朝の来ない異世界と七大魔法剣士(マジックナイト)

七瀬はやと

激戦!!

「嘘....でしょ?」


サチカが驚きながら固まっている。


「レオクス.....残虐の魔物使いレオクスで間違い無いわね?」

「私はそんな呼ばれ方をされていましたか。残虐.....私にぴったりですね。では私は残虐の魔物使いレオクスとしておきましょう。」

え?認めるんだ。良いあだ名が出来て良かったな残虐さん。



「こんな自己紹介をするためにここに来たわけではありませんよ。私が用のあるのは貴方です。」

そう言って俺を見てくる。


はぁ?俺は残虐さんには用無いんだけど。


「俺に何の用があるんだ?」


「魔王様は貴方に恨みがあるらしく、ずっと貴方の名前を言ってるんです。なので貴方が死ねば魔王様は貴方を気にせずに生きれるので貴方はここで死んで貰います。」

この人もう一回結論を考えた方が良いんじゃないか?圧倒的に俺無罪じゃん。魔王様に任せれば良くね。

そう言って残虐さんは魔法陣を地面に描き始めた。



てか魔王が俺を恨んでる?もう意味分からん。
何故俺がそれで死なないといけないんだか。こいつら本当に良い性格してるな。


「さぁ私の忠実なる魔物達よ!出てきなさい!」
描いた魔法陣からさっき倒したダークゴブリンがうようよと出てくる。

「これを倒したらこの森の奥に来ると良いですよ、楽しい物を見せてあげましょう!」
そう言って残虐さんは森の奥に入っていった。
「おい、待て!」

追い掛けようとしたがダークゴブリンが邪魔で先に進むことが出来なかった。

こいつらを倒さないと通れないって訳か。

「レミナ、サチカ、行くよ!」


「「うん。」」

召喚したダークゴブリンの数は20匹位かな?
地獄の火炎(ヘルフレア)で結構削れそうだな。


「半分は俺がやるから、残りの半分は二人に任したよ。」

「分かった。」

「うん」


二手に分かれた後にダークゴブリンにライトソードとフレアソードを投げつける。


投げた二つの剣はダークゴブリンの体に突き刺さる。

グギャァァァッッ

固まっていたダークゴブリン達が一斉に襲い掛かってくる。

そんなたくさんで来てくれるとはありがたい。
「ブリザードッ!!」

8匹のダークゴブリンを氷で動けなくする事に成功した。


「さようならっ!地獄の火炎(ヘルフレア)!」

右手から出た炎が氷で固めていたダークゴブリン達を包んで火柱をあげ、その火柱が大爆発する。


爆発後にダークゴブリン達がいた場所を見たが何も残らず燃やし尽くしたらしい。

俺は予定通りにダークゴブリンを10匹倒した。

二人は良い感じに頑張ってるかな?そう思ってレミナ達を見ると残りのダークゴブリン達と戦っているレミナ達はダークゴブリン達を圧倒していた。


「貫けッ!!ホーリーディアンダル!!」
サチカの剣先から鋭く無数の刃がダークゴブリン達をを貫く。


「レミナッ!」

「うん!」
「ダークフレイムレイッ!!」

レミナの体の周りに黒い炎が無数に集まって、一斉にダークゴブリン達に向かって放たれた。

放たれた無数の黒い炎はダークゴブリン達を燃やした。


しかしまだ生きていたダークゴブリンがいたらしく、レミナに向けて棍棒を投げてくる。

「はぁぁぁッッ!」

それに気付いたサチカがレミナに当たりそうだった棍棒を切り落とした。

「やぁぁッ!」

レミナは棍棒を無くしたダークゴブリンにすかさず斬り付けた。


「ありがとねサチカ!」

「ナイス判断じゃない!レミナ!」

「二人とも良いコンビネーションだったね。」

「ありがと。カイト。」
「まぁ、レミナとは小さいときの仲だから考えてる事は何となく分かるのよ。」

羨ましいな。俺も直也とは長い仲だけど、あいつの考えてることは全く分からない。

「凄いな!例えそうだとしても俺は絶対に分からないな。」


「そうかしら?何でも良いけどレオクスを追い掛けるんじゃないの?」

すっかり忘れていた。残虐さんを追い掛けるためにダークゴブリン達を倒したのに討伐メインを忘れるとは....


ん?待てよ。残虐さんは奥で待っていますとか言ってたけど、あっちから来ないならギルドに戻っても良いんじゃね。


「ねぇお二人さん、俺達のメインはダークゴブリンを20匹倒すことでしょ?あの残虐さんは無視しちゃダメなの?」



「ダメ!」


サチカが即答してくる。とりあえず理由を聞くか。


「何故?」


「あいつを放っておいたら何をするか分かったもんじゃ無いでしょ?倒しとくべきだと私は思うわ。」


倒せる前提の仮定話ですか....もしかしたら魔王よりも強いかもしれないよ?残虐さん。

まぁ何言ってもサチカは聞く耳持たなそうだし残虐さんを追い掛けるか。


「じゃあ追い掛けるか。」


そう言って残虐さんが入っていった森の奥に進んだ。








倒木を飛び越えて道を遮る木々を避けながら森の奥に進むと変な気配がした。強者の威圧感....町でSランクの冒険者を見たときに感じた物とかなり似ていた。



恐る恐る先に進むとそこにはかなり大きく、見たことの無い赤いドラゴンと灰色のゴーレムがいた。

「あのドラゴンとあのゴーレムは確か....」

サチカが独り言を言っているが全く聞こえなかった。

「ようやく来ましたか。暇すぎてパルミーネの町を破壊しに行くところでしたよ。そうそうカイトさん、昨夜は良く眠れましたか?」

昨夜?俺が一番辛かったあの夢を見た事か...



「お前があの首飾りを付けたのか?」

「ご明察。結構似合ってましたよ。」
あんな残酷な夢を見さしておいて、こいつはへらへら笑っている。

「黙れ!」
その態度に腹が立ってつい怒ってしまった。


「あの時に殺しておけば良かったですよー。その前に貴方を苦しめて、苦しめた後の絶望した顔を見たときにはどれ程笑ったか。」



ふざけるなよ!!俺は苦しかったんだ!それを.....笑うなんて....絶対に許さない。

「あ!そう言えば私は戦う事には向いていないので、貴方たちのうちの一人を毒状態にして動けなくしますか。」

そう言って左手を俺達に向けてくる。
「ポイズンッ!」


紫色で丸い毒の魔法を打ってきた。


俺の方に向かって飛んで来たため避けようとすると急にその魔法は方向転換してレミナに向かって加速した。


「レミナッ!!逃げろっ!」

そう言ったのが聞こえたのか、レミナはその魔法を避ける事が出来た。

だが、その魔法はレミナをしつこく追い掛け続ける。避けるのに夢中のレミナは下を見ておらず、落ちていた少し大きな石に躓いて倒れてしまう。
「ッッ!」しつこい毒魔法は倒れたレミナに向かって一直線に向かってくる。

「炎盾の守り(フレアシールド)!」
当たりそうだった毒魔法を炎を纏った盾で防ぐ。

しかし、毒は盾を突き破りレミナに直撃する。


「きゃぁぁっ」
「「レミナッ!!」」

俺とサチカは急いでレミナの元へ向かう。


「カイト.....苦し...いよ。助け..て。ゴホッゴホッ」


レミナの顔が真っ青になっている。確か俺は状態異常を治す呪文を覚えていたはずだ。

俺はレミナの手を繋いで呪文を唱えた。
「ケスト!」
優しい光がレミナを包み込み、レミナの顔色が良くなる。


あいつだけは絶対に許さない!!

「サチカ...レミナは時期に良くなると思うから少し見といてくれるかな?」


「まさか貴方一人であのSランクの敵を2体同時に相手にするの?流石に無理だわ。私も手伝うわよ。」


「お願いサチカ....あいつらを俺に倒させてくれ....」


「分かったわよ。でも、無理そうだったら私も手伝うから。」


「ありがとうサチカ。」

サチカにそう言った後に鞘から剣を出して構えた。


今までに使っていないスキルを使うか。


「絶・身体能力強化!」


これは以前覚えたスキルだが、使ったときにHPの30%を奪われてしまう代わりに全ステータスを3倍にするという凄いスキルだ。

一瞬体全身に激痛が走ったがすぐに治った後、全身が異常な程に軽くなった。

「瞬速の七連撃!」
多分このスキルは俺にしか出来ないはずだ。

赤いドラゴンを先に倒すか。


軽く走ったつもりだったが一瞬にして赤いドラゴンの背後に回って斬り付ける。


「一に氷の力!」
剣に氷属性を纏わせて赤いドラゴンの体に縦に斬り込みを入れる。斬り込みを入れた部分が凍る。

「二に風の力!」

剣に風属性を纏わせて赤いドラゴンの体を横に斬り込みを入れる。鎌鼬のごとく、鋭い刃が赤いドラゴンの体を駆け巡る。


「三に炎の力!」
剣に炎属性を纏わせて斬り付けていた場所に剣を刺し、上に切り上げた。切り上げた場所から炎が燃え上がりドラゴンを燃やす。

バタンッ

切り上げた後に赤いドラゴンが倒れた事を確認する。赤いドラゴンを倒すことに成功した。

次はゴーレムだな。
倒した赤いドラゴンを踏み台にして、ゴーレムに向かって飛び込んだ。

「四に水の力!」
剣に水属性を纏わせてそのまま剣をゴーレムに向けて突っ込んだ。
剣はゴーレムの体を貫通した。剣を再びゴーレムに向けて構える。

「五に土の力!」
剣に土属性を纏わせて真横に斬り付ける。
ドスッ
ゴーレムの足を真っ二つに斬ることに成功する。


足が無くなってもまだゴーレムは動けるらしく、倒れてもまだ動いている。


生命力が凄いな。

「六に光の力!」
剣に光魔法を纏わせて次を仕掛ける。
切り落とした足を踏み台にしてゴーレムに向かって飛び込んだ。

剣を真下に向けて、ゴーレムの頭を突き刺す。

頭も真っ二つになり、ゴーレムを倒すことに成功する。

最後に残虐さんを始末しに行く。

「や、やめろ。来るな!」


「七に闇の力!」
剣に闇魔法を纏わせて、剣を残虐さんに向ける。

「これはお前が俺に見せて暗黒だ!!」

残虐さんのめがけて剣を突き刺した。

「ぐふっ」

剣を抜くと血がたくさん出ていた。

「まだ私は死ねません....パルミーネを占領しなければ....」

よろよろしながら逃げようとする。


絶対に逃がさない。



右手に炎を纏わせて残虐さんに向ける。

「地獄の黒炎(ヘルダークフレア)!!」
「そのまま燃えろ!」

真っ黒い炎が残虐さんに直撃する。



「うがぁぁ...あぁぁぁ魔王様.....ば...ん...ざ...い。」
最後まで魔王様への忠誠心を忘れていなかったな。

さてと終わったしサチカとレミナの元へ帰るとしますか。
そう思って戻ろうとしたときだった。

あれっ?頭がくらくらする。力が全く入らない。MPの使いすぎかな?
そう思った瞬間意識が遠のいていった。
バタンッ


「カイトッ!!」








「ん?ここは?」


気が付くとパルミーネの町に戻っていた。


灼けに視線が高いと思ったら、レミナが俺を負ぶってくれていた。


「レ、レミナ?毒は大丈夫なの?」

「うん!お陰様で!ありがとうねカイト!」

良かった。まさか状態異常回復の魔法が役に立つとは思っていなかった。


「そういや俺はレオクスを倒した後の記憶が無いんだけどどうなっちゃったの?」

レミナの隣に歩いていたサチカに聞いてみる。

「あの後カイトはMPの使いすぎかな?多分それで気絶したのよ。まぁ無理も無いわね。あの化け物達を一瞬にして倒したんだから。」


「カイトの見たかったなー一瞬で倒す所。」

何か恥ずかしいな。俺もレミナに見せたかったなー。残虐さんが頑張ってよろよろしている所。


「あ!そうそう、レミナがねカイトが倒れた後に私が負ぶって行くってずっと言ってたんだよ。ちゃんとレミナに感謝しなさいよ。」


「サチカー!!何ですぐに喋っちゃうの?もうっ!!」

「レミナありがとうね。ここまで運んでくれて。」


「はい!前に運んでくれたお返しです。」


そんな話をしているとギルドに着いた。


「レミナ、もう大丈夫だよ。ありがとう。」

「分かりました。」

そう言って俺を降ろした。

ギルドの中に入ると灼けに盛り上がっていた。



そんな盛り上がりを無視するかのように受付のお姉さんの元へ向かった。


「すみません。依頼の報酬を貰いに来ました。」


「カイトさんじゃないですか!依頼はどうでしたか?」

「結構疲れるな。あんまり大量討伐の依頼は好きじゃないかも。」

「左様ですか。」


「はい!これお願いします。」

そう言ってステータスウィンドウを見せる。


「うんうん!10匹多く倒していますがしっかりと依頼をこなしているんです.....ね.....へ?」

受付のお姉さんはダークウルフの隣に書いてある物を見てしまった。

「嫌な予感。」


それもそのはず嫌な予感が的中する。受付のお姉さんが急に大声を出して驚く。


「えぇぇーかいとさん!!魔王の第八位戦力の残虐の魔物使いレオクスを倒したんですか?」


そんな大声を出したら聞こえちゃうでしょ?



「今の聞いたか?」

「魔王の手下を倒したんだって。」

「まじか!!凄いな。」

周りがざわめき始める。

「まぁ成り行きで....」

追い打ちを掛けるようにまた大声を出して驚く。


「しかも、危険度Sランクのフレアドラゴンとダークゴーレムも倒したんですか!!?」


「それもその.....成り行きで....」


「えーと、合計で12万300ゴールドになります。その三分の一なので一人あたり3万100ゴールドになります。」

「私達はダークゴブリンを倒しただけだけど良いの?」

「レミナとサチカがいなかったら大変だったし、二人がいなかったら森でずっと気絶してたかもしれないから貰ってよ。」


「分かったわ。」

ステータスウィンドウを見ると3万100ゴールドが追加されていた。

「レミナさんとカイトさんをCランクに昇格したいと思います!」
唐突にそんなことを言う。

ランクってこんなに簡単に上がるもんなのか?

受付のお姉さんは俺のステータスウィンドウを少し触った後にDがCに変わった。


手品かよ!!そう思ってしまうほど一瞬に昇格した。

ステータスウィンドウも様になってきたな。

【名前】 【アマミヤカイト】

【職業】 【魔法剣士(マジックナイト)】

【LV】    【 999】

【HP】   【30000】

【MP】   【25300】     

【攻撃力【20000】

【守備力】【28000】

【素早さ】【24000】

【魔法防御力】【23500】

【魔法攻撃力】【36000】

【称号】【七大魔法剣士(マジックナイト)】


あの受付のお姉さんはこの称号を見て言っていたのか。

「ありがとうございます。また来ます。」

そう言ってギルドを出た。



「あっ!私今日は用事があるんだった。じゃあまた明日ね!」  
そう言ってサチカは何処かに行ってしまった。


じゃあ俺達も帰るか。

宿に向かって帰ろうとしたら、レミナが服を引っ張って止めてきた。
「ん?」

「ねえカイト。宿に泊まるのは面倒でしょ? その...さぁ....私の家にこれからずっといない? 」


レミナの家か.....行ってみたいが異性の家に行くのは初めて何だよなー。まぁいっか。


「レミナが大丈夫って言うなら、お願いしても良いかな?」

「うん!でも、家事は手伝ってね。」

「分かった。家事は得意だから任して。」

「じゃあ私の家に行こうか。」

「うん。」

そう言ってレミナの家に向かった。








とある魔王城にて...


「何?レオクスが倒されただと!!」


「はい!見張りの物がそうおっしゃっていました。」


「一筋縄では行かないか......次はもっと良い戦略を考えてカイトを潰す。」


「楽しみにするんだな........カイトッ!」

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