俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

幕間 卒業式2



 少し急用が出来てしまい、遅れてしまいました。すいません……。





 「あー終わった終わったぁ!」
 「そうだな」

 卒業式は無事終わり、その後俺は職員室に呼び出されることも無く、クラスの方でも解散となった。
 最後に担任への感謝を告げるために歌などを歌ったが、俺はそこまで担任に思い入れがなかったため、周囲に合わせていただけだ。

 まぁ、色々と迷惑はかけたと思うので、最低限の感謝はもちあわせていたが。

 肩がこる様な学ランを脱ぎ捨てワイシャツとなった俺は、樹と拓磨と共に歩いていた。

 「全く、うるさいなお前は……それで、刀哉はこの後どうする?」
 「ん? クラス会?」
 「ああ」

 うんと伸びをする樹に、拓磨が口調とは裏腹に苦笑いを浮かべつつ、俺に聞いてきた。

 そう言えば、この後は近くのショッピングモールのしゃぶしゃぶ店で、クラス会的なものを開くらしい。
 ほとんど全員参加で、もちろん俺も参加はするのだが。

 時間帯が六時半と少し遅い。だから、何時に行くのか、ということだろう。

 「そうだな……俺は六時頃に着くようにするよ」
 「何かあるのか?」
 「ちょっと家族でな」
 「あ、そっか。そう言えばお前ん家の親来てないんだろ?」
 「そうそう。少し用事があったらしいんだ。だから、親に卒業したっていう報告と、卒アルを見せるんだよ」
 「両親両方が用事ってのも、なんだかドライな感じがするな」
 「いや、そんなことは無いぞ。うちの親は親バカと言える程度にはのことを溺愛してるからな」
 「息子から親バカと称される親か……」

 こいつらには金光達のことはまだ教えていない。妹がいることすら教えていないのだ。
 まぁ、拓磨であれば元生徒会長のため、生徒名簿に目を通したことがあるはずだ。その時に疑問に思われているかもしれないが、今のところ聞かれたことは無い。

 ちなみに、両親が学校に来ないのは、用事でもなんでもなく、俺が『頼むから来るな』と懇願した故である。


 うちの家庭は少し、というか結構特殊で、父一人に母親二人というものだ。しかも再婚ではなく、一夫多妻というものに近い。
 一応日本では重婚が犯罪だ。その措置として、クーファの母さん───リーナさんは、有り体にいえば愛人、妾のような立場となっている。
 もちろん親父はリーナさんを母さんと同じように愛しているようだし、母さんもリーナさんとは、とても仲がいい。それこそ、親父とリーナさんの関係を『いいよー』と軽く認めてしまうぐらいに。

 俺からしたら親父はどうしようもないたらしな優柔不断にしか見えないのだが、母さんもリーナさんもそんな親父が好きなようで……寛大な人もいたもんだと。

 いくらしっかり愛されていて、私的に妻と同じ扱いだからと言って、リーナさんは社会的に見れば愛人という、色々と周囲から思われるような立場だ。
 それを本人は気にしないのかと思うが、俺が見ている限り、全くと言っていいほど気にしていない様子。

 まぁ、周囲から色々と思われるようなものとはいえ、実際に何か問題にあったことは無い様子。もしあったら、親父か俺が動いていただろう。
 母さんも世渡りが上手いのか、ママ友とは上手く付き合っている様子。

 親父は同じ会社の同僚から色々と言われているだろうが、それも仲のいいもの同士のもので、心の底から軽蔑されてたり、避けられたりしていることはないようだ。
 もし本当に恨まれたりしていて何か問題が起こっても、それは知らん。認めたくはないが、親父個人の力は計り知れない。俺や金光達の運動神経が高いのも、親父の影響があるはずだ。

 最悪、殺されることは絶対にないだろう。それこそ、ミサイルとかが降ってこない限り。
 人間関係のトラブルには自分で対応してもらうさ。
 
 
 まぁ、そんな両親だが、もし卒業式に来れば、それはもう面倒くさいことになるに決まっている。
 まず、俺に妹がいるのがバレるだろう。うちの親は全員が若干の天然持ちかつお喋りだ。
 更に、母親が二人なんておかしいにも程がある。今の日本は一夫多妻なんて認めてないし、俺もこうして自身の親でなければ信じられない。

 本当に手遅れになるような事はしないだろうが、俺の学校生活に支障は出るだろう。

 例えば、そう……桜の木の下で何十枚もの写真を撮ったりなんてされたら、目も当てられない。
 落ち着くという言葉を知らない人たちだ。写真を撮りながら、『刀哉くんカッコイイー!』とか、『お兄ちゃん(昔は金光達が俺の事をお兄ちゃんと呼んでいたため、この呼び方である)もっと笑顔よ!』とか『トウヤシャツをはだけさせろ!』なんて大声で言うに違いない。

 なにより母さん達は超がつくほどの美人だ。俺が親父に『アンタはラノベの主人公か』とツッコミを入れてしまうぐらいには美人だ。
 金光とクーファがとびりき可愛いのも、二人の遺伝子を受け継いでいるのだろう。
 あと、親父も容姿だけ〃〃は美形だ。俺はそこまで親父に似なかったが、その容姿は受け継ぎたかった、と思うぐらいだ。

 それでも俺が、系統は違えどそう悪くは無い容姿を持っているのは、親父のおかげなのだろう。大変癪ではあるが!

 っと、そんな三人が来れば目立つのは間違いない。樹や拓磨、美咲からも弄られるに決まっている。

 そんなの……マジで恥ずかしすぎるのだ。

 「……刀哉ー?」
 「んにゃ、少し考え事だ。お前らはこの後車だろ? 俺は自転車だから、ここでお別れだ」
 「そうか。まぁ、分かった。またあっちで会おう」
 「オーケーだ」
 「んじゃなー」

 手を振りながら、樹と拓磨は駐車場へと向かっていった。

 俺はそれを見送って、校門へと向かおうとする。すると、入れ替わりのように、今度は叶恵と美咲が自転車に乗ってやってきた。

 「やっほー刀哉君」
 「刀哉君、帰りかしら?」
 「おう、叶恵、美咲。いや、まだもう少しいるが、二人は?」
 「私達はこのままショッピングモール行くの」
 「先に行って、洋服とか見たいのよね」
 「なるほど。女子って感じだな」

 男子は服なんか見ないからな。それこそ、俺のように妹や女友達と付き合うことがない限り。

 「刀哉君はまだ居るのよね? 良かったら誘おうかと思ったのだけど」
 「それは悪いな……まぁ、後で時間があれば付き合うよ」
 「それでいいわ。無理やりなんてしないもの」

 金光だったら無理矢理にでも俺を連れていこうとするが、流石美咲、しっかりとしている。

 「じゃあ刀哉君、また向こうでねー」
 「一応来たらレインをちょうだい」
 「了解だ。そっちも気をつけろよ」

 二人は自転車に乗ってそのまま学校から出て行った。用事がなかったら俺も良かったのだが、仕方ない。

 まだ昇降口前にはたくさんの人だかりがある。一二年が出てくるのはもう少し先だろうか。

 そう思っていたが、そんなことは無かった。金光とクーファ、二人が昇降口から出てきた。

 家族なのだから、一目でわかる。同様に向こうも俺を見つけるのは容易いだろう。見慣れているのもそうだが、俺は一人ワイシャツだし、遠くから見てもわかってしまうはず。

 「あっ!」

 ほらな、直ぐに見つけた。同級生達が俺と金光達の姿を認める前に、俺は二人を校門の外へと手招きして、昇降口からの視界を切る。
 変な噂をされたらたまらない。

 「やっほー刀哉にぃ!」
 「兄さん、待っててくれたの?」
 「朝に言ってたからな。それより、思ったよりも早かったね。他の一二年はまだ出てきてないけど……」
 「あー……いやちょっと、教室から逃げてきたみたいな?」
 「みんな兄さんとの関係聞いてきて、鬱陶しい」
 「こっちもそんな感じ。兄妹って説明しても、変なことばっか聞いてくるんだもん」

 そう言いながら、何故か金光は満更でもなさそうだった。一体、変なことって何を聞かれたんだよ。
 まぁ、予想はできる。美少女の妹と、卒業式に手を振り返す兄。しかも妹は最上級の笑みを浮かべるときた。
 ラノベに出てくるようなものを想像するだろうな……実際そう変わらない気はする。

 「変なこと答えてないだろうな?」
 「そこは大丈夫!」

 即答なのがむしろ怖い。
 どう答えたのか、詳しい内容を聞こうかと考えるが、薮蛇だった場合を考えて結局やめた。

 「あ、そうだ。この後は久しぶりに実家そっちに帰ろうかと思うんだけど」
 「え!? そうなの!? 刀哉にぃ帰ってくる感じ?」
 「なんでそんな嬉しそうに慌ててるんだよ」
 「アハハ、いやね、刀哉にぃが帰ってくるのは嬉しいけど、私の部屋ちょっと人に見せられるものじゃなくてさ……」
 「だから普段から片付けしときなよって言ってる。姉さんは面倒臭がりすぎ」
 「いやいや、部屋は片付いてるんだよ。ただ置いてるものが、ねぇ?」

 おい、何故そこでこっちをむく。俺に見られちゃいけないものでもあるのか?
 いやまぁ、金光も年頃の女の子。そういう〃〃〃〃知識は何故か昔から豊富であるし、もしかしたら本だか何だかが置いてあるのかもしれない。

 特にツッコミを入れることなく、俺は聞き流す。別に妹がそういうのを持っているからと言って俺は嫌悪感は愚か、可笑しく思ったりはしない……本当にそういう系のものであるかは知らないが。

 「まぁ、そもそもお前の部屋に入るつもりは無いから安心してくれ」
 「えっ!?」

 何故そこで狼狽する。今時用もなく妹の部屋に入る兄なんて、ただの変態しかいないぞ。
 いくら仲がいいからと言って、何もしないのに妹の部屋に行く気にはなれない。

 「安心して兄さん、私の部屋は綺麗だよ」
 「いやいや、親父達とちょっと話すぐらいだぞ。わざわざ妹の部屋に入る理由がない」
 「そう……兄妹水入らずの時間、作りたかったんだけどなぁ」

 ちょ、そんな捨てられた子猫のような顔をするな。断りにくい……いやこれもう断れないだろうが!
 クーファは冗談を言わない。だからこそ、小悪魔的な金光とは違い、こういった面では厄介なところがある。

 うっと言葉に詰まり、最終的に根負けするのはいつも俺なのだ。今回もこのまま耐え続けたところで、最終的に負ける未来が見える見える。
 
 なにより、兄妹水入らずの時間なんていう、明らかに俺と一緒にいたいということを言われたら、俺も無下には出来ないのだ。
 金光はあざといが、クーファはそんなことを感じない。まぁ、同じ事を金光がやったら、その時も同じだろうが。
 
 「分かった、そういうことなら少しは居るよ」
 「!? ホント?」
 「あ、あぁ……」
 
 グイッと詰め寄ってきたクーファに、頷く。距離が近くて、いい匂いが漂ってくるが……少し目が泳ぐ。

 「あ、刀哉にぃ、いま朝のこと思い出したでしょ!」
 「いやいや、そんなことないぞ」
 「うっそだぁ! 私は誤魔化せないよ? 刀哉にぃのエッチー!」
 「ちっがう! あぁもう、置いてくぞ」

 流石は俺の妹、俺の表情を読むとは。もう少しポーカーフェイスを鍛えるべきか。

 ともあれ、これ以上変なことを言われたら困る。金光のニヤニヤとした視線を、そしてクーファの本心から疑問に思っているような目を、俺は背中を向けることで遮った。
 
 
    




 あ、明日こそ、本編を投稿したい!
 もういろんなところで言ってるのでぶっちゃけますが、本編でステータス更新をするのですが、それが思ったより大変で長引いてます。
 
 明日、時間の指定はありませんが、投稿はしたい! くぅ……もしや、私の限界が訪れているのだろうか。


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コメント

  • ノベルバユーザー316313

    レイン...。LINE ボソッ...。

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