ななさんの地球録
プロローグ
はじめまして!僕の名前はミロク。
こっちは(多分)宇宙人のななさん。
僕の名前は『ミロク』であり『みろく』だし、ななさんも、『ナナさん』でも『ナナサン』でも間違いじゃない。
ななさんが生まれた星では声も出さないし、食事も取らないし、スキンシップだってないし、親もいないらしい(本当に?)。
まぁ、どこにも宇宙人の証拠なんてないから少しと言わず結構な半信半疑。見た目だって他の人間となんら変わらないし、普通に僕と喋ってるしね。嘘なら嘘って言ってくれればいいのに、長い付き合いなんだしって毎日のように思ってる。
ななさんは仕事で(仕事しているところなんて見たことない)地球にきているらしく、仕事する上での規則として、地球人に他の星から来たってことが悟られないようにする必要があるらしいんだけど、
「僕も地球人なんだけどな……?」
「お前は人だと思ってないからな」
 
「え、じゃあ僕ってなんなの?もしかして猿とかだと思われてる?」
「地球で広く愛玩されていた動物だ、哺乳類で、首に紐か何かを付けることが多い。名前はなんと言ったかな…」
「もしかして犬!?僕、ななさんの犬だと思われてんの!?」
「あぁ、犬か。確実に習ったはずなんだが、咄嗟には出てこないもんだな」
「いやいや、ななさんってば絶対知っててからかってるでしょ…!」
ななさんは笑う。心の底から笑っているようにも見えて、何かを僕に隠すような──僕が目を向ける先を逸らすような、そんな笑みで。
これは、ドタバタで、馬鹿みたいな日常を書き留めた、ミロクとななさんの何でもない地球録である。
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