異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??
第141話『戮力』
「あなたは………生きていてはならない存在よ…」
怨嗟と侮蔑が入り混じった、力強い声色で、キョウカはテルヒコを睨んだ。
キョウカの栗色のセミロングの髪が、湿った夏風に揺れる。
テルヒコを睨むその花萌葱色の眼には、確かな敵意と殺意があった。
「へぇ〜。じゃあ、そう言う君はどうなの〜?自己満足のために人を殺そうとするんだから〜、あんまり人のこと言えないよね〜。」
テルヒコが気だるげにそう返す。
紅葉のような赤橙色の髪と、垂れた黄色い眼は、その小さな顔も相まって女性的な美しさを醸し出している。しかし、その殺気により、美しさは威厳へと姿を変えていた。
遡ること、2日。
「マサタぁっ!!」
「開華……〈境界超越〉ァア!」
コウジの叫び声の直後、眼前に黒髪の少年が現れる。
それは、鏡に映し出された塚田コウジ自身に他ならない。
SSクラスの生徒は、緊急招集により、【排斥対象】と交戦していた。
危機的状況と判断したコウジは、今し方鏡、否、『3次元壁』を展開した少年。美那原マサタに応援を求めていた。
「先輩。今の、貸しでいいッスか?」
マサタが半笑いで、後ろ背にコウジへと言う。
「良いけど、気ぃ抜くなよ?」
「ははっ!りょーかいっス!」
そう笑うマサタの濃紺色の瞳は、依然として【排斥対象】を見ていた。
そこに、2人の髪を揺らす強風が一陣。
その直後、巨大な戦斧を担いだ、長い黒髪の少女が現れる。
「大丈夫でした?」
吸い込まれるような、黒い瞳。
「あぁ、ありがとう。マサタのおかげで大丈夫だよ。」
「なら、よかったですね。」
彼女の名は、盡ハレ。
つい先日、SSランクに上がった少女である。
さらにその後ろからもう3人。
白磁の肌、大きな紅い瞳と、それらを覆うような澄んだ茶髪。
両手に二丁拳銃を持った、城嶺ヒカリと。
長い黒髪を後ろで一纏めにした、強気な淡いパープルの瞳をした、凛とした少女。腰に日本刀を携えた、鵞糜サナエと。
そして、炎のような赤い髪をポニーテールにした、優しげな翠色の瞳。一見すると少女のような少年。肩に大鎌を担いだ、平佐名レンタ。
それぞれが合流し、計6人が集まっていた。
「それにしても………どうしてこうも【排斥対象】って、気持ち悪いのかしら………」
溜め息混じりに、ヒカリがそう言った。
眼前にいる【排斥対象】は、体高約2m。
8本の脚と、前面に大きな触肢が伸びている。
昆虫を模した体をしているが、ただ一つ異なる点は、胴と頭部が人間に酷似ているということ。人間で言う前額部から、2本の長い触肢が伸びており、肩、脇腹、腰、そして股関節から、昆虫特有の外骨格に覆われた脚が伸びている。
「コレは多分、ヒヨケムシだね。」
レンタがそう呟いた。
「………はぁ…キモ………」
その言葉に返すように、ヒカリがまた、溜め息混じりにそう言った。
「それにしてもあの2人、息ぴったりだよね」
ハレが、それまでの話の流れを変えながら、遠く、両手に日本刀を持ち、戦う少年を見た。
彼の名は、桐咲ソウタ。
「2人…?」
不思議そうに、マサタが問う。
「だってほら」
と、ハレがその手前、高く聳えるビルの屋上を指差す。
そこには、大きな弓から、矢を放つ少女がいた。彼女の名は、萩澤キョウカ。
ソウタの死角に合わせ、キョウカは弓矢による援護射撃を行なっている。
それはほぼ完璧と言っていいほどのコンビネーションであり、途轍もない勢いで、【排斥対象】を淘汰していく。
「………そうだな…………」
その圧巻ともいうべき光景に似合わぬ、どこか物憂げな表情で、サナエが返した。
その物言いに、誰もが疑問を抱く。が。
「んじゃ!こうしてられないし、俺らも行きやしょう!」
マサタの快活なその言葉で、全員は自分の成すべき事へと思考を切り替えた。
そしてコウジたちは、2人の元へと駆け出した。
怨嗟と侮蔑が入り混じった、力強い声色で、キョウカはテルヒコを睨んだ。
キョウカの栗色のセミロングの髪が、湿った夏風に揺れる。
テルヒコを睨むその花萌葱色の眼には、確かな敵意と殺意があった。
「へぇ〜。じゃあ、そう言う君はどうなの〜?自己満足のために人を殺そうとするんだから〜、あんまり人のこと言えないよね〜。」
テルヒコが気だるげにそう返す。
紅葉のような赤橙色の髪と、垂れた黄色い眼は、その小さな顔も相まって女性的な美しさを醸し出している。しかし、その殺気により、美しさは威厳へと姿を変えていた。
遡ること、2日。
「マサタぁっ!!」
「開華……〈境界超越〉ァア!」
コウジの叫び声の直後、眼前に黒髪の少年が現れる。
それは、鏡に映し出された塚田コウジ自身に他ならない。
SSクラスの生徒は、緊急招集により、【排斥対象】と交戦していた。
危機的状況と判断したコウジは、今し方鏡、否、『3次元壁』を展開した少年。美那原マサタに応援を求めていた。
「先輩。今の、貸しでいいッスか?」
マサタが半笑いで、後ろ背にコウジへと言う。
「良いけど、気ぃ抜くなよ?」
「ははっ!りょーかいっス!」
そう笑うマサタの濃紺色の瞳は、依然として【排斥対象】を見ていた。
そこに、2人の髪を揺らす強風が一陣。
その直後、巨大な戦斧を担いだ、長い黒髪の少女が現れる。
「大丈夫でした?」
吸い込まれるような、黒い瞳。
「あぁ、ありがとう。マサタのおかげで大丈夫だよ。」
「なら、よかったですね。」
彼女の名は、盡ハレ。
つい先日、SSランクに上がった少女である。
さらにその後ろからもう3人。
白磁の肌、大きな紅い瞳と、それらを覆うような澄んだ茶髪。
両手に二丁拳銃を持った、城嶺ヒカリと。
長い黒髪を後ろで一纏めにした、強気な淡いパープルの瞳をした、凛とした少女。腰に日本刀を携えた、鵞糜サナエと。
そして、炎のような赤い髪をポニーテールにした、優しげな翠色の瞳。一見すると少女のような少年。肩に大鎌を担いだ、平佐名レンタ。
それぞれが合流し、計6人が集まっていた。
「それにしても………どうしてこうも【排斥対象】って、気持ち悪いのかしら………」
溜め息混じりに、ヒカリがそう言った。
眼前にいる【排斥対象】は、体高約2m。
8本の脚と、前面に大きな触肢が伸びている。
昆虫を模した体をしているが、ただ一つ異なる点は、胴と頭部が人間に酷似ているということ。人間で言う前額部から、2本の長い触肢が伸びており、肩、脇腹、腰、そして股関節から、昆虫特有の外骨格に覆われた脚が伸びている。
「コレは多分、ヒヨケムシだね。」
レンタがそう呟いた。
「………はぁ…キモ………」
その言葉に返すように、ヒカリがまた、溜め息混じりにそう言った。
「それにしてもあの2人、息ぴったりだよね」
ハレが、それまでの話の流れを変えながら、遠く、両手に日本刀を持ち、戦う少年を見た。
彼の名は、桐咲ソウタ。
「2人…?」
不思議そうに、マサタが問う。
「だってほら」
と、ハレがその手前、高く聳えるビルの屋上を指差す。
そこには、大きな弓から、矢を放つ少女がいた。彼女の名は、萩澤キョウカ。
ソウタの死角に合わせ、キョウカは弓矢による援護射撃を行なっている。
それはほぼ完璧と言っていいほどのコンビネーションであり、途轍もない勢いで、【排斥対象】を淘汰していく。
「………そうだな…………」
その圧巻ともいうべき光景に似合わぬ、どこか物憂げな表情で、サナエが返した。
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