錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第10話:錬金術師は勇者になる
俺が勇者になるだと……?
「エルゼさん、本気で言ってるんですか?」
「もちろんだ。君より強い者を他に知らない」
「俺がエルゼさんに勝てたのはただの力技です。 俺に勇者としての資質なんて……」
正直なところ、勇者が何をするのかすらわかっていない。『魔王』とかなんとか言っていたけれど、そんな凄い奴を相手にする覚悟はないのだ。
いや……魔王と言えば一緒に召喚されたあいつらか。
だとしたら俺も一応魔王ということになるのか?
……わからん。
「資質なんて後付けでいいのだ。大体のことは始めてみればなんとかなる!」
「そうですよ、シュン。せっかくエルゼから合格をもらったんですから。……それに、離ればなれになるのは寂しいです」
リーゼにそう言われると正直心がグラつく。
安易に提案に乗ってしまいそうになる。
「シュン・サトウ、あなたは私たち三人の勇者の誰よりも強い。決闘の前にエルゼが言ったことを覚えているかしら」
エルゼが言ったこと……特筆すべき点なんてあっただろうか。
そういえば勇者は最強だとかなんとか言っていたような。
「『勇者は常に最強である必要がある』……この意味はね、我々より強い人間がいたら、パーティに誘いなさいという教えなのよ」
冗談で言っているのかと思いきや、エレナは本気の表情だ。
そんな他力本願な勇者がいてたまるか!
……しかしまあ、放っておけないという理由はわかったが。
「勇者は常に人材を欲している。……勇者だって競争社会だから」
「まるで勇者パーティがいくつもあるような言い方ですけど」
「そうよ? 勇者パーティなんて、毎年いくつか世界連合の承認を受けて新設されてるんだから」
え、そういう仕組みなの?
俺の知っている勇者と違う……。
「勇者の資質……いえ、適性があるかどうかなんて、なってみないとわからない。一か月間は自由に辞められるから、試しに入ってみてはどうかしら?」
「一か月で辞められるんですか?」
「ええ、勇者パーティという組織はそういうものよ。もちろん仮勇者だからって、報酬の分配割合が減ったりしないし、私たちは普通に新しい仲間として受け入れる。あなたはその間しっかり考えて結論を出せばいい。悪い条件じゃないんじゃない?」
確かに、一か月の時間があれば十分どんなものかわかるだろう。もし決定的に合っていなければ辞めても良い。試用期間みたいなものだ。
「それなら断る理由はありません。一か月間、ゆっくり見極めさせていただきます!」
「ええ、存分に」
その後、俺は勇者パーティとの契約を結んだ。とは言っても、色々なルールが書かれている紙に名前を書いて、血判を押すだけで終わる。
契約が完了すると、微かにエレナさんの唇が綻んだ。
「シュン、よろしくねっ! これから一緒に冒険しようね」
リーゼは仮ではあるが、俺が勇者になったことで、大はしゃぎだ。リーゼと離ればなれになるのは俺も少し寂しかった。喜んでくれると俺も嬉しい。
「今日は新入勇者の歓迎会だな! 酒場に直行しよう! そうしよう!」
純白の盾をぶんぶんと振り回して酒場と連呼するエルゼ。これはダメなタイプの大人だな……。というか俺とあんまり歳は変わらないように見えるけど何歳なんだろう?
「あまり貯金を崩すのはどうかと思うけど……今日ばかりは仕方がないわね。でも、いい? 明日も冒険があるんだからお酒は二杯まで、わかったわね?」
「うう……せめて四杯」
「ダメ」
「……じゃあ三杯」
「仕方ないわね」
「おおっ! エレナは話が分かる~!」
二杯の制限が三杯になったことで、エルゼは大喜びだ。
その様子を見て、エレナはしてやったりと微笑んでいる。
多分エルゼは気づいていないが、最初からエレナは交渉されることを前提にしていたのだろう。
まったく、エレナさんは要注意だな。
◇
新歓会は大いに盛り上がった。
俺とリーゼはお酒を飲めないので、仲良くお茶を楽しんだ。
心配していた異世界の料理は、とても美味しかった。日本のファミレスにも負けていないと思う。肉が硬かったのは不満だが、シチューは文句なしの出来だ。
始めて見る料理は何が使われているのか不安で仕方なかったが、食べてみるとなぜか美味しい。
日本に持ち帰りたいくらいだ。
料理を楽しみながら、これからの方針をたくさん話した。
目標は魔王の討伐。最終目標は真の王の討伐だ。話を聞くうちに、その『真の王』とやらに俺は会ったことがあることに気づいた。
あの王冠を被った男がそうなのだ。全ての魔王は奴の手によって召喚されたと言われているらしい。
俺にとっても、あいつには一発殴ってやりたい動機がある。
俺を笑いものにしたあの王を許すことはない。
2~3時間ほどで新歓会は終わりを迎えた。酒場の閉店時間だ。
店を出ると、もう辺りは真っ暗になっていた。近くに宿を借りているというのでついていく。
「今からでも部屋って取れるもんなのか?」
隣を歩いていたリーゼに尋ねると、
「うーん、今からだと新しく部屋を取るのは無理だと思います」
「えっとじゃあ俺はどうすれば……」
「同じ部屋で寝ればいいじゃないですか?」
きょとんとしているリーゼ。エルゼとエレナもツッコミを入れない。
え、もしかして俺がおかしいの!?
これが異世界の常識?
「エルゼさん、本気で言ってるんですか?」
「もちろんだ。君より強い者を他に知らない」
「俺がエルゼさんに勝てたのはただの力技です。 俺に勇者としての資質なんて……」
正直なところ、勇者が何をするのかすらわかっていない。『魔王』とかなんとか言っていたけれど、そんな凄い奴を相手にする覚悟はないのだ。
いや……魔王と言えば一緒に召喚されたあいつらか。
だとしたら俺も一応魔王ということになるのか?
……わからん。
「資質なんて後付けでいいのだ。大体のことは始めてみればなんとかなる!」
「そうですよ、シュン。せっかくエルゼから合格をもらったんですから。……それに、離ればなれになるのは寂しいです」
リーゼにそう言われると正直心がグラつく。
安易に提案に乗ってしまいそうになる。
「シュン・サトウ、あなたは私たち三人の勇者の誰よりも強い。決闘の前にエルゼが言ったことを覚えているかしら」
エルゼが言ったこと……特筆すべき点なんてあっただろうか。
そういえば勇者は最強だとかなんとか言っていたような。
「『勇者は常に最強である必要がある』……この意味はね、我々より強い人間がいたら、パーティに誘いなさいという教えなのよ」
冗談で言っているのかと思いきや、エレナは本気の表情だ。
そんな他力本願な勇者がいてたまるか!
……しかしまあ、放っておけないという理由はわかったが。
「勇者は常に人材を欲している。……勇者だって競争社会だから」
「まるで勇者パーティがいくつもあるような言い方ですけど」
「そうよ? 勇者パーティなんて、毎年いくつか世界連合の承認を受けて新設されてるんだから」
え、そういう仕組みなの?
俺の知っている勇者と違う……。
「勇者の資質……いえ、適性があるかどうかなんて、なってみないとわからない。一か月間は自由に辞められるから、試しに入ってみてはどうかしら?」
「一か月で辞められるんですか?」
「ええ、勇者パーティという組織はそういうものよ。もちろん仮勇者だからって、報酬の分配割合が減ったりしないし、私たちは普通に新しい仲間として受け入れる。あなたはその間しっかり考えて結論を出せばいい。悪い条件じゃないんじゃない?」
確かに、一か月の時間があれば十分どんなものかわかるだろう。もし決定的に合っていなければ辞めても良い。試用期間みたいなものだ。
「それなら断る理由はありません。一か月間、ゆっくり見極めさせていただきます!」
「ええ、存分に」
その後、俺は勇者パーティとの契約を結んだ。とは言っても、色々なルールが書かれている紙に名前を書いて、血判を押すだけで終わる。
契約が完了すると、微かにエレナさんの唇が綻んだ。
「シュン、よろしくねっ! これから一緒に冒険しようね」
リーゼは仮ではあるが、俺が勇者になったことで、大はしゃぎだ。リーゼと離ればなれになるのは俺も少し寂しかった。喜んでくれると俺も嬉しい。
「今日は新入勇者の歓迎会だな! 酒場に直行しよう! そうしよう!」
純白の盾をぶんぶんと振り回して酒場と連呼するエルゼ。これはダメなタイプの大人だな……。というか俺とあんまり歳は変わらないように見えるけど何歳なんだろう?
「あまり貯金を崩すのはどうかと思うけど……今日ばかりは仕方がないわね。でも、いい? 明日も冒険があるんだからお酒は二杯まで、わかったわね?」
「うう……せめて四杯」
「ダメ」
「……じゃあ三杯」
「仕方ないわね」
「おおっ! エレナは話が分かる~!」
二杯の制限が三杯になったことで、エルゼは大喜びだ。
その様子を見て、エレナはしてやったりと微笑んでいる。
多分エルゼは気づいていないが、最初からエレナは交渉されることを前提にしていたのだろう。
まったく、エレナさんは要注意だな。
◇
新歓会は大いに盛り上がった。
俺とリーゼはお酒を飲めないので、仲良くお茶を楽しんだ。
心配していた異世界の料理は、とても美味しかった。日本のファミレスにも負けていないと思う。肉が硬かったのは不満だが、シチューは文句なしの出来だ。
始めて見る料理は何が使われているのか不安で仕方なかったが、食べてみるとなぜか美味しい。
日本に持ち帰りたいくらいだ。
料理を楽しみながら、これからの方針をたくさん話した。
目標は魔王の討伐。最終目標は真の王の討伐だ。話を聞くうちに、その『真の王』とやらに俺は会ったことがあることに気づいた。
あの王冠を被った男がそうなのだ。全ての魔王は奴の手によって召喚されたと言われているらしい。
俺にとっても、あいつには一発殴ってやりたい動機がある。
俺を笑いものにしたあの王を許すことはない。
2~3時間ほどで新歓会は終わりを迎えた。酒場の閉店時間だ。
店を出ると、もう辺りは真っ暗になっていた。近くに宿を借りているというのでついていく。
「今からでも部屋って取れるもんなのか?」
隣を歩いていたリーゼに尋ねると、
「うーん、今からだと新しく部屋を取るのは無理だと思います」
「えっとじゃあ俺はどうすれば……」
「同じ部屋で寝ればいいじゃないですか?」
きょとんとしているリーゼ。エルゼとエレナもツッコミを入れない。
え、もしかして俺がおかしいの!?
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