俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第19話 またパラメータ下げる事案か





 前々から思っていたことだが、どうも俺は思考がブレやすい
 戦闘中なのにどうでもいいことを考えたり、急に解説をしだしたり、挙句の果てには意識を無くしたり
 意識を手放す時は基本的に単純作業をしている時なのだが、困ったことに対策のしようがない。単純作業の時に意識を手放しやすいだけで、他のところで意識が無くならないという根拠はない。一歩間違えれば死の危険性すらあるのだ
 それを考えると、意識を保ち続けるか、意識が無くても戦えるようになるしかない
 ならばどうするか。自律的に対応するように、自身の体にプログラムを刻み込んでやればいい
 ゴーレムに出来たように、魔力と精神との関係を完全に理解した上でならば可能だ。そのためにはやはり魔力と精神、意識等の関係性を調べなければならないのだ……


 ───ま、今やるわけじゃないんですがね










 思考の一つが何か変な事言ってるなーと自覚しつつも、戦闘の手は休めない
 現在俺は147層におり、戦っている相手は『エルスローブ』。見た目はボロいローブを着た骸骨で、魔術師みたいなやつだ
 なお、見た目通り魔法を放ってくるのだが、防御力が低い代わりに魔法の連発速度やら魔法の発動数やらが熟練の魔法使い並で、しかも発動する魔法は中級から上級。こいつ、ボスなんじゃねぇの?と思ってしまうスペックの敵だ
 そんな敵が2体。だがしかし、その内片方は遭遇エンカウントした瞬間に、ステータスを魔改造したグラが倒してしまったのだ
 そりゃ超高レベルの敵を何体も食ってたら強くなるんだが、魔法をものともせず触手で体内に取り込む姿は正直恐ろしかった
 ちなみにその時、『骨って強くなるのか?』と考えた俺は悪くない


 そのため、出番がなくなると思った俺は、グラに一旦待機を命じ、このエルスローブと1対1で戦うことにしたのだ
 相手にとっても、得体の知れないバケモノから、見た目弱そうなやつに変わってくれたのは僥倖に思えたのではないか


 ───ま、現在いまは冷や汗を垂らしているだろうがな


 「『炎燃拡散フレイムボム三重術式トリプルキャスト』。そんなんじゃ被弾するぞ~」


 返事がないとわかっているが、何となく笑顔でそう言ってしまう俺がいる
 俺が魔法名を言い放つと、三つの『炎燃拡散フレイムボム』が生成され、飛んでいく。『三重術式トリプルキャスト』というのは、三つ発動する時のキーワードだ。別に無くてもいいけど、あった方がかっこよくないか?
 他には『三重発動トリオキャスト』とか『三連起動ドライモーション』とかかな


 そんな『炎燃拡散フレイムボム』が飛んでいくと、対抗するように作られる『水沫拡散ウォーターボム』。名前の通り水属性のボム魔法だ。『零度拡散フリーズボム』は氷だが、こちらはある1点から上下を含めた全方位に水を吹き出す魔法だ
 そんな『水沫拡散ウォーターボム』が、計10個・・・・生成される。爆発した魔法から出現する膨大な量の水が、俺の『炎燃拡散フレイムボム』を押しつぶさんとばかりに迫り───


 ───その水は、触れる寸前で蒸発した


 『ッ!?』
 「俺の『炎燃拡散フレイムボム』舐めんなよ?熱量を局所的に高めたカスタム魔法だ。生憎威力は弄っていないが、近づけばただじゃ済まないぜ?」


 周りへの影響を考えて、流石に数万度程の熱ではないが、それでも軽く4桁はあるはず。近くにいるだけで汗ダラダラだろうな。この世界の生物ならそれで済むはず


 全く魔法が効かなくて、驚愕しているようなエルスローブ。その顔の骨がカチカチと音を鳴らしているのは、単に動く度に当たるだけなのか、それとも恐怖に震えているのか
 ドS心が芽生えるね♪


 『炎燃拡散フレイムボム』が爆発する前に、魔力を回収して魔法を無力化
 これ、意外と凄い技術らしくて、普通は一度発動した魔法は、待機状態じゃない限り消せないらしいな
 これには活性化アクティブ沈静化ロウというのが関係していて───ってまた思考がブレる!!


 そして、突然目の前から脅威が消え失せたエルスローブは、一瞬きょとんとした後、すぐに気を取り直して魔法を発動してくる


 「おわっ、お前光魔法使えるのかよ!」


 スケルトンが光を使えるのは反則だろ!と、ゲーム的に考えれば当たり前でも、現実的に考えればそれこそおかしいというような事を述べる
 発動された魔法は中級光魔法『光の帯ホーリーバンド』。『光の槍ホーリーランス』が直線に高速に動くのに比べ、こちらは曲線的かつ緩やかに動く
 そして何より避けづらいのは、追尾機能があることだ。術者によって差はあるものの、躱すならば紙一重でないと避けた先で当たってしまう


 そして相手はやはり技術的にも高いらしい。8つ放ってきたことにも驚いたが、割と早い速度なのに加え、高度な追尾機能であるとみた
 まずは一つを紙一重で回避、魔力を纏わせた剣で二つ目と三つ目を切り落とす
 そこで一度後ろを振り返り剣を横に振れば、先程避けたはずの光の帯が剣に当たり砕ける


 ───避けても追尾されるのか


 まさかこの通路内で180度旋回してくるとは思わなんだ。相当高い追尾機能と旋回速度だ


 だがそれも、避けるのではなく落とせば済む話。魔力を纏わせた剣で四つ五つ六つと落としていき、最後の二つは魔力を纏った手で掴んで見せた


 『ッ!!??』
 「凄いだろ?単に魔力で防御力をあげているだけなんだがなぁ。フンッ!」


 掛け声とともに魔法を粉砕。素手で破壊される魔法も中々綺麗で、光の破片が飛び散る
 キラキラと魔法の残滓が舞う中、俺はそろそろ決着をつけるために魔法を発動する


 「んじゃまぁ失礼しまして『氷棺アイスコフィン』」


 作り出すは氷の棺。エルスローブの体を氷の棺の中へと閉じ込める


 「からの『十字爆発クロスプロージョン』」


 そんな氷の棺ごと吹き飛ばす威力の『十字爆発クロスプロージョン』を発動する
 沈黙は一瞬、爆発する前兆の光が煌めき、起爆
 轟音が鳴り響き、赤い光と熱が顔を撫でる。本当に自滅しそうだから怖いけど、一応無効化レジスト出来ているはず


 まるで目の前で核爆弾を落とされたようだが、これでも威力は抑えてるし、それに加えてパラメーターも低くなっている
 マジで本気でやったらどうなるのか気になるが、洒落になんない気がするのでまだやめておこう。威力の調節はしっかりとしなければいけない


 爆発が収まれば、迷宮の壁やら床やら天井やらは真っ黒焦げ、もちろんエルスローブは跡形もなく消えている。ローブしかり骨しかり
 というか今の爆発でも壊せない迷宮の壁とは一体……あれか、不正する奴が出てこないようにとか?ゲームかよ


 「魔石は……うん、消えちゃってるな」


 そこまで考えが及ばなかった罠よ。爆発で一緒に消え去りましたよこんちくしょう
 魔石食べると、スキルが増えなくてもなんか微妙にパラメーターが上がるから欲しかったんだがなぁ。所持魔石全部食ったらパラメーターが上がってたっていうね
 まぁホントに微妙な上がり幅なんだが。10とか20とか。それでもここら辺の敵の魔石なら多少は上がる。やはり魔石の持ち主の強さに依存するよう


 「まぁ、過剰討伐オーバーキルは今に始まったことじゃないが」


 爆裂系の魔法を使えばこの有様になるというのは、もう何度目かのことだ。そうやって死体ごと消し炭にしたやつに限って意外と強くて魔石も上質そうなやつなんだ。まぁ俺がはっちゃけるのが全ての根源な訳なんだが







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