えっ、転移失敗!? ……成功? 〜ポンコツ駄女神のおかげで異世界と日本を行き来できるようになったので現代兵器と異世界スキルで気ままに生きようと思います〜
3-19 親睦を深める
「さて、今日はいろいろあったし、まだ早い時間だけど風呂に入って寝ようか」
『グランコート2503』に到着後、靴を脱いで部屋に上がった陽一は、ほかの3人にそう提案した。
しかし、女性たちからは微妙な表情が返ってきた。
「えっと、どしたの?」
「ふむ。今日いろいろあったと言われても、私はみんなを魔術士ギルドへ案内したのと、ほんの少し花梨とミサトにスキルや魔法、魔術の手ほどきをしただけなので、なんというか、まったく疲れてないのだが……」
「あたしは久々に弓を射ってちょっと疲れた気はするけど、なんかもう元気になってるわ」
「えっと、私もいろいろありましたけど、疲れているかと聞かれれば、全然というか……」
「あー……」
なにせ全員に【健康体+】があるので、肉体的なものであれ精神的なものであれ疲労はすぐに回復するのである。
早く寝ようと提案した陽一でさえ、魔術士ギルドで感じていた気分的な疲れはいざ自室に帰ってみればほぼ解消されていたのだった。
といって、いまから異世界に戻ってなにかをする気にもなれない。
ではアラーナを連れてこちらの世界を散策するというのはどうだろうか?
(……いや、微妙に遅い時間なんだよなぁ)
いずれアラーナを連れてこちらの世界を案内したいと陽一は思っていたが、どうせならもう少し時間があるときにしたい。
「うーん、じゃあなにしようか……」
陽一の頭にひとつの選択肢は現われたが、なんというか、そればかりというのもどうかと思いつつ、アラーナと実里に視線を送る。
「う、うむ……そうだな、ナニをしようかなぁ……」
少し頬を染め、視線を泳がせるアラーナを見て、陽一は“おや?”と思う。
「あ、あたしは。その……いいけど……」
アラーナの様子からなにかを察したのか、花梨も同じく頬を赤らめ、気まずそうにしている。
「……じゃあ、します?」
実里はふたりを交互に見たあと、いつもの無表情のまま口を開いた。
結局のところ、気力と体力がありあまっていて中途半端に時間があり、なおかつやることがないのならそういう話になってしまうのはしょうがないのかもしれない。
「そ、そうだね。俺は、べつにいいけど」
「わ、私も、特に反対するつもりはないな」
「あたしも……」
「じゃあ、その、シャワーを……。えっと、先に浴びてもらったほうがいいかな。いや、俺が先のほうがいいのか?」
陽一とアラーナがそんなことを言っていると、実里はなにやら思いついたような顔をし、陽一に近づく。
「陽一さん、ちょっと……」
そして実里は陽一になにやら耳打ちした。
「へ? あー、いや、持ってない、かな」
「そうですか……」
「でも、なんで?」
「えっと、ですね……」
実里は再び、陽一の耳元でゴニョニョと囁いた。途中、その視線がアラーナのほうを向く。それに続き、陽一の視線もアラーナを捉えた。
「ん?」
アラーナはわずかながら居心地の悪さを覚えつつ、きょとんとした表情をふたりに向けた。
「買ってくる!!」
「えっと、どれくらい――」
「10分!! いや、5分で帰ってくるから!!」
「わかりました。じゃあこちらは先に準備しておきますね。お風呂でいいですか?」
「うん、お願い! じゃっ!!」
そう言い残し、陽一は慌てて靴を履いて部屋を出ていった。
「ミサト……? ヨーイチ殿はいったい……」
「ほんと、急に慌てて……ねぇ?」
まったく事態を呑み込めていないアラーナと花梨は、少し不安を抱えながら実里に疑問を呈した。
陽一を見送った実里は、玄関の扉が閉まったあと、アラーナへと向き直る。
感情に乏しいその顔にはかすかに蠱惑的な笑みが浮かんでおり、アラーナは胸の高鳴りをおぼえると同時に、わずかながら背筋が寒くなった。
(陽一のあの感じだと、たぶんえっちぃことだよねぇ……)
そんなことを考えながら、花梨は妙な雰囲気で見つめ合う実里とアラーナを眺めていた。
○●○●
マンションを出た陽一は一旦人気のない建物の陰に移動し、周りに人がいないのを確認すると、【無限収納+】からマウンテンバイクを取り出した。
そしてマウンテンバイクにまたがると、物陰を出て道路を疾走する。
2分ほど走ったところで再び物陰に隠れ、マウンテンバイクを【無限収納+】に収めると、そこからは小走りとなり、数十秒で目的地であるディスカウントショップへと到着した。
そのまま売り場を早歩きに移動し、目当ての物を手に取る。
周りの目が気にならないと言えば嘘になるが、そんなことを気にしている場合ではないのだ。
陽一はレジで精算を済ませると、店のトイレを目指した。
そして、トイレに誰もいないことを確認すると、購入した商品を【無限収納+】に収め、『グランコート2503』に【帰還】した。
その間、ジャスト5分。
「はぁ……はぁ……」
荒ぶる呼吸を押さえながら、陽一は靴を脱ぎ、部屋に上がる。
すでに女性たち3人の姿はリビングになかった。
陽一はシャツのボタンに手をかけたが、ふたつ外したところでもどかしくなり、着ている服を下着も含めて【無限収納+】に収め、リビングを突っ切り、バスルームへ。
「お待たせっ!!」
勢いよくバスルームのドアを開けると、そこには花梨とアラーナ、実里が立っていた。
「あ、おかえりなさい。ちょうど5分ぐらいですかね」
大急ぎで帰ってきた陽一を、落ち着いた様子の実里が迎えた。
「あ……、う……、ヨ、ヨーイチ殿、おかえり、なさい……」
「えっと、その……早かった……わね……」
対してアラーナはなにやら恥ずかしげにうつむきながら陽一を迎えた。
それから4人は、買ってきたグッズを使って親睦を深めた。
さらに寝室へ移動して親交を温め、改めてシャワー浴びてまた寝室に戻った。
陽一はTシャツにトランクスという昔からの寝間着スタイルである。
女性陣で唯一パジャマと呼べるものを着ているのは実里だけだった。以前陽一とともに訪れたデパートで買ったスウェットふうのルームウェアを着ている。
首周りがかなりゆったりしているせいで、華奢な左肩から胸元あたりまでが露出されている。
部屋で過ごすときは同じくスウェットのパンツを穿いているが、いまは身に着けていないので、服の裾からショーツに包まれた小ぶりな尻が見え隠れしている。
アラーナはインナーとして普段から着用しているフリルをあしらった黒いキャミソール姿となった。
普段はコルセットの役割も果たしている鎧下のインナーからフリルの部分だけが見えているもので、その下は特に装飾のないシンプルなものだ。
下着というには少し生地が厚いものの、ブラカップがなく、アラーナのスタイルに合わせてアンダーバストの部分を少し絞っているので、彼女の大きな胸のかたちがくっきりと出ている。
丈もそれほど長くないので、下に穿いているショーツと、大きくて形のいいお尻がほとんど見えていた。
花梨は普段からスーツの下に着ているブラウスだけを羽織っていた。
ノーブラで着ているうえにボタンをいくつか外しており、柔らかな胸の谷間がしっかりと見える。
いつものタイトスカートを穿いていないせいで、ショーツに覆われた尻と、むっちりとした脚が惜しげもなく露出していた。
(これはこれでアリだな……)
そんな女性陣の姿を堪能しつつ陽一はベッドに乗り、女性陣もあとに続いた。
昨夜は実里とアラーナが抱き合ってソファで眠り、陽一は床で寝ており、さらに花梨は不在だったので、こうやって4人並んで寝るのは初めてということになる。
「ふふ、こうやってみんなで寝るというのも悪くないな」
「うん、そうね」
「あの、重くないですか……?」
「ああ。大丈夫だよ」
陽一が真ん中で仰向けになり、実里が半ばそこに乗り上げるようにしがみついていた。
そして実里の側にアラーナが、反対側に花梨が寄り添うように寝ていた。
キングサイズのベッドは4人でくっつき合って寝れば、まだ少し余裕はありそうだった。
――――――――
オシリス文庫版電子書籍10巻が発売中です。
BOOK☆WALKER、AmazonKindle、楽天kobo、DMM他にて配信しておりますのでよろしくお願いします。
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しかし、女性たちからは微妙な表情が返ってきた。
「えっと、どしたの?」
「ふむ。今日いろいろあったと言われても、私はみんなを魔術士ギルドへ案内したのと、ほんの少し花梨とミサトにスキルや魔法、魔術の手ほどきをしただけなので、なんというか、まったく疲れてないのだが……」
「あたしは久々に弓を射ってちょっと疲れた気はするけど、なんかもう元気になってるわ」
「えっと、私もいろいろありましたけど、疲れているかと聞かれれば、全然というか……」
「あー……」
なにせ全員に【健康体+】があるので、肉体的なものであれ精神的なものであれ疲労はすぐに回復するのである。
早く寝ようと提案した陽一でさえ、魔術士ギルドで感じていた気分的な疲れはいざ自室に帰ってみればほぼ解消されていたのだった。
といって、いまから異世界に戻ってなにかをする気にもなれない。
ではアラーナを連れてこちらの世界を散策するというのはどうだろうか?
(……いや、微妙に遅い時間なんだよなぁ)
いずれアラーナを連れてこちらの世界を案内したいと陽一は思っていたが、どうせならもう少し時間があるときにしたい。
「うーん、じゃあなにしようか……」
陽一の頭にひとつの選択肢は現われたが、なんというか、そればかりというのもどうかと思いつつ、アラーナと実里に視線を送る。
「う、うむ……そうだな、ナニをしようかなぁ……」
少し頬を染め、視線を泳がせるアラーナを見て、陽一は“おや?”と思う。
「あ、あたしは。その……いいけど……」
アラーナの様子からなにかを察したのか、花梨も同じく頬を赤らめ、気まずそうにしている。
「……じゃあ、します?」
実里はふたりを交互に見たあと、いつもの無表情のまま口を開いた。
結局のところ、気力と体力がありあまっていて中途半端に時間があり、なおかつやることがないのならそういう話になってしまうのはしょうがないのかもしれない。
「そ、そうだね。俺は、べつにいいけど」
「わ、私も、特に反対するつもりはないな」
「あたしも……」
「じゃあ、その、シャワーを……。えっと、先に浴びてもらったほうがいいかな。いや、俺が先のほうがいいのか?」
陽一とアラーナがそんなことを言っていると、実里はなにやら思いついたような顔をし、陽一に近づく。
「陽一さん、ちょっと……」
そして実里は陽一になにやら耳打ちした。
「へ? あー、いや、持ってない、かな」
「そうですか……」
「でも、なんで?」
「えっと、ですね……」
実里は再び、陽一の耳元でゴニョニョと囁いた。途中、その視線がアラーナのほうを向く。それに続き、陽一の視線もアラーナを捉えた。
「ん?」
アラーナはわずかながら居心地の悪さを覚えつつ、きょとんとした表情をふたりに向けた。
「買ってくる!!」
「えっと、どれくらい――」
「10分!! いや、5分で帰ってくるから!!」
「わかりました。じゃあこちらは先に準備しておきますね。お風呂でいいですか?」
「うん、お願い! じゃっ!!」
そう言い残し、陽一は慌てて靴を履いて部屋を出ていった。
「ミサト……? ヨーイチ殿はいったい……」
「ほんと、急に慌てて……ねぇ?」
まったく事態を呑み込めていないアラーナと花梨は、少し不安を抱えながら実里に疑問を呈した。
陽一を見送った実里は、玄関の扉が閉まったあと、アラーナへと向き直る。
感情に乏しいその顔にはかすかに蠱惑的な笑みが浮かんでおり、アラーナは胸の高鳴りをおぼえると同時に、わずかながら背筋が寒くなった。
(陽一のあの感じだと、たぶんえっちぃことだよねぇ……)
そんなことを考えながら、花梨は妙な雰囲気で見つめ合う実里とアラーナを眺めていた。
○●○●
マンションを出た陽一は一旦人気のない建物の陰に移動し、周りに人がいないのを確認すると、【無限収納+】からマウンテンバイクを取り出した。
そしてマウンテンバイクにまたがると、物陰を出て道路を疾走する。
2分ほど走ったところで再び物陰に隠れ、マウンテンバイクを【無限収納+】に収めると、そこからは小走りとなり、数十秒で目的地であるディスカウントショップへと到着した。
そのまま売り場を早歩きに移動し、目当ての物を手に取る。
周りの目が気にならないと言えば嘘になるが、そんなことを気にしている場合ではないのだ。
陽一はレジで精算を済ませると、店のトイレを目指した。
そして、トイレに誰もいないことを確認すると、購入した商品を【無限収納+】に収め、『グランコート2503』に【帰還】した。
その間、ジャスト5分。
「はぁ……はぁ……」
荒ぶる呼吸を押さえながら、陽一は靴を脱ぎ、部屋に上がる。
すでに女性たち3人の姿はリビングになかった。
陽一はシャツのボタンに手をかけたが、ふたつ外したところでもどかしくなり、着ている服を下着も含めて【無限収納+】に収め、リビングを突っ切り、バスルームへ。
「お待たせっ!!」
勢いよくバスルームのドアを開けると、そこには花梨とアラーナ、実里が立っていた。
「あ、おかえりなさい。ちょうど5分ぐらいですかね」
大急ぎで帰ってきた陽一を、落ち着いた様子の実里が迎えた。
「あ……、う……、ヨ、ヨーイチ殿、おかえり、なさい……」
「えっと、その……早かった……わね……」
対してアラーナはなにやら恥ずかしげにうつむきながら陽一を迎えた。
それから4人は、買ってきたグッズを使って親睦を深めた。
さらに寝室へ移動して親交を温め、改めてシャワー浴びてまた寝室に戻った。
陽一はTシャツにトランクスという昔からの寝間着スタイルである。
女性陣で唯一パジャマと呼べるものを着ているのは実里だけだった。以前陽一とともに訪れたデパートで買ったスウェットふうのルームウェアを着ている。
首周りがかなりゆったりしているせいで、華奢な左肩から胸元あたりまでが露出されている。
部屋で過ごすときは同じくスウェットのパンツを穿いているが、いまは身に着けていないので、服の裾からショーツに包まれた小ぶりな尻が見え隠れしている。
アラーナはインナーとして普段から着用しているフリルをあしらった黒いキャミソール姿となった。
普段はコルセットの役割も果たしている鎧下のインナーからフリルの部分だけが見えているもので、その下は特に装飾のないシンプルなものだ。
下着というには少し生地が厚いものの、ブラカップがなく、アラーナのスタイルに合わせてアンダーバストの部分を少し絞っているので、彼女の大きな胸のかたちがくっきりと出ている。
丈もそれほど長くないので、下に穿いているショーツと、大きくて形のいいお尻がほとんど見えていた。
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(これはこれでアリだな……)
そんな女性陣の姿を堪能しつつ陽一はベッドに乗り、女性陣もあとに続いた。
昨夜は実里とアラーナが抱き合ってソファで眠り、陽一は床で寝ており、さらに花梨は不在だったので、こうやって4人並んで寝るのは初めてということになる。
「ふふ、こうやってみんなで寝るというのも悪くないな」
「うん、そうね」
「あの、重くないですか……?」
「ああ。大丈夫だよ」
陽一が真ん中で仰向けになり、実里が半ばそこに乗り上げるようにしがみついていた。
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