俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第16話 服



 2日空いただけなのに、この久しぶりな感じ。
 なお、ストックは溜まってないです。






 「これなんかどうだ?」
 「へぇー可愛いっ!」

 街へ繰り出して数分。ヴァルンバでは散策はすれど、ショッピングなどしなかったが、ルナとミレディが居るため、今日は観光気分だ。
 沢山の人が行き交う大通り。商店街なのか店が並ぶここは、ルナとミレディを連れ歩くには丁度いい場所だった。

 現在は、目に付いた服屋へと入り、そこで服を見ているところだ。

 意外なことに思うかもしれないが、ある程度高価なものなら、この世界の服は日本とあまり遜色のないものである。
 小さな村なんかはあまり良いとはいえない服だったりするが、ここはこの国の首都。要は、日本で言う東京だ。色々あるのだろう。

 俺がルナに見せたのは、白を基調とした、七分丈のワンピースだ。随分と涼し気な恰好だが、この世界の今の気温は、秋の初めぐらいなので、そこまで寒くはないはすだ。

 「アタシは村育ちだからあれだけど、この世界の服も日本と似てるのね」
 「意外とな。試着するか?」
 「もっちろんよ!」

 ルナが服を持って、布で仕切られた試着室へと入っていく。やはり女子は大体こういうのが好きなんだろうな。生き生きしている。

 ちなみにこの店はレディースなので、店内には男は俺ぐらいしかいない。ルナが他の異性の目に触れることは無い。
 気にするのは俺くらいだが。

 「さて、じゃあミレディの服も探そうか」
 「わ、私はそんな、服なんて……」
 
 ルナが試着室に消えた後、俺はくるりと振り返ってミレディに笑いかける。
 まぁ案の定遠慮するミレディだが、この程度は予想済みだ。
 
 「いいからいいから。こっち来なよ」
 「え、あのっ」

 ミレディの手を掴み、備え付けらしい姿見(なお、この世界では高価なものである)の前に引き寄せ、似合いそうな服をチョイスし、ミレディの肩に合わせてみせる。

 遠慮がちな子にはこのくらい強引な方が丁度良かったり。

 「ほら」
 「え、あ、えっと………に、似合いますか?」
 「うんうん、すごい似合ってるよ。よし、こっちも合わせてみようか」

 やっぱり興味はあったのだろう。最初は困惑していたが、服を合わせると、すぐにはにかむように姿見越しに笑ってくる。

 うむ、こうして心を開いて貰えると凄くいいよな。まだ言葉がつっかえたりするようだが、比較的話すようにもなってきているようだし。

 それにしても、普段は付き合う側だからな。こうやって俺が積極的に合わせるのは何となく新鮮だ。
 だからだろうか、少し気分が高揚している。

 新たに取ったのは、水色のキャミソールのような服。

 「へぇ。こっちも似合うね」
 「その、なんかこれ、恥ずかしいです……」
 「まぁこれは結構肩も出るし、部屋着用かなぁ」

 これを着て前屈みになると、ミレディの場合はギリギリ問題ないだろうが、ルナだったら胸チラしてしまうだろう。
 露出する方のため、恥ずかしいと目を伏せるミレディだが、とりあえず部屋着ということで納得してもらう。

 最早『下心はない』なんていう言葉に説得力がなくなってきた。
 
 「よし、何か気になる服はある?」
 「え、えと……じゃあ、これとか、良いですか?」
 「うん、合わせてみようよ」

 俺が選んでばかりなのもあれなので、ミレディに聞くと、少し遠慮気味に服を持ってくる。
 それは、フリルのあしらわれた、いわゆる甘ロリィタと言われるような服だった。中々面白いチョイスをする。

 ミレディをまた姿見の前に連れていき、後ろからその服を合わせてあげると、中々に良い感じ。
 
 「サイズはピッタリ、か。よし、これ試着してみよう」
 「えぇ!? こ、ここで、ですか?」
 「キャミソールみたいに部屋着って訳でもないし、今は他に人もいないから、大丈夫だよ。絶対似合うと思うし」
 「で、でも……」
 「というか、俺が見たいから。着てくれない?」

 そう言って、ミレディに服を持たせて、試着室へと促す。俺が見たいから、と言われれば、ミレディはそう首を横には振れない。
 あわあわとした後、最終的には恥ずかしげに縮こまりながら試着室へと入っていったミレディを、微笑ましく思いながら見送る。

 すると、まるでタイミングを見計らったかのように、ルナが入った試着室のカーテンが開いた。

 ババーンとカーテンを開いた体勢のまま、見せつけるようにルナは体を大きく開いている。
 その反面、顔は少し固まっているが。

 「ど、どうよ!」
 「なんで若干不安そうなんだ? 心配せずとも、良く似合ってるよ」
 「そう? ま、まぁ当然よね!」

 言いながら、やはり心のどこかでは不安だったのだろう。素直に褒めてやると、安心したように顔をほぐして、試着室から出てくる。

 純白のワンピースと鮮やかな赤い髪がマッチしていて、少しだけ大人っぽく見えるのは気のせいか。
 清純というか、清らかというか、純真無垢な乙女とでも言わんばかりのマッチ感だ。

 「にしても、随分とまぁ美少女さが増したな」
 「そりゃ、アタシですから? こういう綺麗な服が似合うのは当たり前よね」
 
 確かにルナの見た目ならそうなのだが、自分で言うのもどうかと思う。

 その場でくるりと一回転すると、裾が翻る。フワリとした服と髪の香りが混ざり、過剰に鋭敏となっている嗅覚がそれを捉えた。
 
 「ところでミレディは?」
 「甘ロリって言うのかな。そんな感じの服を試着してるよ」
 「ほえ〜、ミレディがねぇ。恥ずかしがりそうなのに」
 「実際恥ずかしがってたよ」
 「うわ、無理矢理着せたんだ!」
 「お願いしたんだ。無理矢理じゃないよ」

 口に手を当てて『うわー』と責めるルナの言葉を飄々と聞き流す。

 「それにしても、ご主人様全く気後れしないね」
 「何が?」
 「こう、女性服店に入るのとか、褒めるのとかさ。前世じゃ男の友達いたけど、なんかソワソワしてたわよ。本当にただの"荷物持ち役"って感じで、聞いても服のことなんかわかんないみたいだし、気の利いた言葉も出てこないし」
 「普通男はそうだと思うぞ。俺は……まぁ、地球の頃からこういう場所に付き合わされることが多かったからな」
 
 一時期は、それこそなりたてのカップルでもそんなに行かないだろうという頻度でショッピングをしたりしていたからな……その時に急激に対応力が上昇した。
 それに、何かと俺は感想や意見を求められる。『よくわからない』と首を振るのはあまり好きじゃないため、自然と、自主的にそういう知識を付けるようになった。
 多分、期待に応えたいという思いがあったんだろうな。
 
 「女の子の友達とか多かったの?」
 「いや、出かけるほどの仲の女子の友人はそんなでもないな。それに女子の友人と言うよりは、妹に良く付き合わされてたんだ」
 「あ、妹いたんだ。道理で歳下の扱いに慣れてるというか、女の子慣れしてるというか……アレ?」

 何故かそこで頭に疑問符をうかべるルナ。

 「でも、それってつまり、妹に『似合ってる』とか『可愛い』とか、『美少女』なんて普段から言ってるってことだよね……?」
 「おっと、ミレディがそろそろ着替え終わったみたいだな」
 「ちょ、話逸らすな!」

 強引に俺は視線と話題を逸らす。それに合わせて、ミレディが入っていた試着室のカーテンから、手が出てくる。
 しかし、カーテンは開かれることなく、そこからミレディが顔だけを出した。

 「あ、あの……」
 「あ、ミレディ。着替え終わったの?」
 「えと、はい……だけど、恥ずかしいというか……」
 
 少し顔が動く。恐らくカーテンの向こうでは体をもじもじとさせているのだろう。

 「え? なになになに、ちょっとアタシ見てくる!」
 「きゃあっ!? お、お姉ちゃん!?」
 
 好奇心にかられたのか、ルナはそう言って試着室へと乗り込んでいく。一瞬、ルナが入った勢いでカーテンがめくれ、中が見えたが、着替え中でなくてよかった。

 「ん? 何よ、凄い似合ってるじゃない!」
 「そ、そうかな……こういうの、着たことないし、わかんないよ……」
 「大丈夫、ミレディはこういうの似合う典型的なタイプだから、自信を持ちなさい」
 「う、うん……お姉ちゃんも似合ってるよ」
 「そう? ふふ、ありがと。ほら、私はいいから、ご主人様に感想もらってきなさいよっと」
 「わわっ、お、押さないでよお姉ちゃんっ! きゃっ!」

 中で少し騒がさが続くと、やがてルナに背中を押されたミレディがカーテンを押し退けて出てきた。
 俺の前へと出たミレディは、少し崩れたバランスを整えると、すぐに恥ずかしげに顔を伏せる。

 「(ミレディ、ほら、聞いて聞いて)」
 
 後ろから小声でルナが言っているのが聞こえる。もちろん、それに反応するなんて言う野暮なことはしないし、何もわからないという顔もしない。
 理解して、ミレディから聞かれるのを待っているのだ。

 「あ……その……」
 「(『この服どうですか』って聞けばいいのよ)」

 困惑するミレディがルナへ振り返ると、更なる具体的な助言が飛ぶ。
 よく俺の事を『ロリコン』と罵るルナだが、ミレディを応援しているのを見ると、やはり姉なんだなとわかる。

 妹の気持ちを優先しているというか、本当は俺がミレディに変なことをしないかとても警戒しているのに、それを抑えている。

 まぁ、どこか面白がっている面もあるのだろうが。

 っと、そろそろか。

 「あ、あの……ご主人様、こ、この服、どう、ですか……? 似合いますか?」
 
 真っ赤になった顔で、上目遣いに自身の服を見せるミレディ。服についたフリルが、その少しの動きに合わせ、誘うように揺れる。
 
 白と黒という、どことなくメイド服を思わせるような色合い。地球に実在した使用人のような、地味な方ではなく、可愛さをふんだんに詰めた方のメイド服だ。
 
 そんな服を、ミレディという『幼さ』と『美少女』を兼ね備えた女の子が着ていると……ただでさえ高い背徳感の度合いが、一気に跳ね上がる。

 自分で言うのもなんだが、目が肥えている俺から見ても、今のミレディの姿は十分以上に可憐で……。

 「うん、やっぱりとても可愛いよ。女の子らしさが溢れていて、目が離せなくなりそうだ」
 「〜〜〜〜っ、ぁ、ありがとう、ございます………」

 俺のくさすぎる発言は、ミレディにとっては聞いてて恥ずかしいものだったのか、消え入りそうな声で俺に礼を言う。
 うん……いや、相手がミレディだから言ったのだが、普通だったら引かれててもおかしくないな。
 純粋というか、初心で助かった。

 「あのー……ご主人様? 貴方はわたくしの妹を口説いていらっしゃるのでしょうか?」
 「なんでそんな丁寧な口調……素直に感想を伝えただけだけど」
 「そういう返答が、口説いてるって言ってるの」

 ごもっともで。真面目くさった顔で告げると、これ以上赤くならないと思われたミレディの顔が更に赤くなり、げんなりとした顔でルナがため息を吐く。
 
 うむ、絶対的に四歳も歳下の相手にかける言葉ではなかった。いや本当に、口説いたつもりは無いのだが。
 大切なのはこちらの意図ではなく、相手や第三者がどう取るからだからな……。

 「ま、ミレディも満更でもないようだし、いいんじゃないか?」
 「アウト。自分で言っちゃアウトでしょそれ」
 「あの様子を見て喜んでないと捉える方が難しいだろ」
 
 恥ずかしさと嬉しさで悶えているようなミレディを指さす。その行為自体が傍から見れば恥ずかしいのだが、それには気づかないのか。
 予想以上に俺の言葉はミレディに影響したらしい。

 「うっわ女の子弄ぶとかサイッテー」
 「弄んでないだろ。そういうこと言うと、その服買わんぞ」
 「ご主人様素敵っ! 超カッコイイ!」
 「それで騙される奴は居ないだろ……」
 

 





 女性の服って正直わかりません。普通に間違ってるかも。
 出かけるほどの仲の女友達は居ないんですよ……いや、悲しくないっす。

 ところで、最近はほのぼのが多い気がしますが……多分思考がそんなふうになってるんでしょうね。

 あ、次回は明日のいつもの時間、です。
    

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