俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第24話 クラス一を決める戦い



 最初刀哉、試合が始まったら拓磨視点です。
 とはいえ、ほとんど進みません。やっぱ戦闘シーンを長引かせるのって難しくて……特に一辺倒となる試合では。






 「教官、試合のルールについて確認したいのですが」
 「あぁ、ルールは単純。どちらかが負けを認めるか、フィールドの外に出るか、戦闘が続行不能になった時点で勝者が決まる。怪我に関してはカナエが熟練した回復魔法を扱えるから、腕を切り落とすぐらいなら問題ない。だが殺すなよ?」
 「やっほー。2人共怪我しないでね! 多分治した後に少し違和感あると思うから」
 
 恐ろしい程に不穏な説明だ。万が一の事故について言及しているだけだろうが、過激だ。

 「質問はないな? なら、位置について準備しろ」

 一言言うと、教官はフィールドの真ん中へと行き、叶恵は美咲の元へと向かった……本当に、模擬戦にしたってもう少し安全策が欲しい。
 怪我は全て痛みに変換されるだけで、実際に怪我は負わないとかさ。しかも、俺なら出来るって言うのがまたなんとも言えない。

 俺もフィールドの中央付近に向かい、反対側に立つ拓磨と向かい合わせになる。

 そう言えば、こいつは立候補したのだろうか。それとも教官から指名されただけなのだろうか。
 どちらにせよ、このクラスで一番強い可能性はある。拓磨は元のスペックがチートであるのに加え、俺と似たように万能なところもある。

 順当に成長しているのであれば、門真君と同じぐらいになっているだろう。
 最後に試合をしてからおよそ3週間近く経っている。どの程度成長したのだろうか。ちょっと上から目線で見てみようか。

 「準備はいいな?」
 「問題ありません」
 「大丈夫です」

 教官の声に頷き返し、試合が開始するのを待つ。
 今回はステータスを制限していない。つまり、最初から手加減が求められる。

 まずは、俺の実力を悟られないようにしつつ、だがある程度は自由に動けるように、拓磨と拮抗した、もしくは拮抗しているように見える試合内容にしなければならない。

 負けるつもりは毛頭ない……拓磨には悪いが、デモンストレーション的なものに付き合ってもらおうか。

 一度目を閉じ、そして、意識から雑念を払い。
 次に開いた時、教官の声が響いた。

 「では、試合開始!」
 
 

 ◆◇◆


 拓磨は、イブの実力を見極めていた。
 とは言っても、正確に測ったのでは無い。あくまで、"自分より強い"ということが分かったに過ぎない。

 昨日、拓磨と貴族の間に入り込んだイブ。あの時の動きは、到底真似できるものではなかった。
 単純に速度の話ではない。あの瞬間まで、拓磨はイブを知覚できなかった。あんな白髪赤眼という派手な外見にも関わらず、拓磨はイブがどの方向から走ってきたのか、ほとんど把握できなかったのだ。

 そして、駆け引きでもするかのような口ぶりで相手の矛を折り、場を収めた。今の拓磨にも樹にも出来ないことだ。
 関係を持てば、強力な仲間となり得るだろう。

 ───それ以前に、拓磨はイブをただただ気になっていた、というのもある。
 気になっていた、というのがどういう意味なのか、拓磨自身把握はしていないが。
 変な意味でないことを願うばかりだ。

 それはともかく、だからこそ、今この場に立っている。好奇心に突き動かされて。イブの実力を測りたくて。自身の現在の実力を見たくて。

 意識を、戦闘のそれへと切り替える。

 「では、試合開始!」

 クロウの合図に、拓磨は走り出した。

 元々油断や手加減などしない主義だ。本気でぶつかり、本気で倒す。特に理由がない限りは、拓磨はそうする。
 
 「フッ!」

 腰に差した剣を抜き、穏やかな微笑を浮かべるイブへと拓磨は肉薄した。

 最初なので、彼我の距離はそう離れていない。直ぐに接近した拓磨は、右手に持った剣、ではなく〃〃〃〃、瞬時に左手に無詠唱で作り出した、光の剣を振り抜いた。

 イブの意識は確かに右の剣に行っていた。だが、拓磨は何故か、この程度では効かないと理解した。
 思った〃〃〃、ではなく、理解した〃〃〃〃
 
 事実、イブの視線は先程までは確かに右の剣にあったのに、しっかりと反応してみせた。

 その場で跳躍し、空中で光の剣を踏み台にする。

 「んなっ!?」

 襲いかかる衝撃に若干前のめりになりそうになりながら、だがイブからは意識を逸らさない。

 空中で一回転したイブは、意外にも拓磨に追撃を仕掛けずに、地面へと着地した。

 直ぐにそれが、手加減されているということに気づくが、拓磨は問い詰めたりせず、あくまで冷静に魔法を発動させた。

 「魔を拘束せよ、『神の縛鎖グレイプニル』ッ!」
 「へぇ……」

 詠唱省略で発動する最上級魔法。光系統に関しては、拓磨は圧倒的な適性を見せており、今のように最上級魔法も詠唱を省略して発動することが出来る。

 虚空に浮かぶ複数の魔法陣。そこから射出される鎖を、イブは軽やかに避ける。
 驚異的な身体能力で、何の遮蔽物もないこの場所であっても、イブは鎖を紙一重で回避していた、

 だが、時間をかければかけるほど鎖は長くなり、安全地帯を狭めていく。
 更に、拓磨自身が鎖の隙間を縫って突撃し、跳躍も織り交ぜているイブの隙を捉えて攻撃を加えようとする。

 「おっと」

 横一文字に振られた剣を、上体を後ろに反らして避けたイブは、まるでブリッジでもするかのようにそのまま地面へと手を付き、その勢いで足を振り上げた。

 「まだだッ!」

 間一髪で蹴りを回避し、拓磨はイブへと鎖を仕向ける。
 倒立状態になったイブは地面に着いた手に力を入れると、そのまま腕の力で跳躍をし、鎖から逃れるが、それは同時に無防備な空中に身を晒すという事だ。
 イブに向けて、手を伸ばす。

 「『光槍ホーリーランス』ッ!」

 拓磨が唱えると、イブの周囲に数十本に及ぶ光の槍が出現し、角度を調節した後に放たれた。

 球体のように、イブを包む閃光。一応威力は抑えているため、大怪我をする程では無いはずだが……。

 その時。

 「なっ!?」
 
 拓磨が攻撃を辞めて腕を下ろす前に、その光は中心から弾け飛んだ。
 閃光の欠片が飛び散り、地面に幾つかの穴を開ける。

 その中からは、イブが無傷の状態で出現し、地面へと降り立った。
 彼は、拓磨へとからかうように笑みを向ける。

 「秘技『対抗魔法カウンターマジック』ってね。どう? 面白いでしょ?」
 「……面白くもなんともないぞ」

 その茶目っ気たっぷりな様子に、拓磨はげんなりとした様子で返すと、イブはやれやれとでも言いたげな仕草をする。
 もしそんな魔法があるのなら、目の前の男には魔法が効かないことになる。そんな魔法、信じる方が無理だろう。

 だが、完全に嘘だとも思えない。なにせ、事実魔法は無効化、いや破壊されてしまったのだから。

 似たような魔法か、もしくはスキルでも持っているのかもしれないと、拓磨はうんざりしたくなる思考をした。
 ただ、『神の縛鎖グレイプニル』からは逃げていたので、恐らく何かしら条件があるか、もしくは魔力の消費が激しいなどの副作用があるのではないか。それならば考えも行く、と言うより、そう願いたい。

 それに、何気なく付けていた『秘技』という単語……無意識とはいえ、それがやはり奥の手という認識から来てしまった言葉ならば。

 (ハッタリかどうなのか……)

 そこを見極めてみる必要はあるだろう。


 




 次回は明後日投稿です。明日の線はあまりないかな……頼んでた小説が届く予定なので(ボソッ


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コメント

  • 音街 麟

    >>イミティ
    全部知っとる作品や‼︎なんか嬉しいなぁ。

    1
  • イミティ

    >>カラ
    えっと、『六畳間の侵略者』11冊に『緋弾のアリア』4冊、あと『アブソリュートデュオ』を4冊、という感じでしょうか。
    知ってる作品があれば、なんか嬉しいです

    1
  • カラ

    なんの小説か私気になります!

    1
  • イミティ

    >>ノベルバユーザー321468
    すいません、修正してきますっ。何話辺りですか?

    0
  • 読書好きTT

    面白かったです....続きが気になります

    4
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