異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??

頤親仁

決意

職員室に着くと、担任はめんどくさそうに溜息を一つ吐いて、昨日のことを俺に聞いてきた。そしてその問いに対して、俺は自分の知っている限りの事実を告げた。
 「そっか、吹っ掛けてきたのは東雲なんだな?」
 「はい」
 「で、向こうが殴りかかってきて、それを受け止めようとしたんだな?」
 「はい」
 「そしたら、東雲が消えたと?」
 「はい」
 「なあ、塚田…。お前嘘吐くのも大概にしろよ」
 教師は呆れたように俺にそう言ってきた。
 「嘘じゃありません!!」
 「じゃあ、この話を信じろと?」
 馬鹿馬鹿しいといった様子で、教師は鼻で笑いながらそう言った。
 「本当なんです!信じてください!!」
 「もういい、話にならん。」
 やはり、こんな話は信じてもらえないだろうか。だが事実なのだから致し方ない。
 「ですからこれは―――」
 「昨日から、東雲が行方不明なんだよ。」
 教師の口から放たれたその言葉に、思考が停止する。
「……え?」
 「最後に目撃されたのは昨日お前と喧嘩したとき。それ以降見つかっていない」
 つまり、俺が東雲というあの男子生徒と喧嘩し、姿が消え。それ以降、彼は消息を絶ったということだ。
 やはり消えた原因は、俺なのだろうか。
 「東雲の親御さんが、心配してんだよ。そんな人にこんな説明をするのか?」
 俺は思わず黙ってしまった。確かにこんな説明をしようものなら間違いなく嘘だと思われる。だが、この説明をしないということは、嘘を吐くということになる。
 一体何が正しくて、何が悪なのか。もう今の自分に判断する余地はなかった。
 「とにかく、言い訳するならもっとマシな言い訳をしなさい。わかったら今日はもう家に帰りなさい」
 まるで猛犬を追い払うように手を払って、俺にそう指示をした。
 「…………………クソが。」
 静まり返った廊下でそう言った。
今まで普通に接してきた教師やクラスメイトも、人が何か問題を起こすと掌を返し、問題児のレッテルを張り付け、邪魔者扱いを始めるのだ。
 そんなことを考えながら、教室の扉を開けると、またもや冷たい視線が身体中に突き刺さった。授業中だった教諭も厄介者のように俺を一瞥した。                    
そんな視線に耐えながら、荷物をまとめて帰宅の準備をする。
「もう学校来なくていいのにな」
半笑いで男子生徒の一人がそう言った。
「次はだれが消されるのかな」
 それに呼応するように隣の男子生徒がさらに煽る。
 そんな声を背に受けながら、俺は教室をあとにした。
 だが俺は、真っ直ぐ家には帰らずに、少し寄り道をすることを決めた。
 いつか、俺を邪魔者扱いした奴を見返してやる。必ず「あんなこと言ってすみませんでした」と言って泣いて縋らせてやる。そう決意した。

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