俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第39話 看破


 ちょっと短いです。









 どうにか事態も収束し、演習場では『じゃあ帰るかー』みたいなノリで全員が帰り始める。
 軽く挑んでいた俺が言うのもなんだが、随分と気軽だなホント。

 「イブ、一緒に帰ろーぜ!」
 「誘いは嬉しいけど無理。レオンは学生寮だろ? 俺は宿屋通いだから、方向が真逆だよ」
 「マジか! じゃぁ……まぁ、仕方ないかぁ」
 「悪いね」

 声をかけてきたレオンに、俺は残念だが断りを入れる。仕方ないだろう、ルナとミレディが居るから俺は宿屋なのだ。学生寮も気になるけどな。

 にしてもこの感じだと、ほぼ全員が学生寮か。何となく疎外感を感じる。学園ライフを満喫するならば、やはり学生寮に住むのは必須だと思うのだ。
 ルームメイトとの他愛もない雑談……最近そういうの全くしてない気がするし。

 レオンが『んじゃなー』と手を振って帰って行くのを見送り、一先ず今日のところは俺も帰るか、と演習場から外へと出る途中。

 くいっと、控えめに袖が引かれた。

 「……あれ、どうしたの?」

 振り返れば、そこにはリーゼロッテが居た。
 そう言えばミリア先生に預けたあと放置していたな。てっきり帰ったと思ったが、何か用があるのだろうか。

 何だか慣れないことをするように、モジモジとしたり、チラチラ俺のことを見たり、何ですか?
 袖をちょこんと摘んだままだから、まるで子供のようだ。変に顔も赤くしてるし。

 ただ、こういう時は大抵待つものだと俺は学んでいる。

 だから急かしたり、俺の方から聞いたりはしないのである。

 「………その、さっき………」
 「さっき?」

 そして、リーゼロッテは俯きながら、とても言いづらそうに、小さな声で。

 「………あ、ありがとう………」

 そんなことを言ってきた。

 かあぁぁっ………リーゼロッテはの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

 ははぁん、なんだ、先程俺が抱えて助けたことに対して、わざわざお礼を言いに来たのか? と俺は心の中でにやける。
 てっきり俺は、むしろしらばっくれるというか、特にお礼も言わずに去るかなとも思っていたのだが、律儀なところもあるではないか。

 「そ、それだけ!」

 俺が心の中でうんうんと頷いている間に、リーゼロッテは強めに言って走り去って行った。
 もう耐えられない、という感じだろうか? お礼一つ言うのにあんなになる必要は無いというのに、難儀な性格だなぁ。
 それでもしっかりお礼を言いに来るからこそ、いいものがあるんだけれど。それに、これってもしかしなくても、良好な関係を築くための足がかりになりそうだし。

 やっぱ人助けはするものだな。あぁいうのを見ると気分的にも良いし、知り合い相手だと関係が縮まるし、あと可愛い。(つまり助けるのは女子ということ)

 先程の袖を掴むリーゼロッテの姿が目に焼き付いて、若干にやけながら、俺も帰るかと足を動かす。

 うん、ネイビーだから黒系統に近い色合いで、ロングの髪の毛をもったクール系の少女に、まるで子供のような仕草をされる……オタク風に言えば、萌える。
 ギャップ萌えだ。初対面の印象が印象だけに、中々のギャップ萌えだろう。

 馬鹿なことを考えながら、もうほとんど誰も残っていない演習場から出て、校門に向けて歩き出すと、今度は横から俺の視界に誰かが入り込んでくる。

 「わっ、拓磨。今帰るところ?」

 入ってきたのは拓磨だった。女の子の方が喜ぶんだけどな、叶恵とか美咲とか。

 「わざとらしく驚かれてもな。俺は、お前を待っていただけだ」
 「つまり帰りのお誘いか。拓磨は宿屋?」
 「明日か明後日には学生寮に入るがな」

 ほほう、仲間か。俺達は校門に向けて歩きながら話す。
 
 「他の三人は?」
 「先に帰った。というより、帰らせた。少し2人で話がしたかったからな」
 
 2人で、話……えっ………え?

 「ゴメン、俺ノンケだから」
 「俺もだから変な思考をするな」

 真剣な表情で拓磨に謝ると、ため息を吐かれながら言われた。
 少しボケただけでこれだ。全くなぁ。

 そして拓磨は、言った後にフッと笑う。別に俺のボケが面白かった訳では無いだろう。

 「……やはり、似てるな」
 「ん? 俺が刀哉って人に?」
 「そうだ。そのボケ方や、反応が特に似ている」

 ……意識したつもりはなかったが、やはりわかるのだろうか。
 拓磨は歩速を少し落とす。速度を合わせて隣を歩くことに、特に意識は必要ない。

 「でも俺は、その刀哉って人じゃないよ。前にも言ったけどね。多分、雰囲気が似てるからそう思えるんでしょ」
 「そうか?」

 そうだとも、というのは嘘だ。俺は刀哉そのものなんだから、姿を変えていても、刀哉という人間の本質は変わらない。

 そして拓磨もまた、俺の言葉を聞き流すだけだ。口を動かし続ける。
 否定語を重ねて、俺に言う。
 
 「……だが、イブ。お前はな……」

 俺の隣を歩く拓磨は、全てお見通しだという目で、俺を見た。

 「────誤魔化し方も、同じだぞ」
 「………」

 ………カマ、だろうか。それとも……確信?

 俺は自分の行動を逐一把握しているわけじゃない。今は[完全記憶]があるが、それ以前はなかった。だから、同じかどうか言われても、肯定も否定もできない。
 しかし、拓磨の目は疑いではなく、本当にただ俺の反応を待っているだけの、そんな目だった。

 俺は拓磨から視線を外した。だがそれはむしろ、答えを言っているようなものだろう。
 代わりに、後頭部に手を持っていって、掻く。

 「……ハハ、参ったなぁ」

 そんな、苦笑いと共に。
 困った時に後頭部に手を持っていくのは、俺が自覚している癖のひとつだ。

 俺の友人を名乗る拓磨は、恐らくそれも知っているだろう。俺だって拓磨の細かな癖は何となく知っているし、勿論他の奴らも。
 伊達に数年、こいつと、こいつらと付き合っている訳では無いのだ。

 拓磨が今度は足を止める。
 俺もまた、足を止めて、しっかりと向き直った。

 「イブ……もう言ってしまうが、お前はやはり────」
 
 ─────"刀哉"、なのだろう?

 確信を持った声で、拓磨は俺に言葉を放った。
 


 





 眠いから口数が少ないです。
 次回は明後日辺り、いつもの時間です。



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コメント

  • イミティ

    >>有里 湊
    次回をお楽しみに( ˶`﹀´˵ )

    1
  • 有里 湊

    めっちゃ気になる(´;ω;`)

    3
  • イミティ

    >>舞京
    ちょうど最新話を更新したところですからね
    正直短いとは思ったのですが、良いところで区切るならあそこかなと思って、あそこで区切りました。

    また続きも明後日辺りに投稿しますから、その時に読んでくださいな

    2
  • 舞京

    最近忙しくて確認出来ていなかった間に、更新されてた!!!!
    と、思ったら、良いところで終わった!
    続きよろしくお願いします♪

    2
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