俺の学年が勇者として召喚されたが、俺は早速腹黒王族にマークされたようです

イミティ

クリスマスパーティー 前編

 幕間、とある冬のお話です。時事ネタにしては速すぎますが、書くことがなかったので。
 過去編というか、地球の頃の話で、刀哉目線です。微妙なタイミングの投稿ですが、仕方ない。






 冬休み。


 それは夏休みよりは短いながらも、クリスマスがあったり、元旦にはガキ〇使いや紅白歌〇戦が、正月には餅を食べたりと色々ある期間だ。
 無論学生の身である俺達は課題があるものの、人によってはさっさと終わりにしてしまうから、誤差の範囲だろう。


 ちなみに今日は12月25日で、クリスマス。


 昨日の時点で、俺達は今日『せっかくだからクリスマスパーティーやろう』と拓磨が言ったことにより、急遽クリスマスパーティーを開くこととなっていた。










 ピンポーン。


 「はいはーい」
 『俺だ刀哉ー。開けてくれー』
 「ちょい待ちー」


 インターホンが鳴ったので、俺は玄関に行く。玄関の鍵を開けて扉を開くと、樹が外に待っていた。


 「うぅ寒ッ。お前よくそんな格好でいられるな」
 「中は意外とあったかいからな。ほら入れ」
 「おぉ、お邪魔しまーす」


 随分と厚着をした樹を家へと入れる。樹は結構な頻度で遊びに来るから、中へと入るのは勝手知ったる感じだ。


 リビングに行くなりさっさとコタツの中に入る樹は、「あぁ~」と風呂に入った時のような声を漏らす。


 「大袈裟だなぁ」
 「やっぱ冬のコタツはいいよな。気持ちよくて眠くなる」
 「コタツで寝たら風邪ひくだろ。俺は知らんぞ」
 「そりゃ無いぜ。俺ってばちゃんと課題持ってきたのによ」
 「あ、マジで持ってきたんだ」


 割と冗談のつもりで、俺達は事前に樹に課題を持ってきてくれと頼んだていたのだが、本当に持ってきたらしい。


 「おい、その反応はなんだ。大急ぎで終わらせた俺が馬鹿みたいじゃないか」
 「いやいやいや、感謝してるって。ただ『は? マジで持ってきたの? うっわウケる』みたいな感じになっただけで」
 「なぁ酷くね? 酷くね!?」


 樹の叫びをスルーして、樹のバッグから数学の課題を取り出してパラパラ~っと見る。
 そして酷な一言。


 「実を言うと俺も終わってるんだよなぁ……」
 「は? え? じゃ、じゃあ俺マジで持ってきた意味ねぇの?」
 「いやいや、あと3人は分からんだろ。特に叶恵とか。やって無さそうだし」
 「あぁ……ま、叶恵さんに見せられればいいか」
 「最近お前って結構オープンだよなそういうの」
 「こんな事言うの、お前にだけだから……」
 「ごめんマジでキモイ」
 「冗談なのに」


 地味に頬を染める樹にゾワッと鳥肌が立つ。とてもじゃないが、冗談に思えないほど様になってた。


 なお、樹の叶恵スキーは今に始まったことじゃなく、俺も拓磨も美咲も概知である。まぁ、情報の共有は必要だよな。
 ただ、拓磨と美咲はあまり樹のことを応援していない。寧ろ哀れむような目で樹を見たあと、呆れた目で俺のことを見るのだ。解せぬ。


 「今日の内に少しは進展させろよ」
 「ヤメテ! プレッシャーを俺にかけないで!」


 裏声で叫ぶ樹。ヘタレめ。それだからお前は樹なんだ。


 ピンポーン。


 「あ、誰だろ」
 「叶恵さんに1票!」
 「残念、拓磨だ」
 「惜しい!」
 「何が?」


 拓磨と叶恵のどこに「惜しい」要素があったのだろうか。せめて美咲だろうよ。


 『お、おい、寒いから早く開けてくれ』
 「あ、悪い今行く」


 そんなことをしているとインターホンから今にも凍えてしまいそうなほど震えている声が。外、そんなに寒いんだ。


 ガチャっと扉を開ければ、そこには樹よりも厚着をした拓磨が居た。心なしか眉毛とまつ毛が凍っているように見える


 「そんなに寒い?」
 「寒いわ!! 刀哉、お前は何故そんな薄着で居られるんだ!?」


 言われたので、俺は改めて自分の服装を見てみる。生地が薄い長ズボンに、アンダーシャツに長袖と、七分丈の上着。
 確かに冬にしては薄着な気がする。


 「まぁほら、家ん中あったかいし? 早く入れ」
 「おぉ、お邪魔しますって、確かに温かいな。まだ温度を感じられるほど感覚が回復してないが」


 寒い中でもちゃんと挨拶。拓磨はほとんど来たことないから、少し挙動不審な様子。
 てかおい、お前の感覚死んでんじゃねぇの? 外そんなに寒い? 感覚麻痺するほど?


 「一応、左の扉がリビングだ。もう樹が居るぞ」
 「わかった」
 「温かいコタツもあるぞ」
 「神様!」


 あいつ、コタツを神様と呼びながらリビングに飛び込んだぞ。なに、コタツを崇めてるの?『ようこそコタツ教へ!』って勧誘でもするのか?
 悪いけど俺は床暖で十分だから。床暖教だから。しかも乗り換え不可です。


 「って、今の一瞬で何があった!?」


 俺が後ろから続いてリビングに戻ると、そこにはコタツから出て悶絶してる樹と、我関せずとそっぽを向いてコタツに入ってる拓磨が居た。


 「グっ……拓磨が凄いテンションで入ってきたと思ったら、思いっきりコタツにスライディングをかましてきて、中に入ってる俺の腹にクリーンヒットした所だ……」
 「違う、俺は悪くない。頭から潜ってコタツと平行になってる樹が悪い。真っ直ぐ入れよ」
 「真っ直ぐ横に入ってたじゃんか!」
 「縦に入れ!」


 取っ組み合いを始めた2人は放っておいて、現在の時刻は7:58。


 お前ら9時集合のはずなのに来るの速ぇよ。一時間前から待っちゃうタイプかよ。『待ちきれなくて早く来ちゃった』が許されるのは美少女だけだ。男はキモイだけ。


 まぁ実の所、俺もこんなに早いのに既に誰か来ないかなと待ち始めてたところだし、どっこいどっこいなんだが。


 「暇たし、恋バナしようぜ恋バナ」
 「お前、その話題を自分で出しておいて、どうせ叶恵と距離を縮めるにはどうしたらいいかという話に持っていきたいだけだろう?」
 「何故バレたし!?」


 拓磨のツッコミに驚愕して叫ぶ樹。今日はテンション高いなぁ。樹は絶対こういう企画ハメ外して楽しむタイプで、拓磨は静かながらも普段より饒舌になるタイプだな。
 ちなみに俺は心の中でのボケとツッコミが多くなるタイプだ。


 「まぁいいじゃん恋バナ。樹は置いておくとして、拓磨は誰か好きな人居るのか?」


 今日ばかりは色々と楽しんでもいいだろうと、若干お泊まり会のような雰囲気を出しつつ俺は拓磨に聞いた。


 「俺か? あー……そうだな……」
 「居ないんなら、付き合うならコイツってのでも良いぞ」


 考え込んだ拓磨にすかさず助け舟を出す樹。いや、今回の場合は助け舟というより、逃がさないという意味合いの方が強そうだが。
 というかあんまり意味変わってないぞ。


 「うむむ……美咲、とか?」
 「お? やっぱりそう行く?」
 「やっぱりってなんだ。付き合うとか結婚とかなら美咲がいいなと思っただけだ。性格は説教以外なら良いし、見た目も良いし、料理もできるし、昔から知ってるからな」
 「ほぉ~、やっぱ幼馴染みだけあってあれか?」
 「バカが、そういう訳じゃない。ただ、その、なんだ。まぁ、強いて言うならってだけだ」
 「またまたぁ、そんなこと言って本音はどうなんだ?」
 「本音も何も、今言ったのが本音であってな」


 拓磨は歯切れが悪い言い方をするが、樹はニヤニヤと、更に詰めるように聞く。


 「樹、そこら辺にしとけよ。まだ朝だ。深く踏み込むには早い」
 「いや、深くも何も、俺は今のが本音なんだが……」
 「へいへい。んじゃ代わりに刀哉の好きな人について聞かせてもらおうかな?」
 「俺か? 俺はそうだな───」


 ピンポーン


 早い! 早いな!


 「どっちだと思う?」
 「叶恵さんかな」
 「悪い、樹に聞いた俺が馬鹿だった」


 こいつは絶対叶恵しか答えん。


 「拓磨は?」
 「俺? じゃあ美咲で」
 「やっぱりな」
 「だからやっぱりってなんだ!」


 そりゃね、うん。まだ確証があるわけじゃないがちょっと押せば行っちゃうだろ。
 まぁ拓磨の場合、本当の事をそのまま言ってそうだから困るが、そんなことないのは知っている。


 「ちなみに正解は両方でした」
 「お、やっぱりか」
 「やっぱりな」
 「それが言いたいだけだろ」


 突然流行り出す『やっぱり』。何故? いや俺も乗ってたから言えないのだが。


 ただ、そう言う割には二人共コタツから出る気はないようで、またしても俺が迎えることに。いや、俺の家だから俺が迎えるのは当たり前なんだがさ。こうもだらけられるとな。


 ガチャリと扉を開ければ、そこにはマフラーと手袋をした2人の姿が。


 「よっ、おはよう」
 「おはよう刀哉君」
 「刀哉君おはよう。場所がわからなくなってた所を叶恵に見つかって、一緒に来たわ」
 「あぁ、そう言えば、美咲は何気に俺ん家来るの初めてだったか」
 「えぇ。危うく迷子になるところだったわ」
 「美咲ちゃん可愛かったよ。オドオドしててもう若干涙目で」
 「ちょっと叶恵!? 私そんなオドオドしてないわよ!!」


 と言いつつ、2人の反応を見るに、オドオドしていたのは本当のようだ。


 「ハハ。悪い、少し気を使えば良かったな。っと、立ち話もなんだ、入ってくれよ。寒いだろ?」
 「少しだけどね。マフラー持ってきて良かったよ」


 そういうと叶恵は、樹よりもこの家に良く来ているので、それはもう勝手知ったる所か我が家のように進んで行く。俺ももう見慣れたから何も言わないが。
 美咲は小さく「お邪魔します」と言って中に入る。他所の家だから緊張してるのだろうか。


 「あら?」
 「うん? あぁ、その靴は拓磨と樹のだぞ。二人共もう来てるからな」
 「いえ、それもそうなのだけど……靴、少なくない? シューズボックスに入ってるの?」
 「高校生の男子はこんなものだろ。そのシューズボックスにも6足ぐらいしか入ってないぞ」
 「……勿体ないわね」


 首を傾げる美咲だが、普通の男子高校生がどれ位靴を持ってるか知らんからなんとも言えん。運動用と出かけ用の2足で十分だろとは思うが。
 なお、玄関にあるシューズボックスには、恐らく50足は楽々入ると思うので、十分の一も使用していない現在じゃ確かに勿体ないと思う。


 「そんなことより。リビングにコタツあるから行こうぜ」
 「……そうね。他人様の家だもの。気にすることじゃないわね」


 俺は美咲を伴ってリビングに移動する。寒くなるからと閉めておいた扉を開ければ、何故かコタツの上に置かれているみかんが目に入る
 俺は置いてないから、恐らく叶恵だろうと検討を付ける。お菓子や果物がある場所は基本的に知ってるみたいだからな。


 客人に勝手に出す姿は、まさに身内であると理解できる。


 「勝手にみかん食べちゃってるけど、良かった?」
 「別に大丈夫だ。というかお前らマジでみかんの皮綺麗に剥けよ」


 叶恵に問題ない旨を伝えると共に、俺はボロボロになったみかんの皮をコタツの上に散らばらせる拓磨と樹に投げかけた。


 「いやだって、みかんって剥くの難しいじゃん?」
 「何故こう差が出るのか……やはり見えない力が働いているように見るぞ、俺は」
 「お前ら揃いも揃って不器用か」


 まぁ俺も昔はボロボロにしてたがよ。叶恵を見ろ。めっちゃ綺麗に剥いてるじゃないか
 本当に、見習って欲しいな。


 「はぁ~、刀哉君の家って広いのね」
 「そうか?」


 続いて入ってきた美咲が、リビングを見て感心したように言う。俺としては結構前からこの家なので、どうもこの大きさに慣れてしまったところがある。


 「いや、お前の家はめっちゃ広いよ」
 「俺はスルーしてたわ。目の前のコタツに気を取られすぎたな」
 「お前は一旦コタツから物理的にも思考的にも離れろよ」


 ここに来てから一歩たりともコタツから出ていない拓磨。マジでコタツ教の教祖でもやってんの? ここにいるヤツら全員勧誘するの?
 確かにこの寒さの中でコタツの素晴らしさを語って、実際にコタツを使わせれば入信者続出だろうな。


 だが俺は床暖教だからな! これは絶対だ! コタツも使うけど!


 「そう言えば、刀哉君ってこの家こんなに広くて落ち着かないってことないの?」
 「そうだなぁ、1年、いや半年ぐらいしたら慣れたからな」
 「……ちょっと待って。もしかして刀哉君って、一人暮らしなの?」
 「あれ? 言ってなかったか?」
 「言ってないわよ!」


 何故か怒鳴られる俺。解せぬ、解せぬぞ。


 「どうどう落ち着けよ。何故そんなに怒るというか驚く?」
 「いや、多分美咲の反応が普通だと思う。というか俺も最初そんな感じだったし」
 「この広さの家で一人暮らし? 刀哉、冗談で言っているのか?」
 「いやいやマジだって。まぁでも1人で居ることは少ないなぁ。大体誰かしらが居るし」
 「それって叶恵のこと?」
 「それもだが、あと妹だ。だいたい毎日来るから」


 俺の言葉に、美咲と拓磨が動きを止める。まるでギギギッと音を鳴らすような動作で、2人は叶恵と樹へ視線を向ける。


 「……あー、その、本当らしい」
 「うん。結構な頻度で来るよ」
 「……可愛い?」
 「すんごく可愛い!」


 黙っていられなかったのか、2人は喋ってしまう。いや、別に言われて困るようなことはないんだが、こう、何となく隠しておいた方が良かったなと、今更ながら思う。


 「と言っても俺は刀哉の妹は見たことないんだけどな。いるってのと凄い可愛いってのを聞いてるだけ」
 「俺はそもそも刀哉に妹が居るのが初耳なんだが?」
 「右に同じくよ」
 「そりゃ、言ってないんだからそうじゃないか?」


 俺の正論に、「それはそうだが」と拓磨は黙り込み、美咲は複雑そうな顔をする。
 誰も俺にそんなこと聞いてこなかったし、俺から言うことでもない。それに、普段樹が来る時は予め妹の方に言ってあるからな。会わないのも仕方ない。


 「……じゃあ、刀哉君の妹についてはまた後で聞くとして」
 「もう掘り返すな」
 「この家はなに? まさかご両親がこんな広い家を一人暮らしの息子のために買ったの?」


 俺の言葉を無視した美咲は「そんな訳ないわよね?」と俺に顔を向ける。俺もそれには流石に頷く。


 「流石にそれは無いって。親にこんな家を買わせるとか、そんな鬼畜じゃないぞ俺は」
 「じゃあ結局どういう事なの? 普通一人暮らしと言ったらアパートとかだし」
 「宝くじ当たったからな。そのお金で買った」


 ピシッ、と、俺はこの時確かに、この場の空気にヒビが入る音を聞いた。
 唯一そんな中でも事情を知ってる叶恵だけは、のほほんとみかんを食べていたが。


 「じょ、冗談だと思って聞くが、いくらだ?」
 「10億円が2回と、3億が1回。ちなみにその後出禁になった」
 「「「!?」」」


 ピシピシッ!


 また空気にヒビが入る音が聞こえた気がする。心無しか、先程よりも音が大きい。


 う~ん、あれだ。普通に考えたら驚くよな普通。ちょっと興奮から注意力が減ってるのかな。発言が不用意すぎる。
 でも反応見てるとちょっと面白い。


 「こ、この家はいくらしたんだ?」
 「土地代1500万ぐらいで、建築に5900万円ぐらいだったか」
 「「「!!??」」」


 ピシピシピシッ!!


 俺的にはどっちかっていうと、想像出来ないから思考放棄で話は終わりっていう展開を予想したんだが、以外にも3人は更に聞いてくる。


 「ち、ちなみに余ったお金はどうしたの?」
 「6億は親に譲って、残りは貯金してる」
 「「「!!!???」」」


 パリンッ!! と確実に何かが割れた音がする。幸いにもこの家では割れ物は基本何かの中に閉まってあるので、おそらく空気の音だろう。


 いや、空気が割れるって、音響兵器か何か? 幻覚か、亀裂が見えるんだが。


 「……と、刀哉君? ちょっと私には何言ってるかわからないわ」
 「宝くじが3回当たる……どんな天文学的確率だよ……」
 「というか、余ったお金6億も親に分けるとか、お人好しの塊かよ……」
 「あ、私の家にお父さん用の車一台買ってくれたよ? 5000万のやつ」
 「「「お人好し過ぎるだろ(わよ)!?」」」
 「叶恵、ややこしくなるから言うな」


 混乱を招くと思って、敢えて残りは貯金したと言ったのに……俺だってやりすぎている事の自覚はあるのだから。


 「親には親孝行だと思って渡した。結局ほとんど使ってないみたいだけどな。叶恵の家には日頃からお世話になってるからだ」
 「金光かなみちゃんには確か服とかゲーム買ってたよね」
 「今度は誰!?」
 「刀哉君の妹だよ」
 「シスコンかよ!!」


 樹の叫びに俺は目を逸らした。
 認めたくはないが、そうなのかもしれないと自覚あるからな。


 「あぁ! 後クーファちゃんにも服とか買ってあげてたっけ。30着ぐらい」
 「まだ居るのかよ!? ホントに誰!?」
 「刀哉君の妹だよ」
 「いや明らかに外国人名よね!? それとも2人も妹がいる方につっこんだ方がいいのかしら!?」
 「うん叶恵、少しおくちチャックだ」


 「黙ろうか」は口が悪いから、何となく優し言い方にしたら、どう考えても小学生に先生がいう言葉ですねはい。
 でもマジでややこしくなるからこれ以上喋らないでほしい。


 取り敢えず、場を収めるために、掻い摘んで説明。


 「クーファは、親父と、2人目の母さんの間に生まれたハーフの女の子だ。金光と俺は、1人目の母さんから生まれた子だ。まぁ、俺の家庭は少し特殊なんだよ」


 俺の言葉に、水を打ったように今度は沈黙が訪れる。こんな時に話すことじゃないだろうが、場を収めるためには必要な発言だった。


 というか、こいつら相手にそんな発言をすればどうなるかは目に見えている。だからこそ、あえて説明したのだが。
 恐らく、都合のいいように誤解〃〃してくれることだろう。


 「……その、ごめんなさい。少し頭に血が上ってたわ」
 「……その、俺も悪い。少し意味不明なことが続いてたから、正常な判断ができなかった」
 「少し聞きすぎたな……」
 「いや、別に気にせんでいい。俺の方こそ、不用意な発言は控えるべきだったな。お互い様だ」


 ……気まずい雰囲気が流れる。
 この後は、更なるカミングアウトで驚かせるか、それとなく話題を流すか。


 「あれ? でも刀哉君のお母さんって二人とも居るよね? 確か片方のお母さんが刀哉君と金光ちゃんのお母さんで、もう片方がクーファちゃんのお母さんだった気が───」
 「叶恵シャラップ!」


 遮るのが遅かったか!
 俺は三人の方に顔を向ける。誰も彼もが、恐らく宝くじよりも驚愕したのではないか。


 「刀哉、1度家族構成を洗いざらい吐こうか?」
 「家族構成だけじゃなく、交友関係も調べるべきだろう」
 「二人の妹にも会ってみたいわ。そして刀哉君についてよく聞きましょう」


 どうやら驚愕を上回る速度で怒りとかが勝ったようだ。
 取り敢えず、気まずい雰囲気は去った……のか? 俺が望まぬ方向で。


 「金光ちゃんもクーファちゃんも、刀哉君のこと大好き〃〃〃だと思うよ?」


 うん、良いんだよ、さっきの雰囲気が去ったのなら。だがよ、一つ言わせてくれ……。


 「頼むから叶恵はもう喋らんでくれ!!」


 俺の叫びは、聞き届けられただろうか。


 純真無垢で、天然な叶恵が、俺に向けて首を傾げた。







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