不老不死とは私のことです
入学式編 7話
父には言っていい事と悪い事を考えろとえらく叱られた……むぅ、一度で2度美味しい良案だと思ったのですが。
何より、子供が出来てしまえば情で2人が揺らぐ可能性もあると言う。これについては納得出来るような、出来ないような。
とにかく却下だって。まじかよ。
「優先順位は整理出来たと思います」
この話を整理すると、任務のゴールとしては次のような数通りが考えられる。
まず1つ目、これが最善であり無理ゲーだけど、阿久津氏を勧誘し、西園寺側に引き抜くこと。だが、親の仇にそう易易と頭を垂れるだろうか……ねーな。
私だって父はまだしも、母と特に弟を殺されたら怒り狂う自信がある。その場合は命尽きるまでねちっこく戦う所存である。(実質半永久機関)
次に2つ目、こちらも難易度地獄級な阿久津氏を始末しておくパターン。とはいえ、未来予知の異能が無くたって、私がプチッとやられる未来しか見えない。(無理)(絶望)
そして最悪のパターンだが、阿久津氏に感化された柚様が、彼と駆け落ちに出るパターン。これだけは阻止したいが、なんかなぁ。柚様のご性格的と傾向的に「アリエネーッ!」と言いきれないところが何とも言えないところでして。
この分岐を精査するに、最も無難な結末はやはり、柚様と阿久津氏に別れて頂くのがベターじゃね。
え、阿久津氏のその後?そんなん知らないから、西園寺のプロフェッショナルチームに任せておけばいいんじゃないですかね。
ああは言ったものの、父もこのルートを想定しているだろう。肉盾はしぶとさを武器に、大人しく護衛だけやってればいいんですよっ。
後はクロエがどれだけ使えるか、だけどこれは奴の気分次第って所だろうか。ややこしいのだけれど、この男は私に着いて来るのであって、護衛には基本手を出さないのだ。
また、それがこの怪物が大人しくしている条件でもある。諸々の条件を頭の中で整理し直して時計を見れば、出発の時間まで残り20分。
「さて、こんな部屋はさっさと出ますか」
急げ諸君!うちの可愛い弟が待っているっっ!てか、あっつ!!!乙女の柔肌になんてことしてくれるんじゃい!!
握りしめてたから皮が剥けちゃってるじゃないですかっ!元通りの肌に再生するまで30秒くらいはかかるんですよ、もうっ!
「ちょっとクソ父!!書類が燃える仕様になってるなら先に言って!」
「ハハハ、『なおその書類は、30秒後に自動的に焼滅するっ!』なんちゃって☆」
「………ほほぅ」
喰らえっ、炎の魔球!
「ぎゃあああっあっつ!熱いよ雀ちゃん!」
腹が立ったので燃え盛る資料の束をそのまま父に投げつけた。ああ見えて戦闘の達人なので怪我もしないでしょう。
父の悲鳴を背中に聞きつつ、私たちは書斎を後にした。
出発まで、準備やら何やらの時間を除けば10分ほどしか時間は残されてはいなかったものの、それなりに燕を甘やかすことができたと思う。
今日だけでなく、何日も前から準備してたしね!後は、顔を忘れられないか心配だけど、そこは燕と撮ったツーショット写真を始めとした私の写真を、燕の部屋に沢山置いてきたから大丈夫だろう。
何故か、我が家の居候には「何コレ。やぁねえ、まるで呪いの写真じゃない!」なんて言われましたけど。……テメーはマジで呪ってやろうか?
そして、いよいよお別れの時。とは言っても夏も冬も帰ってくる気満々だけどね!
「……お姉ちゃん、行っちゃうの?」
「おとーさん、やっぱり任務は中止します!(キリッ」
「あのね、やっぱりとか中止とか、そういう問題じゃないからね……。燕も、男の子なんだからきちんとお姉ちゃんを見送ろうね?」
ちっ、クソ親父め……。うるうるお目目の燕のオネダリを拒否できるとか、アンタ正気なの?!
ていうか私が離れたくない!はーなーれーたーくーないぞー!!!
「やぁねぇ、未練がましいったらありゃしないわよ」
居候のオカマがこっちを見て嘲笑っている。このオカマは、ここにいる限りは口うるさくて厄介なオカマでしかないけど、まあそれなりに稀有な存在ではある。何者だとか、ここに居候するようになった経緯とか、いずれ紹介するけど長くなるのでまあ後ほど。
ちなみに、居候の件については、私の生涯における失敗トップスリーに数えてもいい。こうやって奴の顔を見るたび、燕の視界に教育上よろしくないものが入ることを後悔する日々だ。
「……ま、アンタがいない間にアタシは燕と今よりずっと仲良くなってるだろうけど?ぐふふ……そして燕きゅんはアタシの嫁に……」
「おいコラそこのオカマ。個人の趣味に対して何か言うつもりはないけど、ショタコンだけは許さんぞ!」
いくら燕が類まれなる美少年だからといって。
美少年だからといって!(大事なことなので2回言った)逆光源氏計画なんぞ許すものかぁぁぁぁぁ!
ていうかアレ?そもそも逆光源氏計画なの?逆なの?ていうか嫁なの?テメーが婿なの?え?
「意味わからないので没でお願いしまーす」
「このアタシに向かってその態度するの、アンタくらいよ」
「燕のお姉ちゃんの座は絶対に渡しません!あと甥っ子と姪っ子が見たいので、生まれ変わってから出直してね」
「このアタシに死ねとな?!ていうか、妙に張り合うと思ったら、理由ソレなの?!」
何で意外そうな顔をしているのでしょうか。燕の姉の立ち位置とか今世紀最大レベルに重要ですよ?
あと、私の目の黒い内はお姉ちゃん呼びなんて許すと思うなよ。
ま、死なないので間違っても目が白くなることはないと思いますけどね!
すみません、私生活のゴタゴタで絶望してたらあっという間に3日過ぎてました……。
色々ありました。チーズ蒸しパンになりたい。
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