旅人少女の冒険綺譚

野良の猫

1-4「試練の洞窟-1」



少年に見送られながら、シャルルは洞窟へと足を踏み入れた。

確か洞窟の名前は試練の洞窟だったっけ。

腰に下げた剣を引き抜き、いつ戦闘になっても良いように構えながら先にと進む。

魔物との戦いは、どちらかと言えば慣れているのだが、洞窟に入るのは初めての事だった。緊張もするし、少し恐怖感もある。だが以外にも、その恐怖感は薄まっていた。

「へぇ...洞窟の中って案外明るいんだ...。それに結構広いし」

日の光が届かない洞窟の中。
当然明かりがないと進めないかと思っていたのだが、中は薄暗い程度。目が慣れれば周囲の確認は出来る明るさだ。

洞窟には、所々にクリスタルの鉱石が剥き出しになっている。その周りに光虫が飛び回っていたのだ。ぼんやりと明るく見えるのは、光虫の光がクリスタルに反射して照らしているからである。


照らされているのはクリスタルだけではない。洞窟の中には、川が流れていた。
光虫は綺麗な水辺にしか住処は作らない。つまりは、人でも飲めるほど綺麗な水なのだ。


飲み水もあるし、周りも確認できる。
順調に奥へと進めるかと思いきや、そうは行かない。なにせ洞窟の名前は試練の洞窟。
簡単に進めるわけもなく、シャルルは足を止めた。

「そりゃそうよねぇ...出てくるよね。魔物」

目の前には三匹の魔物が近付いて来ていた。
野良犬ならまだ可愛いのだが。犬にしては目は赤黒く、体型も大きい。だがシャルルからしてみれば、見慣れた光景だった。


「先手必勝ぉぉぉ!!」


シャルルは剣を構え直すと、三匹の魔物に向かい先制攻撃を仕掛けた。目標は一番前を歩いている一匹だ。

不意打ちによる先制攻撃。先頭を歩いていた魔物は避けるまもない。

勢いよく突き出された剣先は魔物を貫き、一撃で倒すことが出来た。

直ぐさま体制を立て直し、剣を構え直す。
残りは二匹。出来れば早急に倒したい。少年の為にも。そして自分のためにもだ。

「悪いけど...一気に決めるよ!」
シャルルは目を閉じて、剣に魔力を込めた。電が剣先を走る。そして目を見開き、一閃を叩き込んだ。

目にも止まらぬ早さ。魔物も斬られた事に気が付く間もなく、パラパラと音を立てながら、結晶を落として消えてしまった。

「ふぅ。上手く出来て良かったぁ...剣術ってやっぱり苦手ね」

シャルルの放った一閃は、見事魔物二匹を同時に倒すことが出来た。剣術は苦手なのだが、一通りの術は覚えていた。ただあんまりやりたくないだけなのである。

「さてと。先に進まないと。あの子も待たせちゃってるしね」

シャルルは剣を鞘へと仕舞った。
そして洞窟の奥へと、走り出したのだった。


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