俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第41話 暴食が拒否する食材とは




 ドスッ!!

 「っ………!?」

 宿に戻って部屋を開けた途端、俺の腹に強い一撃が加えられた。

 油断をしていた訳では無い。だがまさか、こいつが来るとは思っていなかったのだ。

 腹に力を込めその場で耐えた俺は、腹に突っ込んできたそのゼリー状の存在を手で掴んだ。

 「おい、何すんだグラ……」
 『プル!! ブルプル!! プル!!』

 ドスの効いた声を俺は出した。魔法で流動体にならないようある程度固めたグラを、何度も何度も両手で引っ張る。

 しかしそんな俺の行為は無意味なようで、グラは何事か騒ぎ立てる。というより、怒っていた。

 「あ、ご主人様お帰りー」
 「お、お帰りなさいです……」

 部屋の中から2人の声がする。しかし、今こちらは忙しいのだ。

 「あぁ2人とも、ただいま。それでこいつは主に向かって唐突になんだ。反抗期か?」

 手の中で身体を何度も動かして暴れるグラ。一体なんなんだとため息を吐くと、ルナがジトっとした目を向けてきた。

 「ご主人様のせいじゃないの?」
 「俺の? なにかしたっけか」
 「お昼の時、グラちゃんの中になんか送ったでしょ」

 ………。

 「あぁ、アレか。道理で」
 「マジで忘れてたのご主人様……」
 
 うわぁと軽蔑するような目で見てくるルナ。おいおい興奮するだろ?

 昼の牛丼の事ね。完全に忘れていた。

 俺はグラに『悪い悪い』と謝る。いや、そのあとに起きたことが大きすぎて、牛丼のことは覚えていもグラのことは完全に忘れていた。
 
 「お前、肉ダメだったのか?」
 『プルプル!』
 「あ、違う。いや、魔物とか食ってるしそうだよな。となると……あの脂っこさか!」
 『プル!』

 なるほど、あの脂はダメと。暴食の名を冠するグラであっても、食すに値しないものであるとは、一体なんの肉なんだ……。

 「グラちゃんに何送ったの?」
 「名状しがたき何かの肉」
 「なんか、得体の知れない感じがするね……」

 いや、割と間違っていない表現だと思うぞ。あの異常な脂っぽさは、本当に名状しがたき何かだ。

 グラにも好き嫌い、と言えるかわからないが、少なくとも食いたくないものがあったとは。

 一応許してくれたらしいグラを床に下ろして、ようやく部屋へと入った俺は、そのままベッドに横になった。

 「わぁっ!? ちょ、いきなりベッドに来ないでよ!」
 「いや、学校から帰ってきたらベットにダイブが基本かと」
 「今はアタシ達も居るんだから! 心臓止まるかと思った……」

 俺の体重の反動で跳ね上がったらしいルナ。いや、この言い方だと俺が太ってるみたいに聞こえるな。そんなことないぞ。

 ルナの抗議を聞き流し、ゴロンと仰向けになる。すると、丁度顔の横の所にミレディが座っており、目が合ったので俺は笑う。

 「え、エヘヘ……」
 
 返ってくるのは、恥ずかしげに顔を伏せながらの笑み。まぁ伏せたところで俺の方が顔が下だから、丸見えなのだが。
 この子は天使か……天使だ。

 「ご主人様、なんかロリコン臭がする」
 「いや、こういうので癒されて何が悪い。ルナだって、子供に笑顔を向けられたら癒されるだろ?」
 「ご主人様の笑いはなんか違うんだよね……裏になにか秘めてそうというか、邪な気配がするというか」

 つまり紳士を装って近づく変態と言いたいのだろうか。
 
 ミレディに『失礼な姉さんだね』と小声で言うと、肯定とも否定とも取れぬ苦笑いが返ってきた。
 優しいからね、分かってたけど。

 一度体を起こして、俺は体勢を変える。

 「そんなことより、さっさとルナとミレディには魔法を覚えてもらわなくちゃなぁ」
 「何よ急に……魔法ならある程度使えるようになってるじゃん」
 「いいや、あれじゃまだ駆け出しの中でのエリートってところだ。まだあの学校に入れる程じゃない」
 「あ、本気で学校に入れようとしてたんだ……」
 「それはそうだよ」

 このままずっと宿屋に居させるとか、退屈させそうだし。
 とは言っても、そう簡単にはいかないんだがな。あの学校の生徒は何気にこの世界でも上位に入りそうな実力を持っている。理事長に言えば入らせてもらえるだろうが、問題は実力だ。
 Aランクの魔物までは倒せるようになってもらいたいところだが……。

 「目下の課題は、レベルだな」
 「お、いよいよパワーレベリングするの!?」

 俺の言葉に突然目を輝かせるルナ。なんだ、パワーレベリングにそんなに興味があるのか。
 こいつアレだな、ネトゲで堂々と強い人のパーティーに入れてもらってレベリングするのも心を痛めないタイプか。
 
 「すぐじゃないがな。というか、ルナはもう少し自分で努力しようとは思わないのか」
 「いいじゃん別に。この世界じゃそういうのは命懸けなんだし、楽をしようとするのはむしろ正当だと思うよ?」
 「思考するのはいいけど、それを最初から頼ってちゃダメだと思うんだよなぁ」
 
 しかも他力本願。分からなくもないが、もう少し遠慮しろよ。

 「ご主人様なら、アタシ達守りながらでも楽勝でしょ?」
 「万が一があったらどうする? せめてもう一人護衛が欲しいし、そもそも俺が倒してルナ達のレベルが上がるかも知らないし……」
 「慎重になりすぎなんだよご主人様。強いんだから、もっと大胆になればいいのに」
 「いやいや、2人に何かあっても責任取れないんだから、慎重にもなるだろ。俺は神でもなんでもないんだ。無責任に行動して2人に何かあったら、流石の俺も自責で潰れるぞ」
 
 まぁ1人の時じゃ俺は全然慎重じゃなくなるが、それは置いておこう。
 
 ルナとミレディに何かあった時には、それはもう俺だって心配になる。それが自身の行動の結果であれば、多分精神的に自滅するな。
 そんなことにはなりたくない。

 「……つまり、心配してるの?」
 「そりゃ心配にもなるだろ」
 「…………ふぅん」

 ……なんでそこで少し頬を染めるのか。どこにそんな要素があったよ。
 心配されるぐらいで嬉しくなったのだろうか。だとしたら、なんかチョロい気がするが……。

 

 まぁ、機嫌を良くしたからか、その後の魔法の訓練が捗ったので、良しとする。



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 どうも、上手く話が進まなくなったのでストックしていた話を書き直そうとしたのですが、そのせいでストックが無くなりました。

 なので、次回が予定通り投稿できるか不明です。今、期末テスト期間なのもあるので。

 一応予定としては、いつも通り明後日辺りとさせていただきます。

「俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • カイエン

    待ってます!いつもありがとう

    1
  • イミティ

    >>カイエン
    自分ではなんでこんなに伸びてるんだろって思うぐらいなんですけどね。一体皆さんはどこに惹かれたのやら

    でも、楽しみにしているということなので、頑張って執筆していきます。正直文章力は上昇しているか分かりませんが、できるだけ面白い作品を作っていくので!
    よろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ

    1
  • イミティ

    >>舞京
    こちらも今日テストが終わりました……残念ながら、最終日である今日は学校に行けませんでしたが
    あと、今回の投稿はなしですので、もうしばらくお待ちを!

    1
  • 舞京

    ありがとうございます!!!!!!!
    次も待ってますね。
    テストこっちは終わりました〜

    1
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