俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第28話 自分で噂にトドメをさした感じ?





 門真君達が来るまでの間、迷宮で転移の練習をしてきて、問題ないことを確認した俺は、再び探索者ギルドに戻っていた


 最近は探索者の依頼なんかを受けていないなぁと思い、そろそろお金が欲しくなってきた
 その内奴隷を買うつもりではあるから、出来るだけお金は貯めておきたい。そうでなくとも、お金はあって損はしないだろうから
 久しぶりにハルマンさんにも会いたいことだし、今度覗いてみるのもいいかもしれないな


 まぁ、お金に関しては強い敵の魔石やらなんやらを持っていけばいいだろう。強ければ強いほど魔石の価値は高く、高値がつく。『無限収納インベントリ』に腐るほどあるからな。幾つか売ってもいいだろう


 それか、迷宮で宝箱でも見つけてくるか。結局階層主フロアマスター以外の宝箱はまだ一度も見つけていない事実。基本的に行き止まりやら隠し部屋やらにあるらしいが、行き止まりにならない俺はどうしたらいいのか
 いつもは別に宝箱を探してないから出ないが、宝箱探したいと思ったら行き止まりに辿り着いてくれるだろうか。何気にまだ宝箱を十数個しか開けていない事実




 「あ、トウヤさん。お久しぶりです」
 「どもです」


 そして久しぶりの受付嬢さんに会う。とはいっても、3日か4日ぶりぐらいだ


 「聞きましたよトウヤさん。勇者様達の護衛をされているそうですね」
 「ええ。そろそろ探索者ギルド内でも噂になってくる頃じゃないですか?」
 「そりゃ、無名の探索者さんが勇者様と行動されているんですから、気になって当然です。そうやって姿は変えているみたいですが、最近はずっとそのままなんですよね?」
 「そうですね」
 「ならすぐに特定されてしまいますよ。ギルドマスターから指示は来てませんから、今はまだ私からは隠しておきますが」
 「そうしておいて下さい」


 昨日門真君達と一緒に居たからか、今日はやけに視線が多い。なんというか、見定めているというか
 聞こえてくる言葉の中にも、『あれが例の……』とか、やたらそれっぽい言葉がちらほら
 中には侮るような視線、言葉もあるが、前の躍動する筋肉と同じタイプだと思うのでスルーだ。今の俺はギルドマスターにコネがあることだし、多少の仕返しぐらいは目を瞑ってもらえるだろうからな
 仕返ししてもいいのならば、俺が気にする必要は無い


 「それで今日はなんの御用です?」
 「あぁいや、用って訳じゃないんですが……40階層か50階層辺りの依頼ってありますか?」
 「40か50階層ですか?少々お待ちください……あ、ありました。この辺りですね」


 今回ここに来た目的は、門真君たちに合った依頼を探しに来たのだ
 門真君達がいつまで探索者稼業をするのかは知らないし、ましてや心配している訳では無いが、一度依頼を受けさせておくのもいいかもしれないと思ったのだ


 受付嬢さんに出された依頼を一つ一つ見ていく。どれも魔物の素材採取系の依頼で、如何せん報酬が低い
 迷宮限定の魔物は以外に少なく、外でも取れるからというのが大きいのだろう。40台の階層にいる、トカゲの魔物であるガーザイドや、森にも多少いるオーク、同じく森にも生息しているシルバーウルフなんかは基本的に外でも狩れるために、設定されている報酬金額は低い


 とはいえ、今回は探索者の仕事という認識を与えるのが目的なので、報酬は別に構わない。後で俺の方から別途で払うつもりだ
 まぁ、俺も探索者になってから日は浅いが。探索者の仕事は迷宮の探索、及び敵の排除だから、俺は間違いなく貢献しているのだろうが、生憎探索者の自覚はあまりない


 そんな俺の目から見て、取り敢えず良さそうな依頼を2つ受けておく。片方は48から50階層に出現する猪型の魔物、『パウボロ』の角を取れるだけ取ってくるという依頼。一つにつき銀貨5枚となっている
 もう片方は、46階層のみに出現する『ラグジャ』という鳥型の魔物の羽。こちらは一体分欲しいということで、金貨1枚のようだ


 ……受けようと思ったのだが、受注も本人達がやった方がいいと考える


 「……えと、すみません、やはり今はいいです。ただ、勇者が来たらこの二つを勧めて下さい」
 「はい、わかりました。勇者様が来たらお伝えしておきます」
 「ありがとうございます」


 突然のことにも関わらず、受付嬢さんは笑って了承してくれる。くぅ、できる美人さんですね!


 俺もお返しに笑ってお礼を。自分で言うのもなんだが、今回の笑顔は割とよく出来てると思うんだよな
 その証拠に、受付嬢さんの笑顔も増した気がする。愛想笑いじゃないと思いたい!




 ◆◇◆




 少し時間が過ぎて、探索者ギルドの訓練所にて
 今は別に貸切にはしていないので、普通に探索者同士で訓練している者や、素振りをしている者が居る
 まぁ、全員俺より年上なので、本当ならものではなくかたと言った方がいいでしょうがね
 この世界じゃ年齢よりも実力だと思うのですよ。自分の実力が強いから言えることですね


 ちなみにギルドマスター曰く、ここにいる探索者は基本的に第九階級ノイン第八階級アハト、または第三階級ドライ第二階級ツヴァイ第一階級アインスと、初心者か熟練者という二極端が多い
 というのも、初心者は実力に自信が無いから訓練し、熟練者は自分の力を維持したり、訓練の大切さを理解してるから訓練をする
 つまり、中堅が一番怠けがちなのだろう。中途半端と言ってしまうと悪いが、弱くもなく強いというわけでもない。あくまで中堅だからこそ、訓練をする者が少ないのかもしれない


 とはいえ、ただの偏見であることに変わりはないし、訓練所を一度も使用したことが無い俺も他の場所で鍛錬なんかをしているのだから、一概に中堅の人たちが訓練をしていないとは言えないのだ


 少し思考が先走りすぎたかと反省をして、俺も訓練をしようかなと足を進める
 その途端だ


 「あ、おい、アレって……」
 「アレが例の、勇者様の護衛をしてるっていう……」
 「くっ、ダメだ。実力が全く測れん……」


 訓練所に足を踏み入れた途端向けられる視線。そして言葉。さっきギルドに入った時もこんな感じでしたよ、はい
 というか最後のやつに関しては自分の目利きに自信があるのか?それとも長年の勘が効かなかったということだろうか


 ともかく、この視線の中では訓練も非常にやりにくいのだが、気配消してもいいですか?え?視線に慣れろ?
 いやまぁ確かに視線に晒された状態で実力を発揮することも重要だがなぁ……いや、やると言っても素振りだけなんだがな。後はイメージ戦闘もできないことは無いが、手の内を晒すことになるしな
 まぁ、素振り程度なら出来るし、それだけなら周りも俺に興味を無くすかなという思いで、マジックポーチから剣を取り出す振りをしつつ、『無限収納インベントリ』から取り出す


 「おぉ!マジックポーチなんか持ってるのか」
 「こりゃホントに第一階級アインスかもしれないな……」
 「だがまだ貴族という線も捨て切れない。要観察だな……」


 ……なんか予想以上に見られてるな。って、マジックポーチが珍しいのか
 アイテムポーチならまだしも、秘宝アーティファクトめあるマジックポーチとなれば、確かに目立つだろう
 マジックポーチとアイテムポーチの違いが見た目でわかるのが仇となってるな


 取り敢えず素振りに集中集中。素振りなんか見てても誰も面白くないんだから、すぐに興味を無くすだろうよ


 「フッ!」


 ヒュンッ!!! ピタッ!


 「なっ!?なんだ今のは……」
 「嘘だろ、剣が消えた……?」
 「この俺の目でも捉えられない速度、だと……!?」
 「うわっ!?ま、まさか、ここまで剣圧が?」


 ……あぁ、そうだったな。グレイさんの素振りを初めて見た時はこんな感じだったよな!忘れてたのこのやろう!
 今の俺は、まぁ多分グレイさんを超えている。そんな俺が真面目に振り下ろしたのだ。そりゃ凄くなってるだろうよ。ただの素振りでも目立つだろうよ!


 さらにもう一度振る。またしても周りがどよめく


 「あの実力は本物だな……」
 「やっぱり第一階級アインスなのか」
 「だが誰もあいつの事を知らないんだよな?」
 「ギルドマスターが隠してたとか?それとも、もしかしたら凄腕の冒険者が探索者になって、一気に100層までクリアしたのかもしれねぇ」
 「いや、まだ登録したてということも……」


 ねぇよ!流石に過大評価すぎ……いや、今の俺のステータスだと登録した時よりも弱いのか?技術はともかくとしても、ここに登録した時本来の力でやっていたら、剣の振りももっと凄いことになっていたのかもしれない……
 そう考えると、別段おかしくない評価なのか……


 剣を振る。どよめく
 剣を振る。どよめく
 連続して剣を縦横無尽に振るう。更にどよめく
 架空の敵を相手に戦う。どよめきから歓声へと変わる……






 俺は恐らく疲れた顔をしているだろう。感覚からしてわかる
 結局、素振りはろくに出来なかったとだけ言っておこう
 

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