無感情の勇者

壊幽

6話 新しい仲間の過去

「ちょっと待ちな」
「ん?」

そこにいたのは、金髪で髪の長さが肩ぐらいあるイケメンだった



「これあんただろ」
「ああ、」
チーム募集用の紙だった
仲間第一号だろうか?

「クエストにいって疲れたから、宿屋にいく……」

「こんなイケメンを仲間にしなかったら損するぞ」

「………………………………………………………………………」



宿屋にいこう
 俺は、宿屋に向け歩いた


「えっ!こんなイケメンを仲間にしなかったら損す……」


「仲間にしたら損するだろ」

俺は、この自称イケメン野郎を睨みつけた

「そんな鋭い目付きで」
「んじゃ」
「待って」
「何か」

「だからこのパーフェクト…え~となんちゃらを仲間にしなかったら損するぞ」

「考えろよ」

「とりあえず不合格だ」
「とりあえずってちょっとまってー」

無視をした

「だから待ってって!」
「本当に損するよ、ねぇ!損するってば!」

俺は、足を止めて

「お、やっと俺を仲間にしてくれ…」
「おい、ナルシストは、そんなに自分の顔をイケメンだって言わないぞ」
「え、」
「まぁ、多分だがナルシストは、行動や、服装などでカッコつけると思うんだが」
「そんなに自分の顔を主張しないと思うんだけど」

「お前、元は普通の人間だろ」
「………今も普通の人間だが、いいよお前に教えてやるよ俺の過去をな」



                      『2年前』
「あの人超イケメンじゃない」
「ほんとだ声かけてこようかな?」

うざい

俺は、イケメンとかかっこいいとか思われたくなかったんだ
それで自分の顔が嫌いになったんだ 

鏡を叩き割ったことなんて数えきれないほどある
最初のほうはお母さんに怒られたけど、急に怒らなくなった
いつもお母さんは手鏡を持ち歩いてたよ

だけどそんなある日

俺は家を出て散歩に出た
俺が、住んでいた町は景色が綺麗だったから
毎日散歩に出てたよ

「あのー」
またか 
「ここの行き先教え……」
「遠慮しときま……」
「え、ごめんなさい」
「あ、待って」

俺は、そこで初めて女の人の手を握った
小さくて柔らかかった
ちょっと強く握ったら折れてしまいそうな
繊細な手


「今でもこの感触が残ってる~」
「話続けろ」




「あ、でも迷惑なんじゃ」
「え、ちょっと勘違いしただけだから」
「勘違いですか?」 
「うん、勘違い」

「で、何?」
「ここの行き先を」
「雑貨屋か」 
「だったらここの角を右に曲がってそこからまっすぐいくとつくよ」

「わかった?」
「……」
「ん?」
「かっこいい」
「うっ……」
俺は睨んでしまった

「あ、ごめんなさい、そのー見惚れてしまって、あ、いやごめんなさい」

頬がピンク色になるのがわかった

俺は、思った

他の奴は軽はずみにいってる気がして、気にいらなかったが
この人は心から思ってるんだって

「あ、いや、ごめん」

「じゃ、じゃぁ、それじゃ」
「あ、ああ気を付けてね」

多分、俺はこの頃からあの子の事が好きだったのかもしれない

「あ、名前聞いてなかった~」





                         『次の日』
「行ってきます」
「え、気を付けるのよー」

「どうしたのかしら、まさか好きな子が!」
「ははは、まさかね」

俺はいつもより、上機嫌で外に出た
上機嫌なのを隠してるつもりだったが母さんにばれているだろう
散歩にいくため、いや、あの子に会うため
会える保証はないが……

俺は、走った
「はっはっはっ……!!」
角を曲がった時だった 

ドカ!!

「う、ごめんなさい」
「あ、」
「すいません」
「あ、」

「ま、またあったな」
そこにいたのは、俺が一番会いたかった人物がそこにいた

「ま、また会いましたね」 

「どうしたの?」
「あなたに会いた………あ、いえ!」 
「ん?」
「あ、え~と散歩を…」 
「き、奇遇だな、俺もだよ!」


「………………………………………………………………………」
沈黙……

俺は勇気を振り絞って

「い、一緒に散歩いく?」

声が震えぎみだが

よくいった俺!って思った



「名前は?」
「ミ、ミル・ジンギサス・バルディです」
「ミルか……、いい名前だな」
「俺は、ギリアス・ザンディ・バルトスだよ」
「バルトスさんか……」
「いや、バルトスでいいよ」



「いや、呼び捨ては……だったらバルトス君でいいですか?」
「べ、別にいいけど敬語は、ちょっと…」
「わ、わかった、これでいい?」
「ああ」
「私は、呼び捨てでいいからね」
「わかったよ」
「いこうミル」
「うん」

 
その時間がとても楽しかった、生きてる中で一番楽しかった

だけど……


「で、ここが…」

カン!カン!カン!

これは!!



「魔獣だー!」

だれかが叫んだと同時に

「うわーーー!!!!」
「きゃー!!!」

「か、母さんが!」



「バルトス!!」
「か、母さん!」
「なんで!」
「お買い物よ!早く!」

「いっいこう!」
「う、うん」



プス!

何か変な音……

後ろを見ると

「な!!」

ミルの腹に矢が貫通していた

「ミ、ミル!!」

「ガ!」

「ミルー!」

俺は、ミルを抱きしめ
 
「ミル大丈夫か!?」   

「うっ」  
生きてる!奇跡だ!


「騎士団が来たぞー!」
「騎士団だ!これで助かる」

「さぁ、逃げようミル」

「バルトス君……ダメ」

「え、なんでだよ」

「見て…わかる通り」

「傷か?それなら治せる」

「私もバカじゃないのよ」
「これは、治らない」

「いや、治せ…」
「治らない」

俺は、ミルの真剣な目を見て察したこれは本当に治らないんだって

「うっ、俺が弱いから……ごめんよ……!」
「そんなに自分を責めないで」
「で、でも」
「だったら強くなって」
「!」
「強さとカッコよさを全世界に知れるよう頑張って」
「カ、カッコよさ?」
「うん、カッコよさ」

「……わかった俺は、カッコいい、イケメンだ」
「ふふっ、」

「他にも…ね、いいたい…事が…あるの、いっ!」
「おい、喋らない方が」
「今…いいたいの…喋らなくても…助からないし…」
「だから…聞いて?」
「ああ」



「出会った…時からあなたの事が…好きでした…」

「!、俺も好きだった」

「!、ありがとう……」

といってミルはゆっくりと息を引き取った

後から涙が自然と出てきた

「うっ、うっ、くっ!」

俺は、泣きながら、ミルを抱き上げ、逃げた

騎士団が魔獣を倒したのは5時間かかったらしい

ミルの墓は、魔獣が出ないと言う森に埋めた

そして、おれは、決めた
冒険者になる!!








                      『一年後』
町の復旧はちゃくちゃくと整ってきた

今は亡きお父さんの槍と鎧を使い冒険者になった

そして、俺は全世界に強さとカッコよさを知れるようになると思った

「行ってきます」
「ああ、死なないようにね」 

俺は、森に向かい

「いってくるよ、ミル」






「そして、そこから一年冒険者にもなってだいぶ腕もついてきた」
「だけど、まだまだ、だから仲間がいると思ったんだよ」
「それで、あんたの噂を聞いたわけ」
「俺の?」

「冒険者になって初日で銀クラスのケルベロス討伐に行ったって言う噂がな」

「そして、知らない人にこの募集用の紙を書いたのがあんただって聞いたんだよ」

「そうなのか」
こいつの目に自然と涙が浮かんでいた


「知らせ方、間違ってると思うがいくぞバルトス」
「え、いいのか?それとなんで俺の名前を!」
「さっき言ってただろ」
「いくぞ」
「え、ちょっと待ってあんたの名前は?」
「……カインだ」
「カインか、いい名前だな」
「そうか」







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