朝の来ない異世界と七大魔法剣士(マジックナイト)
エルフの町を守れ②
レミナ&ミリーネサイド
「カイト先に行っちゃったけど大丈夫かな?」
「きっと大丈夫ですよ、あんな凄いポーションを作れる人なんですから!そうぽっくり死ぬような人では無いと思うよ」
そう言ったミリーネが少し笑いを浮かべた。
「どうしたの?」
「いや、レミナが羨ましいなーって」
私が羨ましいか....どうしてそう思うのか気になるかも。
「だってカイトってレミナの彼氏さんでしょ?」
「うん」
「カイトはレミナを凄く大切にしていて、レミナもカイトを凄く大切にしているからさ、私もそんな人に出会えたら良いなぁーって思っただけ。」
「きっとミリーネも会えるよ!!だからそんな人に出会えたら教えてね?」
「はーい」
ミリーネの彼氏が出来るとしたらどんな人なんだろう?結構楽しみ。
そんなことを思って歩いていると、不意にミリーネが足を止めた。
「ねぇレミナ、あれ見て」
そういって指さした方向を見ると、ダークウルフが十匹程群がっていた。
「私が魔法であれの動きを縛るから、その間に倒せる?」
動きを縛る魔法を覚えてるんだ....ミリーネって何をしても凄く万能じゃん!ミリーネの方こそ羨ましいなぁー。
「任せて!」
「じゃあ行くよ!」
「闇の束縛よ、今こそ動きを拘束する時!ダークバインド!」
杖を真下に突き刺し、その杖から影が現れて、ダークウルフ達の動きを止めた。
「レミナ、お願い!」
「うん!」
私は鞘から剣を抜いて、ダークウルフに向かった。
ダークウルフの周りを剣で地面を突き刺しながら魔法陣を描き、魔法陣が完成する。
描いた魔法陣に剣を突き刺し、魔法を詠唱する。
「炎獄の神々よ、敵を燃やし尽くせ!フレア!」
描いた魔法陣が真っ赤に染まった瞬間、炎がダークウルフを包み込み、燃やし尽くした。
「ミリーネ!倒したよ!」
「やったねレミ......ナ.....レミナ逃げて!!」
ミリーネの焦りが混じった声が聞こえた。
「え?」
私が後ろを振り向いた時にはもう剣が腹部を貫通していた。剣を刺したのはエルフの女の人だった。
「ッッ!」
その瞬間に激痛が体中を巡った。お腹に手をやると、血が止まらずに溢れていた。
「ミリーネ....助け...て」
私はミリーネの元へよろよろしながらも向かい、その途中で意識が朦朧としていき、倒れ込んでしまう。
「カイ....ト.....ごめ....ん......ね」
「レミナ?ねぇレミナ?いやぁぁぁぁぁーーーーーー!!」
ミリーネのその声はかなり遠くまで響くほどの声だった。
楽しい旅が始まるはずだったが、それは理想郷に過ぎなかったのだろうか?ミリーネの声からそんなことが伝わった。
シェゼル&サチカサイド
「ねぇシェゼル、あそこにいるのって魔物かしら?」
前方に浮遊している花びらの魔物?みたいなのがいる。しかも結構いるわね。
「あぁ、そうだな」
「先に私が出るから、援護は任せたわよ」
シェゼルが頷いたのを確認して、私は浮遊している花に剣を向けて走った。
「雷光・五月雨斬り!!」
剣先から雷が放たれ、その雷が一瞬にして細かく分裂し、浮遊している花に命中する。
命中した花は落下して倒したことが分かった。けれど、倒しきれて無かったらしく、体勢を立て直す。
体勢を立て直す意味が無いと告げるかのように、シェゼルの弓が浮遊している残りの花を貫いた。
「やるわね!流石狩人さんだわ!」
そう言うと、シェゼルが狩人では無いと言いながら背伸びをした。
次なる魔物を探して歩いている時だった、「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」とミリーネの悲鳴が聞こえた。
「シェゼル、今のって!」
お互いに目が合い、嫌な予感がしてとてつもない寒気が私達を襲った。
「ミリーネだ!急ぐぞ!」
もし、私が考えてる事がそのまま当たったなら、二人は誰かに襲われている事が考えられる。
「無事でいなさいよ!レミナ、ミリーネ!」
声の聞こえる方へ私達は走って行った。
カイトサイド
「魔物が全然出て来ないじゃん!」
周りを見渡しても暗いため微妙に魔物が居るかどうかが分からない。
こんな時にレミナが居たらなぁー、レミナの魔法の便利さが十分に伝わった。
どうせ居ないだろ?そんな結論が出た所で左に木が見えたので魔法銃で魔物が居ないストレスを発散させる八つ当たりをした。
「シギャァァァ!!」
魔法銃で撃った場所から、まるで魔物の悲鳴みたいなのが聞こえた。
「ん?」
「木って喋ったっけ?」
一般論からして木は喋るわけが無い!てなると、丁度魔物が居たと考えるのがベストな答えだと思う。
さっきの悲鳴が魔物と確信した俺は魔法銃を構え、木を一点集中するかのようにじっくりと見る。
じっくりと見たからか、よーく見たら何かの影がこっちに近付いて居ることが分かる。
その正体は真っ黄色なトカゲだった。仮に日本にいるトカゲと比べると、その差は一目瞭然。こんなの日本に居たら死人が出てるかも知れないレベルの大きさだ。
俺は氷魔法を左にある魔法銃に纏わせ、その纏わせた魔法銃でトカゲの居る地面の下を狙って引き金を引いた。
「ヨイショ!」
地面に着弾すると同時に地面が凍りトカゲの動きを固める、銃弾が地面に当たって跳ね返り、黄色いトカゲに当たる。
これぞ、一石二鳥!動きも封じられて、ダメージも与えられる!得しかしない。
完璧に氷で固まったトカゲにとどめを刺すように右の魔法銃に炎属性を纏わせる。
「ごめんね、トカゲは嫌いじゃ無いけどエルフの人達のためなんだ。」
引き金を引き、トカゲに着弾する。着弾と同時に氷を溶かしながらトカゲに着火した。
「ふぅ、流石に疲れるな」
ため息をしつつも、魔物を倒す事で平和に暮らせるエルフの人達を想像すると、もっと頑張らなきゃって思う。
でも複雑だな、この世は。魔物からして見ても生きるため何だろうな、魔物もそんなことを思ってるのかな?そんなわけ無いか。
メラメラと燃えるトカゲを後にして、魔物を探している時、「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」とそんな声が聞こえた。
その声はミリーネの声だとすぐに把握する事が出来たが、それがどういう意味がもたらすのかも理解した。
「レミナとミリーネが危ない!」
猛ダッシュで声の聞こえた方向へ向かった。
その頃ミリーネは、近付いて来る黒いマントを身につけたエルフの足止めをして、時間を稼ぐ事しか出来なかった。
「何でこんなことするの?フィリス!!」
その質問にフィリスは一切答えず、ただただ攻撃を仕掛ける事しかしない。
「大丈夫かー?ミリーネ?」
ミリーネの元へようやく着き、ミリーネが無事だったことが分かり安心した。けれども、レミナの姿が見えない。
「レミナ見つ....けた......なんで?何でレミナが血だらけで倒れてるんだよ!」
ようやく見つけたレミナの姿は真っ赤に染まっており、その姿に怒りが芽生えてくる。
「ミリーネ、このポーションをレミナに飲ませて!」
「は、はい」
ミリーネはレミナの元に行き、ポーションを飲ませて傷がどんどん癒えていった。
俺はエルフに近付き、質問をした。
「お前がフィリスか?」
その質問に一切答えないフィリスを見て、怒りが爆発した。
「お前だけは絶対に許さない!分かったな、フィリス!!」
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