俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第42話 招かれざる客





 その後飛鳥ちゃん達が戻ってきて、真っ先にあったのは俺への疑いだが、苦笑いで誤魔化し、程なくして門真君達も戻ってきたおかげで追求は免れた。


 「お疲れ~、どうだったクエスト?」
 「ども。一応上手く行きましたよ」
 「ちなみに何のクエストを受けたの?」
 「えっと、『ラグジャ』という魔物の羽を取ってくるやつですね」


 近い方選んだのか。いやまぁ、妥当かな。進みは門真君たちの方が遅かったわけだし。45階層攻略してなかったから、転移も40階層からだろうしね。
 1度魔法陣を通ってしまえば次から通れる親切設計。それ専属の職業、運び屋とかがありそうだが、どうなのだろうか。
 俺と一緒に入れば150階層まで行けるよ。お宝ザクザク(悪魔の囁き)


 「んじゃ御門ちゃんも起きたことだし、行っておいで。グラを付けてくから」
 「あ、はい、了解です」
 「んじゃ頼んだよグラ」
 『プルプル!』


 ぬるり、と今まで引っ付いていた門真君の背中から落ちると、今度は野村君の背中にくっつく。
 ……今は男の背中がブームなのかね? いやまぁ主人の俺が男だからかもしれんが。


 「うおっ、おぉ! ヒンヤリする!」
 「うーん、あのスライムが居ないと少し違和感があるなぁ……」
 「言っとくけどグラはやらんぞ」
 「娘を嫁に出す父親じゃないんですから」


 むむ、そんなふうに言ったつもりは無いぞ!
 単純にグラは渡さないという意味だし、流石にグラを娘と同価値では扱えんだろう。
 いや、本人(本スライム?)にとっては非常に残酷なことではあるが。


 「じゃ、行ってきます」
 「おぉ行ってら」
 「幹に言ったんじゃなくて、トウヤ君に言ったんだけど……」
 「そ、そうか……」
 「うんうん、行ってらっしゃい」


 門真君は中々冷たい言葉を浴びせられ苦笑い。一方で求められた俺は御門ちゃんに優しげな微笑み(笑)を見せながら見送ってみる。
 ……まぁ、本人が少し嬉しそうにしていたので、悪くはなかったのだろう。そう思うことにしておく。


 野村君が1人だけ男なのは本当に気になるが、まぁあの感じだとハーレム気分を味わうことはないだろう。
 あまりそういうのは気にしなさそうなタイプだ。


 「フられたね」
 「からかうなよ塗々木。そもそも俺は───」
 「わかってるわかってる、幹は会長一筋だしね」
 「………」


 こっちはこっちで、面白いことを聞いた。門真君には意外にも想い人がいる感じか?
 まぁ、それは訓練をする時に少し聞いてみるか。恋バナは面白いからなぁ。弄りネタには丁度いい。


 「さて、じゃあみんな体力は大丈夫かな? 大丈夫なら訓練やっていきたいんだけど」
 「俺は平気です」
 「あ、俺もです。多分夜菜と学と夜兎も大丈夫だと思います。な?」
 「ウチは平気です」
 「僕も、少し疲れましたが訓練ぐらいなら大丈夫です」
 「……ふん」


 一応訓練を聞いてみたが、まぁみんな一応大丈夫そうだ。天貝君も、誤差の程度の範囲だしね。


 「じゃあ、早速だけど訓練始めようか───」


 そうしていざ訓練を始めようと思った時だ、奴が来たのは……
 奴は[時空魔法]で俺達の目の前に直接転移してきた。
 発動までの速度は一瞬。ほぼ無詠唱に近い発動速度。俺は一瞬で奴の正体を悟った。悟ってしまった……


 「やぁ。訓練と聞いて、私も来てみた───」
 「すみませんが『帰ってください強制送還』」
 「え? あ、ちょ、まっ───」


 突然現れた奴───ギルドマスターに対し、俺は即座に頭の中で魔法を組み上げ、強制的に元いた場所の座標へと送り返す魔法を言葉に合わせて発動した。
 ギルドマスターが待ったをかけようとするも、それを無視して俺は魔法を実行し、突如現れたギルドマスターは、突如として消え去った。


 「……今の一瞬で何が」
 「………俺には転移してきたギルドマスターをトウヤさんが何かしらの方法で更に移動させたように見えた」
 「残念ながら魔法の反応はなかったけどね~……でも魔法使われたんだよね……」


 夜菜ちゃんが虚ろな目になりかけてる。いや、片や元勇者の従者であるエリートエルフで、片や恐らく世界最高峰の魔力操作と隠蔽を誇る俺だからな。比較対象間違えてるんだよ。
 ……最近また傲慢的な思考が目立つな。昔はこんなんじゃなかったんだけど……大丈夫なのだろうか。


 そしてまた先ほどと同じ場所に生まれる魔力。それと同時に、俺は『はぁ』とため息をつく。
 一瞬の後、シュンッ! と音を出しそうな感じでニンマリと笑みを浮かべたギルドマスターが転移してきた。
 ……御門ちゃん達と比べると明らかに魔力の構成が桁違いに強固な、複数の氷の槍・・・・・・のオマケ付きで


 「フフフ、完全詠唱で唱えた魔法、それごとの転移は流石のトウヤ君でも対応でき───」
 「『次元の壁ディメンションウォール』」


 高速で射出される、完全無比な構成の氷の槍に対して、俺は腕を突き出しながら詠唱破棄で『次元の壁ディメンションウォール』を発動する。
 透明の、しかし空間が少し歪んでいるように見える壁が出現し、そこに触れた氷の槍は、いとも容易く砕け散る。
 ───かに思えた。


 「っ!? へぇ、そんな事も……」
 「仮にも探索者ギルドのギルドマスターだし、これ位の魔法は使えないとね。後言葉を遮らないでね」


 俺は目を見開いて驚きの声を出す。あろうことか、氷の槍は『次元の壁ディメンションウォール』を貫通してきたのだ。
 空間を歪ませる『次元の壁ディメンションウォール』を貫通したのだ。考えられる点としては、氷の槍の座標を変更して空間を跳躍したとか、『次元の壁ディメンションウォール』に何らかの方法で局所的に穴を開けたとかだろうが……


 「どちらにせよ、やりすぎだっつーの」


 本気か冗談か分からないが、氷の槍の威力は、普通の人どころか勇者でも喰らったらひとたまりもないだろう。
 俺も封印中は防御系は落ちているし、無抵抗で当たったら致命傷は確実だな。


 「はぁ……『進行反転リバースベクトル』」
 「え?」


 呆れのため息を吐き、俺はあまり使わない重力魔法の魔法名を呟きながら、その場で数度指で円を描く。
 途端、既に俺に当たるまで数十センチというところまで迫ってきていた氷の槍が、ピタリと止まる。無論そこでは終わらず、その場で槍の穂先が反転したかと思うと、術者であるギルドマスターへと牙を向いた。
 もちろん、速度と勢いは最大マックスで。


 「魔法の進行方向を変更しました。俺の魔法を上回らないと、そのまま当たりますよ」
 「ちょ、そんな魔法使えるなんて聞いてないよ!?」


 そりゃそうだ、言ってないし。
 淡々と俺が述べると、ギルドマスターは焦ったような顔をしつつも、俺の魔法を上回るほどの魔力を流し込もうとする。


 「───って、君どんな魔力構成したの!? 全然魔力が送り込めないじゃないか!!」
 「他者の魔力が介入しないようにしたので。針に糸を通すような作業をすれば普通に送れますよ」
 「通す穴が見つからないよ!! しかも力押しもできないし!!」
 「まぁ、タダでさえ高い魔力の質を高めてますしねー」
 「じゃあどうしろと!?」
 「そのまま当たって砕けろ」
 「嫌だよっ!! あぁもうどうにもならないから『解除』!!」


 泣き叫びながらギルドマスターがいろいろとしようとするも、その一切が効かない。
 俺の魔力操作を舐めないでほしい。他者の魔力が通らないようにすることなど造作もないのだよ!


 ギルドマスターに対して首を切るジェスチャーを送る。そして等々危なくなったギルドマスターが自身の魔法を解除しようとするも……


 「残念ですが、その魔法は既に俺が掌握しました」
 「そ、そんなのアリぃ!?」


 半ば涙目で叫ぶギルドマスターに向けて、氷の槍が炸裂した。
 地面に着弾した瞬間にそこから派生するように氷が発生し、幾本もの氷の棘を作り出す。
 ……ただの氷の槍では無かったようだ。当たらなくてよかった。


 「完全に蚊帳の外だね俺達」
 「そうだな。まぁあれで一段落したろうし、いいだろ」
 「……私、アレができるようになるのか想像したけど、無理だよ」


 勇者達が唐突に目の前で始められた魔法戦に、呆れたようにそんな言葉をこぼす。


 なお、ギルドマスターはギリギリ転移で緊急回避をして、事なきを得ました。


 そのまま致命傷の一つでも負えば良かったのにな! と思ったのは、仕方の無い事だと思います。


 

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