俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

第10話 男子高校生的には嬉しいけど、特殊な性癖がないと流石に無理かな





 少しすると、ブルーゴブリンではなくアルラウネが出てきた。植物のくせにこんな石畳のような場所にいるとは、大丈夫なのか?
 あ、栄養に関しては迫り来る探索者をですかね?


 『キキキキ!』
 「うぅ、その声さえなければベストタイプだったのになぁ」


 上半身の女性は見事な美人さん。細部までこだわられているが、残念ながらその口から出る声はとてもではないが人間の声とは思えない。
 奇怪な音を発しつつ、アルラウネは俺を見つけるや否や早速とばかりに下半身の蔦を伸ばしてきやがった。


 「ほっ、やっ」


 高速で射出されるそれを、全て回避。蔦の数は12本で、しかもそれを全て操作してくるのだから地味に凄いが、それも当たらなければどうということは無い。


 「お前の花、取らせてもらうよっと」


 無論変な意味じゃないぞ? 女性の花びらとか蕾とかって、ちょっとレーティングを下げた卑猥表現だよな。
 そんなどうでもいいことを考えつつ、俺は剣を抜いて蔦を斬る。少し遊んでいたのだが、さっさと下に行った方が効率がいいと思い出したのだ。


 「フッ!」


 俺はアルラウネの懐に一瞬で潜り込む。それと同時に、背後で剣の軌跡が光り、スパンスパンスパンという音とともに蔦が細切れになる。
 一度やってみたかったこれ。なんか、一瞬で移動したと思ったら、背後でいっぱい切られるやつね。
 無論、実際は目に見えない速度で切り刻んでいるのだ。圧倒的なパラメーターと、スキルが進化して[真剣術]になったことや、[神速移動]によって、俺の攻撃は最早神業の領域へと達していた。


 ……ちなみに、そんな神業が出来る速度と知覚能力があるなら、そのスピードでさっさと倒せよと、後で自分にツッコミを入れたのは内緒。


 懐に入り込んで、一閃。弱点がどこかわからないから取り敢えず上と下を切り離しておけばいいだろうという浅ましさ。個人的に顔とかは美人なんであまり傷つけたくなかったです。


 「え~っと花花……」


 目的であるアルラウネの花を探す。と思ったら下半身にあった。
 位置的にアレなのだが、幸いにして上半身とは離してあったので、全く……とまではいかないものの、そこまで卑猥には見えなかった。
 もしこれが上半身と繋がってたら、スカートの中を覗いてるみたいで危なかったな。主に俺の社会的地位が。


 というか何でこんな所に付いているのだろうか? 嫌がらせか? パーティーで行くと女性メンバーから軽蔑されるようになっているのだろうか? サキュバス並に恐ろしいやつだ。
 いやでも受粉となると……あっ(察し)。






 ◆◇◆




 「さぁさぁさぁかかってこいやぁ!!」
 「GAAAAAAA!!」
 「どうしたどうした! お前の力はそんなものなのかァ!!」
 「GGGGG、GAAAAAAA!!!」
 「うおっと、なかなかやるじゃねぇか!! その調子で───」
 「GYAAAAAAAA!!!???」
 「あ、スマン。加減を間違えた」


 場所は打って変わって105層。俺の熱血な叫びと相手の雄叫びが階層全体に響き渡っている。
 俺は戯れに、オーガキングと素手に〃〃〃よる〃〃格闘戦〃〃〃を繰り広げていた。


 あの恐ろしく強かったオーガキングだが、今では俺の方が手加減する始末。途中から取っ組み合いになったのだが、明らかに体格に差があるのに何故か力的には逆転していた。


 最後に至っては、俺が間違えて手に力を込めたせいで、握っていたオーガキングの手が潰れてしまったからな。つい謝ってしまう程だ。


 もちろん、普通にやっては流石に俺の身体が壊れてしまうだろう。力はあれど、別に身体が固くなっている訳では無いし、普通の人よりは硬いかもしれないが、オーガキングの攻撃をしっかりともらって、無傷でいられるはずがない。
 現在は、体全身を[魔鎧]を使用することで、魔力で覆っている。だから可能なのだ。


 「っし、じゃあ失礼して……」


 パチンと指を鳴らす。やっぱ魔法を使う時ってこうやってやりたいよな? 別にやる必要は無いけど、モチベーション的に上がる。


 使用した魔法は上級闇魔法『常闇の城ミッドナイト・プロヴィンス』。一定領域内を光の届かない闇へと引きずり込む。
 それは視覚だけの話ではなく、五感全てを麻痺させ、全ての感覚を消し去る魔法。


 最大範囲は、最後に試した時点では凡そ半径50mほどだった。現在もその位にしているがまだ余裕はあるので、やはり魔法が進化しているのは大きいな。


 オーガキングとその周りが、一切の光が届かない闇に飲まれる。光が届かない故に自身の姿すら全く見えず、オーガキングは警戒して低い姿勢で唸る。
 恐らくオーガキングは現在、音も届かず、耳も聞こえず、感触はなく、気配も感じることが出来ないはずだ。


 なお、俺に対しては自身の魔法なので影響がない。熟練した魔法使いになると自身の魔法は無効化レジスト出来るのらしい。
 他にも自身の得意な属性に限って耐性ができたりとか。


 更にもう1度指をパチンと……あんまりやるとシュールだな。魔法発動の度に指鳴らすとか。


 今度から普通に魔法名を告げようと思いながら、結局無詠唱で発動していたのは中級闇魔法『影縛り』。


 影を操って対象を拘束する魔法だが、俺が『常闇の城ミッドナイト・プロヴィンス』で完全な闇を作っていたので、その闇を使ってオーガキングを完全拘束。
 これで俺は二種類魔法を使っていることになるのだが、勿論まだまだいけますとも。


 「『影針棘シェイド・エクスキュート』」


 追い打ちをかけるように発動するのは、上級闇魔法『影針棘シェイド・エクスキュート』。『影縛り』の上位互換で、影から棘のようなものを出す攻撃魔法だ。


 そして、現在のオーガキングの状態は、果てしない闇に飲み込まれ、影で身体中を完全拘束されている……つまりそういうこと。


 ズサズサズサズサズサ!!と中々に心地よい音が響き、オーガキングの体はありとあらゆる方向から棘が刺さり、もうハリネズミもビックリのハリネズミ状態。


 俺の超人的な【知力】と、[闇魔法]から[暗黒魔法]へ上位変化したことにより、オーガキングの硬い皮膚もまるで豆腐のように柔らかいのなんの。


 というか話が少し逸れるが、俺のステータスって一体どういう強さなのかね?
 今まで見てきた中で一番強い、長命種エルフ第一階級アインス探索者であるギルドマスターは確か……。


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 テレシア・リューエル 625歳 女
 エルフ
 レベル196


 【生命力】146800
  【魔力】485600
  【筋力】19980
  【体力】18200
  【知力】35690
  【敏捷】27310
  【器用】26530
   【運】66




 保有スキル


 武器術
 [剣術Lv.6][弓術Lv.7][杖術Lv.8]


 戦闘補助
 [早射ちLv.7][装填Lv.6][照準Lv.8]
 [体術Lv.7][体幹Lv.7][平衡Lv.7]


 運動
 [運びLv.8][跳躍Lv.8][隠密Lv.9]
 [空中機動Lv.6]


 魔法
 [魔力操作Lv.8][魔力感知Lv.9][魔力隠蔽Lv.7]
 [高速詠唱Lv.9][詠唱破棄Lv.8][詠唱強化Lv.9]
 [魔法陣魔法Lv.7][同時発動Lv.9][媒体効果Lv.9] 
 [火魔法Lv.7][水魔法Lv.9][風魔法Lv.10]
 [土魔法Lv.8][光魔法Lv.9][闇魔法Lv.8]
 [無魔法Lv.8][回復魔法Lv.9][重力魔法Lv.8]
 [時空魔法Lv.6]


 その他
 [速読Lv.5][速筆Lv.7][誘惑Lv.2]
 [気配察知Lv.8][気配遮断Lv.8]
 [思考加速Lv.8]


 強化
 [知力強化Lv.8][敏捷強化Lv.8]
 [器用強化Lv.8][風属性耐性Lv.7]


 ユニークスキル
 [無詠唱Lv.-][浄化の瞳Lv.-]
 [精霊眼Lv.-][精霊の囁きLv.-]
 [魔法の才能Lv.-]




 称号
 《女神の祝福》《掟を破る者》《勇者の従者》《全属性保持者》《風王》《壁を越えし者》《魔王討伐者》《生ける伝説》《第一階級探索者》《ギルドマスター》




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 まぁ、ツッコミどころはあるよな。でも今はそこじゃない。それは後で考えるって決めてたんだ、うん。


 取り敢えず格が違うレベル196。グレイさん(レベル81)の倍以上ある。無論エルフだからか、年齢はヤバイ───というととても失礼だが、長い時間生きているし、【魔力】と【知力】がずば抜けて高く、まさに桁違いだ。


 さて、言いたいのは、レベル196でコレ〃〃だ。んでもって、俺のレベルは最後に見た時は81。丁度グレイさんと同じだ。
 そして俺はその時点で、スキルの数やスキルレベルは言わずもがな、ギルドマスターのパラメーターの〃〃を行っていた。


 何を言ってるのか分からない? 単にギルドマスターより俺の方が強いって意味だよ。


 スキルレベル……エルフが人間と比べて成長速度がどうなのかは分からないが、長寿な代わりに成長速度が遅いというのはありそうだ。
 だが、流石に600年も生きてて、スキルレベル10が一つだけってのは、少しおかしいよな。というかスキルレベル10あったんだ。上位互換に進化するのかと思ってた。


 つまるところ、レベル9から10の壁はそのぐらい大きい。
 俺の場合、1ヶ月で進化までしたのはやはり異常中の異常だろう。赤子が一気におじいちゃんになるみたいなもんだ。


 更に言えば、幾ら何でも、自分よりレベルが倍も上の相手よりパラメーターが上なのは、勇者と言えど異常だろう。例え勇者が常人の2、3倍の成長力だったとしても、この世界ではレベルが上がるごとに、1レベルごとのパラメーター増加量が増えるのだから、196との差、つまり115レベの差は、レベル以上の物だ。


 それに称号の数もそうだ。俺はたかだか1ヶ月であの目も当てられないような称号の数々だったが、ギルドマスターは600年以上生きていてこれだ。
 明らかにおかしいと言わざるを得ない。幾ら何でも、俺の1ヶ月がギルドマスターの600年より濃いなんてことは無いだろうからな。
 俺だけ特別、称号の取得条件が緩く見えてしまう。というか、どうでもいいことに称号を割いているように思える。


 
 まぁ総合すると、俺のステータスはヤバイ。これに収まるわけだ。


 「後で勇者とも比べてみたいな」


 ギルドマスターは、まぁ称号とか色々と常人から離れているが、成長力はエルフの中でも、他より優れている程度のはず。
 それに比べて勇者は圧倒的……なはずだ。でなければ俺の『流石勇者スペック』という言葉は何だったんだとなる。


 「取り敢えず今はレベルアップか。そのうちここの勇者とも会うはずだし」


 確認するのは、それからでも遅くはないはずだ。


 その間ずっとオーガキングにかけていた魔法を解いて、無限収納インベントリに収納。俺は新たな獲物を求めて迷宮内を徘徊した。







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