旅人少女の冒険綺譚
2-2「飛行艇ブルースカイ」
次にシャルルが目が覚めたとき、朝眠りについてから昼を少し回った頃だった。背中を伸ばしつつベッドから起き上がる。少ししか寝ていないはずなのだが、目は冴えていた。先程よりも調子も良い。
鞄の中へと仕舞っていたグラシアの実を一つ取り出すと、一口囓る。丁度お昼時で小腹も空いていたのでグラシアの実の大きさが丁度良い。
グラシアの実を堪能していると、外からバタバタと走り回る音が響く。何かあったのかなとシャルルは客室の扉を開けて、廊下を見る。甲冑を着た警備兵が、奥へ走ってゆくのが見えた。
シャルルはグラシアの実を食べ終わると、ゴミ箱に捨ててコートを羽織り、外へと出た。
相変わらず空を飛び続けているため、風が強い。雲の流れがいつもよりも速く感じる。
手摺りに掴まりつつ、デッキへと向かうと先程の警備兵が飛行艇の周りを確認している様子が見えた。
「ねぇ、何かあったの?」
「いいえ、特に何も無いのですがね。すいませんお騒がせして__。」
警備兵がシャルルの方を見た時、警備兵の表情が変わった。シャルルにも面識がある。朝に空飛ぶ魚の魔物を見ていないかと問いかけたあの警備兵だ。
「あぁ、お客様は知っているのか!」
随分と焦っている様子だった。
あまりにも急な事に、シャルルも困惑してしまう。
「え?知っているって何を__?」
「ほら、昨日の晩に空飛ぶ魚の魔物を見たと言っていただろう?先程、伝書鳥が来てな。飛行艇がその魔物に襲われたらしいんだ。」
「え?!そ、それは本当なの!?」
「あぁ。間違いないらしい。なんとかケルト帝国まで辿り着いたらしいんだがな...飛行艇はほぼ壊滅状態だったそうだ。そして今飛んでいる場所が___。」
変な所で察しの良さが発揮された。
まぁここまで丁寧に言われたのだ。分からない方がおかしな話だ。
「先に出た飛行艇が襲われた場所...」
「__そうだ。先程のはすまなかったな。まさか本当に出ていたとは思わなかったんだ。そう言えば姿を見たんだろう?どんな姿だった?」
「いや、実は影しか見えなくて...それに夜中だったし。鳴き声は聞こえてたんだけど、雲に隠れて消えちゃったから、どんな姿なのか分からないの」
「そうか...今その鳴き声は聞こえるか?」
シャルルは耳を澄ませた。風の音の中に、昨日確かに聞こえた鳴き声を探す。しかし独特な鳴き声は聞こえなかった。
「いいや、聞こえない...。」
「うーむ...分かった。この事はケルト帝国の騎士団に報告しておく。すまないな。」
少し落ち着いたのか、警備兵はため息を一つこぼした。
「あぁ、そうだ。名前を聞いておいてもいいか?飛行艇ブルースカイで、あの魔物を見た唯一のお客様だ」
「私の名前はシャルロット。シャルルって呼んでくれたら嬉しいかな」
「分かったシャルル。このまま無事にケルト帝国まで飛んでくれれば良いが...。それではな。あぁ、他のお客様には秘密にしておいてくれ。こんな空の上で騒ぎになると、どうにもならなくなる」
「うん...分かった。」
それでは。と警備兵は歩いて船内へと戻って行った。シャルルはと言うと、不気味な感覚に襲われる。シャルルがあの魚影を見た時にはもう襲われていたのだろうか?襲った後だから、ブルースカイは襲われなかった...?
シャルルはデッキを後にして自室に戻った。
コートをかけ、ベッドに横になる。
「はぁ...あの魚...一体なんなんだろう...」
窓から見える景色を寝そべりながら見る。
シャルルはどうしても、この不気味な感情を拭うことは出来ないのであった。
鞄の中へと仕舞っていたグラシアの実を一つ取り出すと、一口囓る。丁度お昼時で小腹も空いていたのでグラシアの実の大きさが丁度良い。
グラシアの実を堪能していると、外からバタバタと走り回る音が響く。何かあったのかなとシャルルは客室の扉を開けて、廊下を見る。甲冑を着た警備兵が、奥へ走ってゆくのが見えた。
シャルルはグラシアの実を食べ終わると、ゴミ箱に捨ててコートを羽織り、外へと出た。
相変わらず空を飛び続けているため、風が強い。雲の流れがいつもよりも速く感じる。
手摺りに掴まりつつ、デッキへと向かうと先程の警備兵が飛行艇の周りを確認している様子が見えた。
「ねぇ、何かあったの?」
「いいえ、特に何も無いのですがね。すいませんお騒がせして__。」
警備兵がシャルルの方を見た時、警備兵の表情が変わった。シャルルにも面識がある。朝に空飛ぶ魚の魔物を見ていないかと問いかけたあの警備兵だ。
「あぁ、お客様は知っているのか!」
随分と焦っている様子だった。
あまりにも急な事に、シャルルも困惑してしまう。
「え?知っているって何を__?」
「ほら、昨日の晩に空飛ぶ魚の魔物を見たと言っていただろう?先程、伝書鳥が来てな。飛行艇がその魔物に襲われたらしいんだ。」
「え?!そ、それは本当なの!?」
「あぁ。間違いないらしい。なんとかケルト帝国まで辿り着いたらしいんだがな...飛行艇はほぼ壊滅状態だったそうだ。そして今飛んでいる場所が___。」
変な所で察しの良さが発揮された。
まぁここまで丁寧に言われたのだ。分からない方がおかしな話だ。
「先に出た飛行艇が襲われた場所...」
「__そうだ。先程のはすまなかったな。まさか本当に出ていたとは思わなかったんだ。そう言えば姿を見たんだろう?どんな姿だった?」
「いや、実は影しか見えなくて...それに夜中だったし。鳴き声は聞こえてたんだけど、雲に隠れて消えちゃったから、どんな姿なのか分からないの」
「そうか...今その鳴き声は聞こえるか?」
シャルルは耳を澄ませた。風の音の中に、昨日確かに聞こえた鳴き声を探す。しかし独特な鳴き声は聞こえなかった。
「いいや、聞こえない...。」
「うーむ...分かった。この事はケルト帝国の騎士団に報告しておく。すまないな。」
少し落ち着いたのか、警備兵はため息を一つこぼした。
「あぁ、そうだ。名前を聞いておいてもいいか?飛行艇ブルースカイで、あの魔物を見た唯一のお客様だ」
「私の名前はシャルロット。シャルルって呼んでくれたら嬉しいかな」
「分かったシャルル。このまま無事にケルト帝国まで飛んでくれれば良いが...。それではな。あぁ、他のお客様には秘密にしておいてくれ。こんな空の上で騒ぎになると、どうにもならなくなる」
「うん...分かった。」
それでは。と警備兵は歩いて船内へと戻って行った。シャルルはと言うと、不気味な感覚に襲われる。シャルルがあの魚影を見た時にはもう襲われていたのだろうか?襲った後だから、ブルースカイは襲われなかった...?
シャルルはデッキを後にして自室に戻った。
コートをかけ、ベッドに横になる。
「はぁ...あの魚...一体なんなんだろう...」
窓から見える景色を寝そべりながら見る。
シャルルはどうしても、この不気味な感情を拭うことは出来ないのであった。
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