をふっかけ、答えられないという屈辱を味合わせることで、向上心を煽ることを目的としていたらしい。
 どうも拓磨なんかもやはり経験していたようで、比較的新しい、苦い記憶らしい。
 まぁ、嫌がらせじゃなくてそういう目的であることを考えると悪いことをしてしまったかとも思ったが、相手も悔しそうにしていたし、俺が教師の向上心を煽った、ということにしてお互い様にしておこう。うん。

 








 ちなみに基礎概念ですが、一応以下の通りです。

 火属性:火の生成、干渉・燃焼・温度の上昇・爆発。
 水属性:水の生成、干渉・温度の低下・凍結。
 風属性:気体、気流への干渉・雷の生成、干渉・速度の上昇。
 土属性:土の生成、干渉・強度の上昇・自然への干渉。

 光属性:光の生成、正の干渉・収束・拡散・魔への負の干渉。
 闇属性:光の吸収、負の干渉・収束・拡散・魔への正の干渉。
 
 回復属性:損傷の回復。
 重力属性:重力への干渉。
 時空属性:時間と空間への干渉。

 ※無属性のみ属性がないため基礎概念も存在しない。

 次回は未定、最低でも明後日辺り以降になるかと。

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コメント

  • 有里 湊

    無理をせず、焦らないことが、引き付ける作品のコツですよ。完結まで頑張って下さいね

    1
  • 舞京

    テストの結果の程は?(すいません、嫌なら言わなくても具体的でなくても構いません。まぁまぁ、など…)

    1
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