朝の来ない異世界と七大魔法剣士(マジックナイト)

七瀬はやと

少しの休憩と新事実!

レミナの家に着くのが楽しみなのと異性の家に行くのは初めてのため緊張する。

レミナが俺の様子に気付いたのか、声を掛けてくれる。


「どうしたの?そんなに緊張して..」


「いや.....異性の家に行くのは初めてだから...あまり慣れなくって」


「大丈夫だよ!最初は慣れないかもしれないけど...すぐに慣れるから!」


そんなレミナの優しい言葉が緊張を少しだけほぐしてくれる。

「ありがとう!少しは緊張がほぐれた気がする。」

「それは良かったです。」

前を歩いていたレミナが俺の方を振り返って笑った。



可愛すぎ.....性格が良くて、可愛いのはズルすぎる...

好きとしか言ってなかったから、まだ彼女にはなってないんだよね.....


そう思った俺はレミナに自分の思いを伝えた。

「レミナ....俺の彼女になってくれないか?」


「え?」

驚いた顔をしてこっちを見てくる。

唐突すぎたかな?



「カイトは何言ってるの?もう私は貴方の彼女ですよ?」


「そうなの?」


確かにずっと一緒にいたいとは言ったけど....それって俺の彼女になって下さいって言ったようなもんなのかな?


「そうですよ!」


「そっか....変な事言ってごめんね。」


「大丈夫だよ。何なら手を繋いでも良いんだよ?」


レミナと....手を繋ぐ....これは夢だろうか..


「うん...じゃあ繋ぐか....」

俺の手をレミナの手にゆっくりと近づけて
手を繋いだ。

レミナの手は柔らかく、隣にレミナがいることを考えると緊張が蘇ってくる。


「これ...結構恥ずかしいね...カイト...」


「そう...だね...」


レミナと手を繋いでレミナの家に向かっていると町の人の視線が明らかにこっちを向いているのに気づく。

別にカップルって珍しく無いと思うけど..。



少し歩いて、レミナの家の近くまで来たことと恥ずかしいため、俺達は手を繋ぐのをやめた。









手を繋ぐのをやめてから数十秒ほどでレミナの家に着いた。


「ここがレミナの家?」


目の前にあったのは家って言うか....豪邸?


「はい!これが私の家です」


「え?ここに一人で住んでるの?」


「一人じゃないよ!私と私の妹とメイドが二人と親の執事の人がいるよ。」

普通の家庭では絶対にありえないだろ....


「まさか!!レミナって貴族なの?」


「前は貴族.....だった...よ。今はお父さんが買ったこの家が残ってるだけだから...一般の人達と同じだと思うけど....」


貴族だったんだ.....通りで初めて会ったときに紳士的だと思ってたんだよな。


「そっか」


「因みに私の家の中にはかなり広い温泉があるんだよ。カイトもこれからじゃんじゃん使ってね。」
温泉か.....疲労回復に適してそうだな。


「じゃあお言葉に甘えようかな」

そう言えば風呂に入って無かったな。宿に風呂が無かっただけなんだけどね。

そう言って家の中に入るとメイドと執事の人が出迎えてくれた。

「「お帰りなさいませ、レミナ様!」」

「お帰りなさいレミナ様」

「ただいま!リゼル、シーゼル、フォルド!」
様....か、あまり見慣れない光景に戸惑ってしまう。

メイドは二人とも女性でかなり似ている。もしかしたら双子なのかもしれないと疑ってしまうほどだ。

執事の人はかなり優しそうな目をしているお爺ちゃんだ。俺のお爺ちゃんに少し似ていたから何か安心するな。


「レミナ様!この方がレミナ様の言っていた方ですか?」
メイドの一人がレミナに質問する。

「そうだよ!」

「あ!えーと自己紹介が遅れました。アマミヤカイトです、これからよろしくお願いします」

メイドさんと執事さんに頭を下げた。

「こちらこそ自己紹介が遅れてしまいました。私の名前はリゼル・シアリーゼと申します。隣にいるのが私の妹のシーゼル・シアリーゼです。」


「よろしくお願いします。」


えーとどっちがリゼルでどっちがシーゼルなんだ?似すぎて全く分からん。

「こちらこそよろしくお願いします。」

そう言ってメイドさん達に頭を下げる。

次は執事さんが自己紹介をしてくれた。


「私の名前はフォルド・レクサスと申します。レミナ様の父様と母様が亡くなられてから、お二人様の変わりとしてこの家を守ってきました。」

「私が出来る事は家事やレミナ様達の相談を聞くことと何かの準備などを手伝わせて頂く事ぐらいしか出来ませんがよろしくお願いします。」

フォルドさん....それはもう充分凄いことをしてると思うよ!

「はい!こちらこそよろしくお願いします。」

そう言って執事さんに頭を下げた。

頭を下げた後にリゼルかシーゼルのどっちかは分からないがレミナに質問する。

「単刀直入に申しますが、カイト様とレミナ様は恋人同士なのですか?」

それってこの場で聞くの?恥ずかしいから逃げ出そうかな。


「そうだよリゼル!前に助けてくれた時からずっとステキな方だと思っていたし、私はカイトの事が大好きです。」


レミナ....嬉しいけど凄く恥ずかしいから二人だけの時に言って欲しかったな。


「なる程!...カイト様!」

「え?あ、はい!」


「これからもどうかレミナ様を守ってあげて下さい。レミナ様は私達にとってとても大切な方なんです。」

皆にとっても大切な存在か.....羨ましい。これからもお互いに守り合わないとな!てか本当に双子だろ!

「それにレミナ様をしっかりと守って下さったカイト様でしたら、きっとレミナ様を幸せに出来ると思います。」


「はい!絶対にレミナを守ります!レミナは俺の大切な人です、命の恩人でもあります。レミナを必ず幸せにする、それは俺がこれから過ごして行く中での一番の目標です!」


お互いに守り合おう!って言ったはずなんだけど俺は絶対にレミナを守りますって言っちゃったけど大丈夫だよね....


そう思い、恐る恐るレミナを見ると嬉しそうな顔をしていたので安心した。

「カイト.....大好きだよ..」
レミナが小さい声で独り言を言っている。

「え?何か言った?」


「ううん、何でも無いよ」

「そう?」


「そう!」

何かありそうだが....無理に聞くと逆効果だな。

そんなことを思っていると向こうから階段を下りる音が聞こえてくる。


「あ!お姉ちゃん!お帰り!」

目の前に出てきたのはレミナと同じ髪の色をしている女の子だった。


これがレミナの妹.....似ているけど..リゼル達程ではないな。


「ただいま!ステラ!」



「ステラ!カイトに自己紹介して。」

そう言われたステラは俺をじっくりと見つめてくる。

何か悪い事をしちゃったかな?あまりに俺を見てくるため心配になる。


「この人がお姉ちゃんの言ってた人....か、格好いいじゃん!」


「わ、私の名前はステラ・フォルシアです。お姉ちゃんから話は聞いています。これからもよろしくお願いします。」


「うん!宜しくね!俺はアマミヤカイトです。こちらこそよろしくお願いします。」



「ステラは私の一個下なんですよ!気軽に接してあげてくださいね!」


一個下....今思えばレミナって何歳なんだ?


「ねぇ、レミナって何歳なの?」


「17歳ですけど....言ってませんでしたっけ?」


良かったー同い年で...てことはステラは16歳になるのか。

「うん!」


「そうでしたか....」


「カイトも17歳ですよね?」


「うん!レミナと同い年だよ!」

「良かったー」

同い年で安心したのかホッとしている。


「ではカイト様のお部屋にお連れ致しますね。」


お部屋!!良いのかな?何か凄く申し訳ないんだけど...


「レミナ、部屋も借りちゃって良いの?」


「はい!大丈夫です!カイトさんは今日からここで過ごすんですよ?この家にはたくさんの部屋があるので気にしないで下さい。」


「うん...」


気にしないでって言われても気にするよね...まぁレミナがそう言うなら...お言葉に甘える事しか出来なく、そんな自分が情けない。


俺はフォルドさんに部屋まで案内して貰った。


階段を上がり、たくさんある部屋の中心が俺の部屋らしい。


「ここになります。」

フォルドさんがその部屋のドアを開けるとその部屋は宿の部屋より広かった。


ベッドが二つあり、クローゼットなど宿には無かったものがある。


「クローゼットの中にはカイト様の部屋着を入れておきましたので良かったら使って下さい。」


レミナの家の人達は凄く親切だ。親切すぎて本当に泣きそう。


「何から何まで本当にすみません。ありがとうございます。」



「いえいえ、気に為さらないで下さい。そう言えば温泉の湯が沸いたと思いますので宜しければ入られてはいかがでしょうか?」

温泉!!マジで風呂に入りたいです。



「はい!そうします。」


「では私はここにいますので、用意が出来たら教えて下さい。温泉のある場所まで案内します。」

「はい!」


そう言って部屋に入り、クローゼットを開けると部屋着やタオル、パンツまであった。


パンツまであるんだ....。

俺は必要になりそうな物だけを取って、フォルドさんの元へ向かった。

「フォルドさん準備出来ました。」

「はい。では温泉まで案内します。」


「お願いします。」


さっき上がった階段を下り、一番奥の部屋に向かうと湯のれんが掛かっている部屋が見える。



湯のれん......?この世界は俺のいた世界と同じ部分が結構あるんだな。


でも、その湯のれんには男とも女とも書いてなかったのが少し気になるんだが....


「カイト様、ここになります。」


「私はカイト様達のお料理を作らないといけませんのでここで失礼します。」


「ありがとうございます。フォルドさん。」



「はい!ごゆっくりして下され。」


「そうします!」


フォルドさんにそう言った後、温泉のある部屋に入った。



服を全て脱ぎ、タオルを腰に巻いて、温泉のある扉を開けた。


「広ーい!」


あまりの温泉の広さに子供のようにはしゃいでしまった。周りを見渡すとシャワーがあるのに気付き、ある疑問が頭によぎった。


「この世界にはガスは無いんじゃなかったけ?」


その疑問が気になり、シャワーの元へ向かった。


風呂椅子に座って、シャワーをよーく見ると注意事項が書いてあった。


『MPを10消費します。』


は?ガスがない分、MPを取るのかよ。


「とりあえず体を洗うか。」


シャワーを使って、体の隅々まで汚れを落とした。どうやらMPは勝手に取られるらしい。


体を洗い終えたのでそろそろ湯に浸かるか。


「はぁぁぁ、生き返るー。」

温かい湯が体全身を包み、この世界に来てからの疲労が回復する。

久しぶりの温泉を満喫していたら、ここに入るためのドアが開く音がした。


「失礼します。」

それはレミナだった。嫌な予感は何となくしていたがやはりそうなるか。



「レ、レミナ!!何やってるの?俺入ってるよ?」


タオルをしっかりと巻いていたのでまだ良い方だ。


「カイトが入ってるのは知ってるよ?私はカイト一緒に入りたかっただけだよ?」


可愛すぎです!『やはりレミナは可愛かった!』って小説作れる位可愛い。


「よし!一緒に入るか!」


「カイトも私と一緒に入りたかったんでしょ?」



「そりゃぁー大好きな彼女とは風呂に入りたいでしょ!」


「う...うん!」

自分から言ったのに照れてるのか....『レミナはやはり面白い』って言う小説もありだな。


「体洗ったらそっちに行くね!」


そう言ってレミナがシャワーを使って体を洗い始めた。


暇だ。

そう思っていると突然ステータスウィンドウが喋り出した。

「アイテムボックス、錬金スキルが使えるようになりました。」

前から使え無かったのかよ!

てかアイテムボックスはどうやって使うんだ?

少しいじっているとステータスウィンドウに似ている物を開く事が出来るようになったらしい。


アイテムボックスを見ると獲得したことの無いアイテムがたくさんあった。

【アイテム一覧】

【ブルークリスタル×99】

【フラワーイーターの小麦×99】

【レッドクリスタル×99】

【エレメントメタル×99】

【ブラッドハニーのハチミツ×99】

などなど。

他にも後100個位のアイテムがあり、状況が全く把握出来ない。

イリエルの仕業だな!嬉しいけどチート過ぎても困るんだが...



錬金は確か....自分が想像している物を素材さえあれば作れるんだっけ?

俺はアイスクリーム(コーンの奴)を想像する......

しっかりとあのミニ◯トップのコーンのアイスクリームを形の隅々まで想像していると、錬金に成功したのか....手にはあのミニ◯トップのアイスクリームがあった。


タイミング良くレミナが体を洗い終わり、俺の隣に入った。


「ふわぁぁ癒えるよー。」

レミナにこのアイスクリームの味を知って貰うか。

「レミナ!あーん」


「え?あーん」

レミナにアイスクリームを食べさせる。
ミニ◯トップのアイスクリームだから美味しいと思うんだが....


「うん!美味しい!!初めて食べたけどこれは何?」



「俺のいた世界の奴なんだけど、アイスクリームって言うんだ!美味しいでしょ?」


「うん!凄く美味しい!でも、どうやって作ったの?」


「錬金スキルってのがあるんだけど、自分の想像している物を素材さえあれば作れるんだよ!」


「そんな事出来るんだね!カイト!それ食べたいんだけど良い?」


「良いけど....溶ける前に早く食べてね!」


「うん!」

そう言ってレミナにアイスクリームを渡した。

今度またレミナに何か作ってあげるか。

目線がたまたまこの温泉の天井の窓にいき、
真っ暗な空が見えた。

そんな暗い空を見て、朝ってどうやって来ないようにしてるのか気になり、レミナに質問する。

「そう言えばレミナ、朝ってどうやって来ないようにしたか分かる?」


「実際には朝は来てますよ!」

「え?」


レミナは何を言ってるんだ?

「魔王は朝が来たかすら分からない程の分厚い真っ黒な結界を張ったんです。なので、皆は朝も来てないのも同然と判断したため朝の来ない世界って言ってるんだよ」


あれで、朝が来ていた?どんだけ分厚い結界なんだ!!


そう思ってしまうほど驚く新事実だった。

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