異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??

頤親仁

第130話『省察』

さてさて、と、簑田は話を始めた。
「この前現れた【排斥対象】への考察対応に対する振り返りをし行なっていきますよ~よぉ〜」
間の抜けた声が教室に響いた。
「こんな感じですねぇ~」
そう言いながら、前方の黒板に掛けられたスクリーンに、【排斥対象】の画像と3DCGをプロジェクターによって投影させる。
芋虫のような太く長い体躯に、無数の細長い人間の腕が生えたような、はっきり言って悪趣味な見た目をしている。
「美那原君の話だと、オニイソメにそっくりみたいです~」
あ、それと。と、簑田が続ける。
「こちらが今回の【排斥対象】を倒した女の子ですね~。アテスターと固有武器は『盡ハナ』さんのもので間違いないんですけど、心華も才華も、根核者もDNAも、盡ハナさんとはちがうみたいですね~」
それはつまり、その少女が「盡ハナ」ではないことを示している。
それを聞いたマサタは、静かに胸を痛めた。
「さて、この日何か感じたことがあった人はいますか?」
そんなマサタの胸中を他所に、簑田が話をクラスの全員に振った。
「はい」
挙手をしたのはヒカリだった。
「アタシがX線で【排斥対象】の全身を見たとき、中枢らしき機関が見受けられなかったんですけど、どうしてですか?あと、そんな【排斥対象】をどうやってハナ…いえ、盡さんと同じアテスターのその子が倒せたんですか?」
「そうですね。今、【排斥対象】の残骸を調べているところですけど、中枢は、“ない”んじゃなくて“多すぎた”んです」
「…………と言うと?」
「細胞ひとつひとつに中枢があったから、胴体部分を細胞一つ残さず消しておく必要があったんですね〜」
あの巨大なか【排斥対象】の体幹部を、細胞一つ残さずに消し飛ばすのは、いくら才華を有した人間とは言え至難の業である。
しかしそれを成し遂げたのだ。
「…………………それを……彼女が………?」
「そう言うことになりますね〜」
それは彼女が最強に足る能力を有していることの証明に他ならない。
その事実を、教室内の全生徒が認識するとともに、警戒すべき要注意人物であると改めて痛感した。
「彼女の素性については今後詳しく学園側で調べる予定です〜」
「……………盡……」
マサタは、誰にも聞き取れないような声量で小さく呟いた。
その声には背負いきれないほどの不安を乗せて。

それじゃあ。と、キョウカが話を切り出した。
「健康状態と運動機能に問題はなさそうだから、検査の方に移るわね。申し訳ないけれど、体の拘束をさせてもらうわ」
そういうと、ベットに腰掛けるハナに大きな手錠を掛けた。
「これは学園製のもので、才華の使用を封じるし、学園の敷地から一定距離離れると起爆するわ。こ本当はこんなものつけたくないのだけれど、貴方の才華や根核者が分かるまでは我慢してちょうだい」
申し訳なさそうに、眉間に皺を寄せながらキョウカがそう言う。
「素性が知れないんだ、当然だろう。萩澤も態々腰を低くする必要ない。」
そこへソウタが割り入った。
「で、でも…。彼女に抵抗の意志はなさそうだし……。」
「抵抗する者が不用意にその意志を示すわけがないだろう。お前はもっと人を警戒した方がいい。」
「そ、そう…かな………?」
不安そうな視線で、ソウタとハナを交互に見た。
「まあ良い。ソイツは俺が浜曷先生の元へ連れて行く。」
ソウタはそう言うと、ハナに立ち上がるように促した。
そのまま、2人は浜曷の元へと向かった。

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